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補償

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
補償金から転送)

補償(ほしょう)とは、償い(つぐない)を補う(おぎなう)という意味である。基本の意味は償い(つぐない)であり、それを金銭的な面でも行うことで償いという行為をおぎなう、というようなニュアンスの用語である。

次のような特定分野では、それぞれ次のような固有な意味をもつ。

法律上の補償

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補償とは、相手に与えた損失損害を償う上で、金銭も支払うことで償いという行為を填補する(足りない部分を補う)という意味の表現である。

私人の間の補償

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私人(個人や私企業)の間で行われる補償というと、通常は損害賠償のことを意味しており、財産上の損失を金銭で填補することである[1]

次のふたつに大別される

  • 債務不履行に基づく損害賠償
  • 不法行為に基づく損害賠償

不法行為が原因で相手に何らかの損失・損害を生じさせてしまった場合、それを償う(つぐなう)ためにはさまざまなことをしなければならない。[注釈 1] そのひとつとして行われるのが損害賠償である。 [注釈 2]

国家による補償

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国家が適法な運営をしていても、国家の運営が原因で国民に損失・損害が生じてしまうことがあるが、その損失・損害を償うために行うことを国家補償という。

なお、このような国家補償は各国で行われている。

日本においては、国家が行う損失の補償としては、損失補償刑事補償国家賠償がある[2]

損失補償

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日本国憲法第29条第3項は、私有財産の公的利用には補償を要することを定めるが、同条は通常の受忍の範囲を超え、かつ特別の犠牲を課す場合にのみ適用されると一般に解されている。

例えば、道路工事に伴う土地の収用に対する損失補償がある。

刑事補償

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日本国憲法第40条は、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、にその補償を求めることができる。」と定めている。すなわち、無罪となった刑事被告人への刑事補償である。(刑事補償法も参照。)


国家賠償との類似と相違

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なお、国家補償は国家賠償と似ている表現ではあるが、法律用語としてはしっかり区別されており、国家補償のほうは国が適法な運営をしていても国民が被った損失・損害を償う、という意味であり、国家賠償のほうは国家公務員などが公権力を行使するにあたり故意であれ過失であれ違法な行為を行なったことや、道路・河川等の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じた場合に国民が被った損失・損害を償う、という意味である。それぞれ根拠法が異なっており、損失補償のほうは憲法第29条3項が根拠規定で、国家賠償のほうは憲法第17条が根拠規定であり[3]国家賠償法に定められている。

精神分析の補償

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防衛機制の一つで、ある事柄に対し劣等感を持っている際、他の事柄で優位に立ってその劣等感を補おうとすることを補償と呼ぶ[4]

工業技術の補償

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電子回路や、機械などの機構制御において、誤差変動特性バラツキなどを技術的に補正すること。

脚注

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  1. ^ たとえば、まずしっかりと謝罪する(自分の非・をしっかり認めてそれを言葉で表現し、相手にしっかりと誠実な態度で謝る)必要があるし、たとえば誹謗中傷をして相手の名誉を毀損してしまったら名誉回復のための行為をしなければいけないし、たとえば相手の土地を荒らしてしまった場合(それが回復可能な場合は)元の状態を回復する、などということがあるが、通常、名誉も完全には回復できず、物質的なことも元の状態をうまく回復できなかったり、(そもそも不始末をしたような人が)ふたたび関わると逆にさらに状況を悪化させてしまうことも多いので、与えた損失は(あくまで、しっかり謝罪した上での話だが)金銭を支払うことで、せめて償いという行為を補う、ということが行われる。
  2. ^ 金銭では本当は相手が失ってしまったモノやコトは回復できないが、だからといって何もしないのでは全然 償いになっていないので、せめて金銭を払うことで償いという行為の一部にする、ということが行われる。一部に「金銭を払えば償ったことになる」と勘違いする人がいて謝罪もせずふんぞり返って相手に対して傲慢な態度をとる、という誤った判断をする人がいるが、そういう意味ではない。あくまで償いという行為を成立させるためには、まずしっかり謝罪をすることが絶対に必要で、その上で償いとしてできることを全て行う中で、金銭も支払う、ということを行う。