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社会保障

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OECD各国の目的別社会的支出のGDP[1]
OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(公費および私費)[2]

社会保障(しゃかいほしょう、: Social security schemes)は、個人的リスクである生活上の諸問題(病気けが障害出産老化死亡失業など)について貧困を予防し、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会所得移転によって所得を保障し、医療介護などの社会的サービス(Social benefits)を給付すること。社会保障制度(Social security system)は社会保障のための制度を指す[3]

社会保障という言葉は社会福祉と同義で使われることも多いが、公的には、社会福祉の他に公衆衛生をも含む、より広い概念である。

社会保障の有無や程度は国によって差が大きく、世界人口の53%、約40億人は社会保障がない状態に置かれている[4]。社会保障制度がある国においてその目的は多くの国で共通するが、言葉の意味するところは国によって異なる。たとえばイギリスでは、Social Security(社会保障)は経済的保障のみを指す。国際労働機関(ILO)や欧州連合(EU)などではSocial Securityに代えてSocial Protection(社会保護、社会的保護)という言葉も用い、経済協力開発機構(OECD)の統計ではSocial Expenditure(社会支出)の概念を採用するなど[5]、国際比較や統計処理のために様々な分類を行っている。

その財源については、一般税収を原資とする方式(ベバリッジ型)と、労使で保険料を拠出する方式(ビスマルク型)に分かれる[6]。後者については社会保険制度とも呼ばれる。

財政規模

OECD諸国における公的社会的支出[7]
人口一人あたり
支出(PPP米ドル)
(2015年)
GDPに占める
割合(%)
(2018年)
GNIに占める
割合(%)
(2015年)
NNIに占める
割合(%)
(2015年)
政府一般支出
占める割合(%)
(2015年)
OECD平均 7,819.6 20.1 19.6 23.8 43.1
8,579.6 17.8 18.3 22.3 48.5
13,839.4 26.6[注釈 1] 27.9 34.1 54.3
13,298.5 28.9[注釈 1] 29.2 36.3 54.2
7,878.3 17.3[注釈 2] 17.9 21.7 43.1
2,570.4 10.9 11.4 11.4 -
6,493.2 18.7 20.8 26.9 46.5
14,114.5 28.0 28.1 33.5 52.9
5,085.6 18.4 18.1 21.6 44.0
12,784.1 28.7 30.1 37.1 53.2
12,949.3 31.2 31.5 38.2 56.2
11,886.6 25.1 24.4 29.5 56.9
6,787.8 23.5 25.3 30.6 47.2
5,461.6 19.4 22.1 27.0 41.7
7,354.1 16.0 15.9 18.6 36.5
10,775.8 14.4 19.6 27.0 53.6
6,160.8 16.0 15.7 18.0 39.2
10,435.6 28.1[注釈 2] 28.6 35.0 56.6
8,993.9 21.9[注釈 1] 21.1 27.1 55.8
4,067.8 11.1 10.6 13.1 32.6
3,849.6 16.2 15.8 20.5 41.1
4,554.3 16.2 16.5 19.2 45.4
22,661.4 22.4 33.3 40.6 53.2
1,377.9 7.5 8.0 9.2 27.9
8,785.0 16.7 17.8 21.3 39.5
7,558.3 18.9 20.1 23.5 48.9
15,244.0 25.0 23.7 28.6 50.6
5,144.9 21.1 21.1 24.0 48.1
7,099.2 22.6 24.7 30.0 49.9
5,256.3 17.0 18.1 22.8 39.4
7,123.7 21.2 23.3 29.6 47.4
8,591.1 23.7 24.7 30.0 56.3
12,615.1 26.1 26.0 31.0 53.1
10,110.7 16.0 15.5 19.4 46.7
3,213.2 12.5 12.7 15.0 34.9
9,044.1 20.6 22.1 25.5 51.2
10,835.5 18.7 18.5 21.9 50.1

*印のある国は、違う年の値を使用している。国名の脚注にどの項目が違う年度の値であるか表記している。
特に項目を指定してない場合は、全項目である。国名に脚注してない場合は、脚注のある項目のみ違う年度の値を使用している。

社会保障給付と税・保険料負担の大きさを比較し、北欧諸国は「高福祉・高負担」、アメリカ合衆国は「低福祉・低負担」の代表例と言われている(ただしアメリカは公的支出は小さいが私的支出はOECD各国で最大であり、慈善団体の果たす役割が大きい[5])。

制度財源は国によって様々であり、社会保障財政を政府一般会計から分離して運営する場合には社会保障基金(Social security Funds)と呼ばれる[8]

財源

原資を雇用者または雇用主(あるいはその両者)にて供出する場合は社会保険制度(Social insurance)、ビスマルク型と呼ばれる[9][6]ドイツフランスなどが該当する[6]

それに対して、一般税収を原資として給付を行う方式をベバリッジ型と呼ぶ[6]スウェーデンデンマークなどの北欧諸国や[6]、社会保険制度のないオーストラリアニュージーランドなどが該当する[10]

欧州連合の旗 欧州連合諸国及び周辺欧州連合非加盟5カ国における社会保護費の拠出セクター(Social Protection receipts)
(2015年、%)[11]
企業 中央政府 地方政府 社会保障基金 一般政府 計 家計 非営利団体 国外
28.2 36.1 14.1 1.0 51.2 19.7 0.6 0.4
8.9 77.1 0.0 0.0 77.1 14.0 0.0 0.0
16.8 46.6 29.1 0.0 75.7 7.5 0.0 0.0
17.5 40.6 4.6 20.6 65.7 15.6 0.7 0.5
21.0 32.4 27.8 5.3 65.4 13.3 0.2 0.0
26.5 61.4 3.0 0.0 64.4 9.1 0.0 0.0
28.8 20.2 39.3 2.1 61.6 9.1 0.5 0.0
29.2 55.6 5.4 0.0 61.0 9.8 0.0 0.0
24.3 44.0 15.0 0.2 59.2 16.3 0.2 0.0
25.6 54.5 1.3 0.0 55.8 15.9 1.4 1.3
22.2 52.0 3.1 0.1 55.2 22.3 0.2 0.1
24.3 54.3 0.5 0.3 55.2 19.6 1.0 0.0
22.2 50.9 2.1 2.1 55.0 22.7 0.0 0.0
31.7 17.4 37.0 0.3 54.7 13.2 0.1 0.2
21.2 52.5 1.3 0.2 54.0 15.8 0.7 8.3
29.0 41.4 6.2 5.5 53.1 17.2 0.3 0.4
28.9 42.6 8.1 0.0 50.7 20.4 0.0 0.0
31.1 28.5 15.2 5.1 48.8 20.1 0.0 0.0
30.2 38.7 7.2 2.5 48.3 20.5 1.0 0.0
27.1 41.3 3.2 1.6 46.1 25.7 0.8 0.4
37.6 30.5 12.4 0.5 43.4 18.5 0.2 0.3
34.7 34.7 5.8 0.4 40.9 23.5 0.9 0.0
26.8 21.3 18.9 0.4 40.6 31.0 1.5 0.0
33.3 23.5 16.8 0.1 40.4 26.2 0.1 0.0
28.5 34.3 1.7 0.2 36.2 35.0 0.0 0.3
27.6 29.2 3.2 0.0 32.4 40.0 0.0 0.0
31.5 20.2 10.0 0.2 30.4 32.4 0.0 5.7
47.6 26.5 1.4 0.6 28.5 23.8 0.0 0.0
78.2 19.1 1.4 0.1 20.6 1.1 0.0 0.0
21.9 37.9 14.6 18.0 70.5 6.6 1.0 0.0
30.0 34.1 20.5 0.0 54.5 15.4 0.0 0.0
39.6 10.7 13.7 0.0 24.4 36.0 0.0 0.0
25.1 47.9 0.1 0.0 48.0 26.5 0.3 0.0
23.1 44.0 1.2 0.1 45.2 31.4 0.0 0.2
  • ポーランドは2014年の値。また、EUの値は2014年のポーランドも含まれている。
  • *印は、暫定値である。

歴史

社会保障の歴史は、経済社会の動きと密接に関係しており、社会保障の仕組みは、各国が長い歴史の中で、相互に影響を与えながら積み重ねてきたものである。19世紀から20世紀にかけては、各国で失業問題が最大の課題であり、その中から社会保障が進展してきた。また、本来、福祉とは正反対の戦争が契機となって社会保障の基礎がスタートした。21世紀の先進各国では少子高齢化と財源確保が社会保障の大きな課題である。

救貧法

大航海時代は、世界貿易を発展させ、商業の一大変革をもたらした。イギリスでは毛織物工場の設立を促し、輸出を志向するエンクロージャー(囲い込み)政策により、イギリスの農地は一斉に牧場へ変わっていった。農地から追い出された農民たちは都市へ流れ込み無産者(貧民)となった。1601年、イギリスではこれまでの救貧施策をまとめてエリザベス救貧法を制定し、家族による支援が得られない貧困者を救済する法を制定した。この救貧法(Poor Law)は現在の公的扶助にいたる原形となるが、当時社会保障という言葉は生まれていなかった。1834年に救貧法の大改正が行われ、貧民処遇の一元化や中央集権化が図られた。新救貧法では、貧困者は救貧院に収容されて、そこで働かされることになった。救貧の水準について「自立して働いている人のうちのもっとも貧しい人の生活水準以下で救済する」という、劣等処遇の原則や院外救済の禁止、市民権の剥奪などが確立されていったが、その劣等処遇の過酷さに社会的批判が高まるようになる。

社会保険の誕生

産業革命により資本主義が定着していくと、資本家から失業は個人の問題であり国による貧民救済は有害との主張がなされた。一方、工場労働者たちも防貧のために、自分たちの賃金の一部を出し合って助け合う共済組合を作っていった。共済組合はイギリスでは友愛組合、ドイツでは疾病金庫などの名前で親しまれ、主に疾病と失業による雇用の中断の際の経済的保障を提供していた。これらは、共済内メンバーの所得保障等に寄与したが、一方で共済外の高齢者(退職した労働者)の貧困問題には対処できなかった。また、小規模の助け合いの仕組みでは給付水準も限られ不安定であった。

1883年、ドイツで初めて疾病保険が制定された。1884年には労災保険1889年には年金保険が制定された[6]。このように、社会保険制度を創設しつつ社会主義運動を弾圧する「鉄血宰相」オットー・フォン・ビスマルクの政策は「飴とムチ」の政策と呼ばれる。疾病保険は、既存の共済組合を利用したもので、経費の公費負担はなかったが、労災保険の費用は全額事業主負担だった。年金保険は30年以上保険料を払い込んだ70歳以上の高齢者に給付を行うものであり、公費負担が3分の1だった。ドイツで始まった社会保険の仕組みは、その後に世界各国で導入されるようになる[6]

ベヴァリッジ報告

1929年に米国ウォール街での株価の大暴落を契機として始まった世界大恐慌により、世界各国には大量の失業者があふれ、社会不安が増大した。アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトニューディール政策の一環として1935年に連邦社会保障法(Social Security Act)を制定した。社会保障という言葉はこのとき初めて使われたが、この連邦社会保障法は、老齢年金、失業保険、障害者扶助、母子衛生及び児童福祉事業等をその内容としており、必ずしも、今日使われているような社会保障を意味するものではなかった。

社会保障という言葉が、国際的に本格的に使われるようになったのは、ベヴァリッジ報告以後である。イギリスでは、第二次世界大戦中の1942年ウィリアム・ベヴァリッジが『社会保険と関連サービス』と題したベヴァリッジ報告書を提言し、その後、多くの国の社会保障の発展に大きく影響を与えることになる[6]。この報告では、社会保険制度を中心とし、公的扶助・関連諸サービスを総合し、「ゆりかごから墓場まで」をスローガンにした社会保障計画を提唱した[6]戦後の社会保障の理想的体系(ナショナル・ミニマムの保証)を示したものであり、社会保険制度については均一拠出と均一給付を採用していた[6]

世界人権宣言

第二次世界大戦後、貧困が社会不安と戦争の惨禍を生んだことから、世界人権宣言は前文で「恐怖と欠乏からの自由」を、その第22条で社会保障を人権の一つとして明記した。

「全て人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展に欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。」

この項目は、1961年に採択された欧州社会憲章と1966年に採択された『経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約』により基本的人権である社会権の一つとして法定拘束力を与えられた。

社会保障の拡充

戦後期には、多くの先進国で社会保障が拡充された。

ケインズ主義の受容によって消極国家から積極国家へと転換したことにより、財政政策を通じた市場への介入と同時に社会保障政策を通じた市民生活への介入も正統性を得た。

社会保障(たとえば公的扶助失業給付)の対象となる受給者が膨大であれば財政を大いに圧迫してしまうため、ケインズ主義政策による完全雇用の実現は社会保障の質的向上の必要条件である。大量生産が実現して資本主義がフォーディズム段階に至ると、労働者に単純労働を強いる代償として社会保障の拡充が容認されうる。

社会保障を通じた所得再分配は大量生産の受け皿である国内需要の拡大に寄与する。特に開放経済の諸国においては、賃上げ抑制の見返りとして、政府が社会保障を拡充する。社会保障の充実は必ずしもプラスの効果ばかりをもたらすものではなく、社会保障制度が充実するにつれて、

  1. 労働供給への影響
  2. 資本蓄積への影響
  3. モラルハザード

というマイナスの効果も認識されるようになった[12]

先進諸国での社会保障の見直し

1970年代からオイルショックを契機とした先進諸国が低成長化によって税収が減少、社会保障の抑制の必要性がされるようになる。高齢者への無償福祉や低額福祉導入後、先進諸国における人口の急激な高齢化・少子化は社会保障の役割と規模の拡大によって社会保障費が増大し続けている。

イタリアの医療はかつて健康保険組合方式をとっていたが、基金は1970年代にほぼ破産状態となり、英国国民保健サービス(NHS)を手本とした租税原資による国民保健サービスに移行した[13]

フランスはビスマルク方式であり社会保険を主な財源としていたが、保険料の上昇を回避するために租税代替化を進めており、1991年から一般社会税フランス語版(CSG)が社会保障目的税として導入された[6]

日本の社会保障

社会保障制度

社会保障制度審議会による1950年の『社会保障制度に関する勧告』は、社会保障制度を次のように規定している「社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。」[14]。 日本の社会保障は社会保険、公的扶助社会福祉、公衆衛生の4つの柱と、生活安定・向上機能、所得再分配機能、経済安定機能の3つの機能からなる[15]。1961年に実現された「国民皆保険・皆年金」は、全ての国民が公的医療保険や年金による保障を受けられるようにする制度である。この「国民皆保険・皆年金」を中核として、雇用保険、社会福祉、生活保護、介護保険などの諸制度が組み合わさって、日本の社会保障制度は構築されてきた。

現状

日本の社会保障給付費の推移[16][17]
年度 金額 国民所得比
1980年 24兆7736億円 12.15%
1985年 35兆6798億円 13.69%
1990年 47兆2203億円 13.61%
1995年 64兆7243億円 17.54%
2000年 78兆1191億円 21.01%
2005年 87兆7827億円 23.99%
2010年 105兆3646億円 29.11%
2015年 115兆4007億円 29.57%
2016年 116兆9027億円 29.84%
2025年
(2018年の予測[18][注釈 3]
140兆8000億円
2040年
(2018年の予測)
188兆5000億円

社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%(名目額121.3兆円)から、2025年度に21.7~21.8%(同140.2~140.6兆円)となる。その後15年間で2.1~2.2%ポイント上昇し、2040年度には23.8~24.0%(同188.2~190.0兆円)となる[18]

社会保障給付費(厚生労働白書)

社会保障負担の対GDP比は、2018年度の20.8%(名目額117.2兆円)から、2025年度に21.5~21.6%(同139.0~139.4兆円)となり、2040年度は23.5~23.7%(同185.6~187.3兆円)へと上昇する。その内訳をみると、保険料負担は2018年度の12.4%(同70.2兆円)から、2025年度に12.6%(同81.2~81.4兆円)となり、2040年度には13.4~13.5%(同106.1~107.0兆円)へと上昇、公費負担は2018年度の8.3%(同46.9兆円)から、2025年度に9.0%(同57.8~58.0兆円)となり、2040年度には10.1~10.2%(同79.5~80.3兆円)へと上昇する。(「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018年5月厚生労働省推計)[18]の「計画ベース・経済ベースラインケースによる」のケースによる)。

日本では、かつては細川内閣が国民福祉税を構想していた。2012年には消費税法改正において社会保障と少子化対策に用途が規定された。日本が社会保障による慢性的な財政赤字に陥る要因となったのは1969年12月21日に 日本社会党日本共産党、左派団体の支援を受けて東京都知事に当選した美濃部亮吉が増税など支給に対する財源の負担を求めずに高齢者の医療費負担の全額無償化を行ったことだった。これ以降、高齢者の医療費無償を求める左派ポピュリズム運動が起きて、左派組織の支援を受けた候補が当選が増加する[19][20][21][22][23][24]1973年1月1日に第33回衆議院議員総選挙での敗北と左派政党の増進への危機感から、財源と財政から継続不可と反対のあったが、内閣総理大臣田中角栄の主導で、70歳以上の老人医療費の無料化が実施された。高齢者の無償のための医療費負担は、国が3分の2で地方自治体が3分の1を負担することになった[20][21][22][23]。同年7月 に美濃部都知事は国の無償制度の対象外だった、都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度を開始する。さらに、高齢者の東京都交通局が運営する運賃無料化というバラマキ政策や多額の税収を産んでいた公営ギャンブルである後楽園競輪場を1972年10月26日から廃止していた上に東京都は増税せずにバラマキをするポピュリズム政策の連発で東京都は財政赤字に陥る[20][21][22][23]1974年、前年の1973年10月に発生した第1次石油危機高度経済成長が終了して、日本は戦後初のマイナス成長と増税なしの高齢者医療費無償という過剰な高福祉の社会保障支出で大幅な歳入不足の財政赤字になり、以降は赤字国債を発行することになる[20][21][22][23][25]1975年12月に歳入不足のため、補正予算にて財政法で禁じている赤字国債を2兆3000億円分発行する。のちに内閣総理大臣となる当時の大平正芳大蔵大臣は「子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならない」と決意する。首相就任後は何度も消費税の導入を図るが、1980年に選挙運動中に死亡する。以降も消費税を訴える度に反対する野党に自民党は敗北したため、1989年まで導入されずに増大する高齢者への社会保障支出のためにその後の日本の国債依存財政が始まる[26][23][21][25]1979年第35回総選挙において大平正芳首相が一般消費税(税率5%)の導入を打ち出すが、自民党が過半数割れに追い込まれる大敗を喫する[25]1987年中曽根康弘首相は「大型間接税」ほどの包括性をもたない「新型間接税」であるとして売上税法案(税率5%)を国会提出。しかし、第11回統一地方選挙で自民党が敗北したため、廃案で与野党合意[27]1988年に導入論議から約20年後の竹下内閣時に消費税法が成立。12月30日公布[28] [29]1989年4月1日に消費税法施行 税率3%で導入された。1994年2月 細川内閣にて細川護煕首相が、消費税を廃止して税率7%の目的税「国民福祉税」を導入する構想を発表するが、担当となる閣僚を含めた政権要人からも反対論が上がり、即日白紙撤回。11月25日に村山内閣で3年後の1997年、に消費税等の増税(3%から5%に増税、うち地方消費税1%導入)のための税制改革関連法案[30]を成立[31]1997年村山富市首相が成立させた法案に基づき、橋本内閣が実施した[31]

2019年度の日本の社会保障費は歳出の34.2%を占め、約33兆9914億円が支出されている。社会保障費の内訳では、高齢者関係給付が圧倒的多数を占め、逆に児童・育児家庭分野などの割合が低い。日本は世界の全世代型福祉国家と比べて、社会保険など現役世代に大きく重い負担させて高齢者にのみ年金、医療費、介護費への手厚く多額の社会保障費が支出されている。ここ数年は保育所など子育て世代への割合を増やしているが、社会に必要な子育て世代よりも高齢者世代に対してアンバランスな税金分配されてきたことが少子高齢化の原因になっている[32][33][34]

脚注

注釈

  1. ^ a b c 2015年の値である。
  2. ^ a b 2017年の値である。
  3. ^ 2018年度の医療・介護サービスの足元の年齢階級別の受療率等(入院・外来の受療率、サービスごとの利用率)を基に機械的に将来の患者数や利用者数を計算。また、サービスごとの単価は足元の単価に一定の伸び率を乗じて計算。単価に乗じる伸び率は、医療は、経済成長率 × 1/3 + 1.9% - 0.1%、介護は、賃金上昇率と物価上昇率を65:35で加重平均。(社会保障・税一体改革の試算の仮定をそのまま使用。)

出典

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参考文献

関連項目

外部リンク