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便秘の種類と、便秘薬のタイプ別の選び方

大賀薬局

便秘薬を色々悩んで選んだにもかかわらず、いざ飲んでみると、全然スッキリしなかったり、逆に効果が強すぎたのか、お腹が痛くなってしまった経験はありませんか?

日々店頭で相談を受けていると、数ある便秘薬の中から、今の自分の状態に合った薬がどれなのか、あまりよく分からないままに、自分自身の体感だけをたよりに、探りながら服用を続けている方が、かなり多いように思われます。

便秘の定義

そもそも「便秘」とは、便が排出しにくい、排便回数が少ない、残便感があるなどの状態を言い表した総称で、一般的には3日以上排便がない時などに、よく使われる言葉です。

しかしながら、排便の習慣や感覚には個人差が大きいため、「便秘」には明確な定義づけが存在しません。

たとえ2~3日に1回でも、残便感もなく、スムーズにすっきり便が出れば便秘とは言えず、毎日お通じがあっても、残便感があり、常にいきむようであれば便秘であると考えられます。

便秘の種類

便秘の種類は、大きく分けて「機能性」によるものと「器質性」によるものが考えられます。

最近では医療上、様々な新しい分類もなされていますが、主に、便秘の種類を4つに分けた

・腸の働きが乱れて起こる「機能性便秘
・腫瘍や炎症、閉塞などで腸が狭くなり、便が滞って起こる「器質性便秘
・体の病気に伴うホルモン分泌や神経の異常が原因となり起こる「症候性便秘
・服用している薬の副作用により起こる「薬剤性便秘

といった捉え方が、以前からよく用いられてきました。

中でも、病気等による器質的なものを除けば、殆どの便秘が「機能性便秘」に該当します。

「機能性便秘」の分類と主な原因

そして、この最も多い「機能性便秘」には、さらに3つのケースが考察されます。

1.「弛緩性便秘
大腸を動かす筋肉がゆるんで腸の運動機能が低下し、便が長く大腸に滞ってしまい、肛門まで行き届かなかったり、硬くなって排便しづらくなったりして起こる便秘です。
運動不足や朝食をとらない等の不規則な食生活、あるいは、加齢による筋肉や機能の衰えなどが原因となって起こります。

2.「痙攣(けいれん)性便秘
腸の一部がけいれんを起こしてしまったことで、大腸の動きが不規則になり、便がうまく運ばれずに長く滞留して、やっと排便してもコロコロ便だったり、残便感が残る便秘です。
その他にも、食後の下腹部痛や、便秘と下痢を繰り返す症状がでる場合もあります。
大きな環境の変化やストレス、または、過敏性腸症候群等がきっかけとなって起こります。

3.「直腸性便秘
大腸から直腸に便が下りてきても、直腸の便意を催すセンサーが鈍っているために、排便反射が起こらないままそこに便が停滞して、なかなか排便ができない状態の便秘です。
いきめばいきむほど便が出せないという、つらい症状がよくみられます。
習慣的に便意を我慢する傾向があったり、お尻の洗浄水を奥までしっかり入れたりなど、排便に関わる神経の感度を鈍らせるような行為が、この便秘の原因と考えられています。

1.はやや硬い便、2.はコロコロ細い便、3.は太くて硬い便が出やすい傾向にあるようです。

便秘薬の種類とその特徴


次に「便秘薬」にはどんなタイプのものがあり、またそれにはどんな特徴があるかについて、以下に簡単にまとめてみたいと思います。

◆『(大腸)刺激性便秘薬
腸管に直接刺激を与え、大腸の運動を活発化させて排便を促すタイプの便秘薬です。
即効性に優れており、とにかく、すぐにでもスッキリ出したいという方には適しており、夜飲んで、次の朝には排便の効果が期待できます。

ただし、腹痛を起こしやすく、常用すると習慣性や依存性が高く、薬が効かなくなる上に、反って便秘が治りにくくなるので、長期連用は不可で、痙攣性の便秘にも使えません。
主な薬の成分としては、ビサコジル、センノシド、ピコスルファートナトリウム、アロエ、センナ、ダイオウ(大黄)などがあります。

◆『膨張性便秘薬
もともと便になったもの自体の量が少なく、便通が停滞している場合に、便に多量の水分を含ませ膨張させて、腸管を刺激することで排便を促すタイプの便秘薬です。

自然に近い形で排便を促し、くせになりにくいですがが、人によってはお腹が張るだけで、効果が出にくいこともあります。
主な薬の成分としては、プランタゴ・オバタ種子(または種皮末)、ポリカルボフィルCa、カルボキシメチルセルロース、寒天末などがよく使われています。

◆『塩類便秘薬
腸内に水分を集めて増加させ、便を軟らかくして排便を促すタイプの便秘薬です。お腹も痛くなりにくく、痙攣性の便秘などにも適しています。十分な量のお水で服用することによりさらに効果を発揮します。

ただし、軽い便失禁や腎機能の低下を引き起こす可能性もあるため、長期連用や併用不可の薬については注意が必要です。
主な薬の成分は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどです。

◆『浸潤性便秘薬
界面活性作用によって便の表面張力を低下させ、水分を引き込んで便を柔らかく、そして滑りやすくして、スムーズな排便を促すタイプの便秘薬です。

こちらも、上記の塩類便秘薬と同様に、お腹が痛くなりにくく、たっぷりのお水で飲むと効果的ですが、習慣性が低い分、効果もやや弱めで穏やかです。
主な薬の成分には、ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)などがあります。


その他にも、内服薬が飲めない時や、すぐに便を出したい時などには、お尻から直接入れて
炭酸ガスを発生させ、腸を刺激して便を出す「座薬」タイプ、あるいは直腸内にグリセリン液を注入し動きを活発にして、便も軟らかくしながら出す「浣腸」等の便秘薬もあります。

幅広く便秘に対応できる漢方薬

さらに、便秘になりやすい原因と、その体質自体の改善に効果的なのが「漢方薬」です。

様々な薬理作用を持ち合わせた複数の生薬の組み合わせが、いま起きている症状の緩和と、慢性化した便秘の改善の、双方に働きかけてくれます。
加えて習慣性がつきにくく、西洋薬にはない腸管血流の増加作用や、便秘と下痢を繰り返す症状に対応できることなども、漢方薬の大きな特徴のひとつです。

依存し過ぎず、症状に合ったものを上手に使う

便秘は慢性化すると、食欲不振や吐き気、めまい、イライラ、背中の痛みなどの様々な随伴症状を引き起こしてしまいます。

また、間違った便秘薬や、その場しのぎの便秘薬を、長期にわたって使い続けることにより、腸本来の機能や筋力の低下を招いてしまい、だんだん薬が効かなくなってきたり、より症状を悪化させてしまう人も少なくありません。

定期的に便秘の症状を繰り返す傾向がある人は、改めて、その生活習慣をもう一度見直して、不摂生の改善や日々の養生に努めていきましょう。
そしてその上で、便秘薬を服用する際には、決して依存し過ぎず、特徴や副作用をきちんと理解して、自分に合ったものを上手に使うように心掛けましょう。

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この記事を書いたひと

大賀薬局

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