トランプ前大統領を支持するインフルエンサーや信奉者たちが、流血したトランプの顔や突き出した拳の画像をプリントした商品を競い合うように売り出している。7月13日(米国時間)に発生した暗殺未遂事件で死者が出てから、わずか数時間後のことだ。
この日の午後までに、右派の活動家であるキャンディス・オーウェンやトランプ政権の一員だったセバスチャン・ゴルカが、そうした画像のTシャツを売り出している。オーウェンの商品には「God and Country(神と国家)」と書かれ、ゴルカのほうは「The President of America(アメリカ大統領)」と書かれている。
商品の収益を大統領選挙におけるトランプの再選活動に寄付するのか、あるいは集会で撃たれた被害者の家族に寄付するのかをふたりに尋ねてみたが、現時点で回答はない。
ブログサイト「Barstool Sports」の創設者でオーナーのデイヴィッド・ポートノイは、南部の友愛団体のブランド「Old Row」(2016年にBarstool Sportsが買収)が制作した同じようなTシャツをXで紹介した。Tシャツには「王を手に入れたなら、それを逃してはならない(If you come at the king you best not miss)」と書かれている。
「おまえたちは銃撃事件でもう金儲けしているのか?」と、あるXユーザーはポートノイにリプライした。こうしたなかOld Rowは、14日午後までにTシャツの掲載をとりやめたようだ。批判されたことが原因で掲載をやめたのか尋ねてみたが、現時点で回答はない。
TikTokが“テレビショッピング状態”に
有名なユーチューバーやインフルエンサーも、独自の関連商品を売り出している。
YouTubeで300万人以上のチャンネル登録者がいる双子のインフルエンサーであるホッジ・ツインズ(ポッドキャスト「The Hodgetwins」のホストでもある)は13日夜、例の画像と「FIGHT! FIGHT! FIGHT!」という文字がプリントされたTシャツを発売した。「このシャツの収益はすべてトランプの活動に回される」と、双子はXへの投稿で説明している。
何十人ものTikTokユーザーも、この画像が印刷されたTシャツを週末に「TikTok Shop」で販売していた。事件を扱った商品の購入を生配信で呼びかける者もいて、その姿はまるでテレビショッピングの司会者のようだった。
「おおっと、本日またトランプTシャツが売れました!! これで100枚目です」。あるユーザーは、Tシャツが売られたライブ配信にそう書き込んでいる。
eスポーツのブランド「FaZe Clan」の最高経営責任者(CEO)であるリチャード・“FaZe Banks”・ベングストンも銃撃事件の直後にトランプ支持を表明した様子で、Xに「TRUMP 2024」と書き込んだ。ベングストンはYouTubeで500万人以上のチャンネル登録者がいる。
またFaZe Clanは、「MAGA(Make America Great Again)」をもじって「MAKE FAZE GREAT AGAIN」と書かれた赤い帽子を宣伝していた。ベングストンやFaZe Clanの投稿がトランプへの公式な支持を示すものかどうかブランドに尋ねてみたが、これも現時点で回答はない。
複数の大物インフルエンサーが支持を表明
今回の銃撃事件を機に複数のインフルエンサーがトランプ支持を打ち出している。「世界の平和と繁栄を祈るとともに、トランプがその最大の機会を与えてくれると信じている」と、ユーチューバー兼プロボクサーのジェイク・ポールは13日に投稿した。「神の天使や世界の救世主を殺そうとしても、その存在を大きくするだけだ」
ポールは今年4月、予定されていたマイク・タイソン戦にトランプを招待している。当時、トランプ陣営の人物は本人が「真剣に」出席を検討していると語っていた。なお、タイソンが負傷したことで試合は中止されている。
ジェイクの兄であるローガン・ポールは13日、トランプ支持を明確に表明したわけではなかったが、こう書き込んだ。「暗殺の企てを数ミリでかわし、セキュリティサービスを制して死に抗って拳を突き上げる。これは人生で見たなかで最もクールな光景だ」
「銃弾に勝った無法者に投票する」──。女性蔑視インフルエンサーで人身売買の容疑者でもあるトリスタン・テイトは13日、Xにそう書き込んでいる。トリスタンの兄アンドリュー・テイトは人身売買容疑でルーマニアで起訴されているが、同じくトランプ支持のメッセージを投稿した。
トランプ陣営は昨年、ジョージア州フルトン郡の拘置所でマグショット(逮捕後に撮影される顔写真)を撮影されてから2時間以内に、その写真がプリントされた商品を売り出している。銃撃事件後にトランプ陣営は資金を募る複数の文章やメールを出しているが、関連商品はまだ発売していない。
(Originally published on wired.com, edited by Daisuke Takimoto)
※『WIRED』によるドナルド・トランプの関連記事はこちら。
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