「まさにまさにまさに」「そうそうそう」兵庫県芦屋市長・髙島崚輔さんは激しいあいづちで人の懐に入る。超高学歴の史上最年少市長が見つけた対話の神髄と、色眼鏡への向き合い方とは?同級生だったTBS篠原梨菜アナウンサーと「タメ口」の対談で語った。

鳴らなかった防災無線と「アリバイ作り」を避けるコミュニケーション

篠原アナから「髙島君といえばSNSの使い方が上手いけど、発信は大事?」と水を向けられると、「めっちゃ大事」と昨年就任した27歳の市長は目を見開いてうなずく。2人は髙島さんがハーバード大学に進学する前の一時期、東京大学で同級生だった。

「税金をいただいて仕事をしているので、それをどういうふうに使っているか伝えるってめちゃくちゃ大事で。というか伝えないと、サブスクのサービスだったら解約されてる(笑)。

伝えて、届いて、初めて我々の仕事って一段階終わる」と髙島さんは力説する。伝える際に気を付けるのは「主語」が市役所にならないことだという。

「役所としてはこうやってます、以上!」ではなく、市民が何を知りたいかを一番に考える。そのため、就任前から続ける市民との車座の対話集会に寄せられた声などから、発信すべき内容を練っている、と髙島さん。

SNS上の声も丁寧に拾う。例えば、深夜の大雨で本来なら避難を促すべきはずの防災行政無線が鳴らなかったと指摘する投稿。

「担当の人としゃべったら、真っ暗な夜に全員避難する方が危ないとのこと。本当に危ない地域は別やけど、安全が確保されている場所は鳴らさないと判断することもある」という経緯をSNSで公表し、きめ細やかな反応を心掛ける。

東大で同級生だった髙島市長と篠原アナ

「一番良くないのは発信したやん、ってこっちが思い込んでるパターン。(発信したという)アリバイ作りにならないようするのはすごい大事かな」

「実は届いていない」ことのギャップを埋める髙島流の発信術は市職員にも好影響を与えている。

「市民と職員がお話するときって、どうしてもお叱りの電話などが多い。市長は外に出て市民と直接対話ができるポジションで、(市のサービスで)“これ、よかったよ”って話をめっちゃもらう。だからそれは役所に持って帰って、伝えてる」

そうしたコミュニケーションは職員からはとてもありがたがられるという。「市民は喜んでるのに、現場は全然反応がわからなくて、がんばったけどよかったんかな…って思ってるのはもったいない。そこをつなぐのは大事な仕事」