誰もが年末年始にまとまった休みを取れるわけではないが、休みを経て「日常」に戻った人は、なんだかつらいと感じているかもしれない。こなすべき仕事を再び目の当たりにする今、仕事に集中できるよう、以下のヒントを共有させてほしい。
自分に優しく
まずは無理をせず、自分への優しさを優先するところから始めてみるのはどうだろう。 積極的にセルフコンパッション(自分への慈しみ)を意識することを勧める、コロンビア大学メディカルセンターの臨床心理学者アリッサ・エイムズ=シコラは、次のように語る。
「あなたのエネルギー充電に必要な時間が、長くなっているのかもしれません。でも、それでいいのです。時間はかかるものです」
同僚との比較を避け、自分で管理しやすい作業ペースを見つけることに集中しよう。
自分の本質的な目標を思い出す
日々の経験から将来的な成長性まで、そもそも自分が仕事に何を求めているのか、時間をとって考えてみよう。コーネル大学の産業・労働関係学部准教授ブライアン・ルーカスはこう語る。
「長い休みの後は、こういった自分の目標を思い出すのが効果的です。仕事の具体的な目標や、もっと幅広い目的に沿った目標でもいいでしょう」
自分自身に「なぜ」と大きな問いを投げることを恐れず、何が最もやる気につながるのか探してみよう。
ポジティブな朝を想像する
ストレスの多い状況では困難かもしれないが、やる気を引き出すにはポジティブなマインドセットが重要だ。そんなことは不可能だと思えるなら、ストレスのない平日の朝を想像してみてほしい。目標設定を研究するデューク大学准教授ジョーダン・エトキンは、こう問いかける。
「成功のため、前の晩にしておけることは何でしょうか? 1日をできるだけスムーズに始められるように準備してみるのはどうでしょうか?」
前の晩に翌日の備えをしておけば、朝の慌ただしさが軽減され、その余裕がモチベーションにつながるかもしれない。
頑張りすぎないで
自信を持とう。同時に、現実的な視点も忘れずに。エイムズ=シコラからアドバイスだ。
「休み明けの初日にすべてのメールに目を通す、といったような、達成が難しい高い目標を自分に課すことはありません。あなたには、1年という長い時間が待っています。長期的なマインドセットのほうが持続性が高く、成功につながります」
小さな達成を積み重ねる
「自分のタスクに着目してみてください」とルーカスは提案する。「やる気を起こすために、簡単に達成できた小さな “勝利” を最初に並べてみましょう」
あらゆる状況に適しているわけではないが、ゲーム性を加えると退屈な仕事も一味変わる。紙の上でもデジタル上でもいいので、大小さまざまな成果を書き留めておこう。
自分に合ったタイミングで、適切な仕事を
あなたは朝、ゾーンに入りやすいタイプ? それとも、昼下がりのコーヒーブレイクの後で、本来のパフォーマンスを出しやすいのだろうか。
「一日のうち、自分が最適なパフォーマンスを発揮できる時間帯がいつなのかを意識しましょう」とエイムズ=シコラは言う。「困難な仕事は、その時間帯に着手するよう、スケジュールを立てましょう」
仕事中にモチベーションが底をついた時のために、負荷の少ない作業を残しておくのもひとつの手だ。
目標に近づくための時間を確保
日々の仕事の目標を明確にすることは重要だが、自分の長期的で大きな目標を達成するために十分な時間を確保することも忘れないでほしい。
「自分の目標ための時間を設定し、守るようにしてください」とエトキンはアドバイスする。「本当に大切なことは、カレンダーに書き込んでおきましょう。そのためにしっかり時間を使えるようにしてください」
(WIRED US/Translation by Rikako Takahashi/Edit by Mamiko Nakano)
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