「シンギュラリティ」という言葉をGoogleトレンドで調べてみれば、それが日本で人口に膾炙しだしたのはこの10年のことだとわかる。早くも2005年に原書が出た『The Singularity is Near(シンギュラリティは近い)』の邦訳版編集を手がけた当時は、もちろんぼく自身も、これはどちらかと言えば楽観的なステートメントの類いなのだと思っていた節がある。この記事のタイトルにあるように、今度もまた彼が正しいことを、ぼくたちはこれから20年後にやっと腹落ちするのかもしれない。あるいは、彼の言う「収穫加速の法則」に倣うならば、今度はもっと早くに。(松島倫明)
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素敵なテキストベースの記事を新たに見つけ出すのは、ますます難しくなっている。もとよりSNSプラットフォームは玉石混交だったけれど、アルゴリズムが更新されるたびにトラフィックとアテンションを稼ぐ意図をむき出しにした「フィード」(餌付け!)ばかりとなり(ちなみに自分のTLはスポーツとものづくりと、なぜかダンスのショート動画)、偶発的ないい記事との出合いもめっきり減っている。プラットフォーマーたちが血眼になってエンゲージメントの最適化を計った結果としてこうなっているのだろうし、自分のオンライン上での行動が反映されているのだろうから文句をいう筋合いもない。が、この記事を読んで、こういったフラストレーションや問題は多くの人たちと共有できることなのだということはわかった。ひとまずブラウザの「お気に入り」の整理をすることにします。(田口悟史)
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「アフリカ人のためのデジタル・ネーション」の構築を目指すプロジェクト「Afropolitan(アフロポリタン)」の共同創設者へのインタビューは、極めて示唆に富んでいる。バラジ・スリニヴァサンが提唱した「ネットワーク国家」の概念に触発されたというこのプロジェクトは、世界各地に広がるアフリカ系ディアスポラ(故郷や祖先の地を離れて暮らす人やコミュニティ)をデジタル技術によって“ひとつ”にしようという試みという点でも注目すべきだが、オンラインコミュニティを基軸にスマートコントラクトや暗号資産などのWeb3の基盤技術を用いたガバナンスと経済圏を実装しようとしているところが、とても現代的だ。そして、大小を問わずさまざまなコミュニティに応用できそうなアイデアにも満ちている。(瀧本大輔)
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音楽生成AIの「Suno」や「Udio」が、AIを訓練するためにアーティストの楽曲を無断で活用したとして、大手レーベルが著作権侵害の訴訟を起こしている。アーティスト・徳井直生がAIとわたしたちの関係の望むべき未来像を考察していく連載の第3弾は、まさにこうした状況を見越し、オルナタティブな可能性を見せてくれる内容だった。音楽生成システムを、音楽の「聴取」「消費」の延長にある新しい行為として捉えられないか──。こうした音楽文化への愛とインサイトにあふれる本連載を、これを機に第1回から読み深めてはいかがだろうか。(アンスコム江莉奈)
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人が“音楽として聴かない”音楽、つまりアンビエントミュージック(環境音楽)の起源はエリック・サティの「家具の音楽」にあると、スズキユウリは言う。もちろん、ジャンル自体の提唱者はブライアン・イーノだし、フィールドレコーディング勢やエレクトロニカ勢も、それぞれのアプローチでアンビエント(環境)と向き合うことで同ジャンルを発展させてきたが、「音楽は家具のように生活を構築するうえで重要なエレメントである」と定義したサティの考え方に立ち返り、さらにはそこにインタラクティブ性を組み込むことで、音/音楽による空間の再構築を試みていきたいとスズキは語る。来るべき「空間コンピューティングのある暮らし」において、生活環境で流れる音/音楽の重要性は見逃されがちかもしれない。その点に気付かせてくれる、リファレンスたっぷりのインタビュー。(小谷知也)
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雑誌『WIRED』日本版 VOL.53
「Spatial × Computing」
実空間とデジタル情報をシームレスに統合することで、情報をインタラクティブに制御できる「体験空間」を生み出す技術。または、あらゆるクリエイティビティに2次元(2D)から3次元(3D)へのパラダイムシフトを要請するトリガー。あるいは、ヒトと空間の間に“コンピューター”が介在することによって拡がる、すべての可能性──。それが『WIRED』日本版が考える「空間コンピューティング」の“フレーム”。情報や体験が「スクリーン(2D)」から「空間(3D)」へと拡がることで(つまり「新しいメディアの発生」によって)、個人や社会は、今後、いかなる変容と向き合うことになるのか。その可能性を、総力を挙げて探る!詳細はこちら。