台湾高速鉄道
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台湾高速鉄道(たいわんこうそくてつどう 臺灣高速鐵路)は、台湾の台北と高雄とを結ぶ現在建設中の高速鉄道。略称「台湾高鉄 台湾高鐵」。開業予定は2006年10月31日
概要
台北-高雄間345kmを最高速度300km/h、ノンストップ90分で結ぶ計画(現状で、一番速い在来線特急の「自強号」は3時間59分かかる)であり、総事業費は4,600億台湾ドル(約1兆6千億円)。日本として新幹線の車両技術を輸出・現地導入した初めての事例である。
開業予定は2006年10月31日、台北~左営間。2005年10月開業予定であったが、機電工程を巡る欧州理事の横槍や、韓国ゼネコンの手抜き工事が露呈したり、日欧混合システムのために混乱が生じたりと遅れやトラブルが続き、延期された。ちなみに日本の新幹線技術を投入したため、日本のみならず台湾においても「台湾新幹線」と呼ばれることもある。ただシステムが一部異なるため、厳密には違うといえる。しかし、一般利用者にとって最大の接点である車両自体が700系の改良型となる700T型であるため、『新幹線』とはかけ離れたものとも言い切れない。
開業当初は1日あたり20往復を予定している。所要時間は台北~左営間で90分から120分、運賃は台北~左営間で950元~1400元、運行時間は7時~22時30分。台北~高雄間の航空運賃の70%程度の運賃である。
特長(新幹線との差異)
決められた開業予定にあわせるため車両方式決定に先立ち、土木構造物などを先行して着手、また経緯(後述)により当初は欧州システムを基準に進められたため、信号システムはフランス製、分岐器はドイツ製、車輌などは日本製という、日欧混在システムとなっている。
- 自動列車制御装置(ATC)は、単線双方向運転に対応
- 軌道最小曲線半径は6,250m(新幹線:4,000m*1)
- 分岐システムはドイツ製(38番分岐器を多用)
- 軌道中心間隔は4,500mm(新幹線:4,300mm*2)
- トンネル断面積は90m²(新幹線:64m²)
- 最急勾配は35‰(新幹線:15‰*3)
- *1:東海道新幹線のみ最小曲線半径は2,500m(大都市駅近辺(新橋駅辺りなど)では最小400mの曲線あり)。
- *2:東海道新幹線のみ軌道中心間隔は4,200mm。
- *3:現在では九州新幹線などに見られる様に条件付きで35‰まで許容している。
経緯
契約獲得にあたって、フランス・ドイツによる欧州連合の中華高鉄と日本連合の台湾高鉄とが競合し、欧州連合はネガティブ・キャンペーンを実施するなどの激しい売り込みを行った。これにより欧州連合は契約を獲得し、軌道はドイツ製、車輌はフランス製で設計が進められていた。しかし、ICEが死者約100名・負傷者約80名という大きな脱線事故を起こしてしまった。さらに不幸にも台湾大地震が発生した。これを重く見た台湾の関係者は、早期地震検知警報装置ユレダスを導入していた日本連合に切り替えることとした。このため欧州連合は、台湾高速鉄路に違約金を請求した。
以上の経緯にもかかわらず、欧州連合のコンサルティング契約、および、欧州連合が作成した仕様書はそのままであった。このことはスケジュールのみならず、全体的な足かせとなっている部分が否めないとの評価が日本の高速鉄道専門家からも出ている。
- 1989年 構想浮上
- 1990年7月2日 交通部に「高速鉄路工程準備所」(高速鉄路工程局の前身)が設立される
- 1992年6月 行政院が高速鉄道を査定
- 1993年7月16日 立法院で高速鉄道建設案が通過、建設のための政府予算は削除され、民間による建設が決議される
- 1997年9月25日 中華高鉄(欧州連合)が台湾高鉄(日本連合)を打ち破り優先交渉権を獲得、契約締結
- 1998年6月3日 ICE脱線事故(ドイツ・エシェデ近郊)
- 1999年4月5日 嘉義で着工式典
- 1999年9月21日 台湾大地震発生
- 1999年12月28日 日本連合が優先交渉権を逆転獲得
- 2000年3月1日 土木工程に着工
- 2000年12月12日 日本連合が車輌等、機械・電力コアシステム契約の正式調印
- 2001年6月13日 日本連合が車輌を受注
- 2003年1月23日 軌道工程に着工
- 2003年7月17日 レール敷設開始
- 2004年1月31日 700T型車輌落成(川崎重工)
- 2004年5月19日 700T型が川崎を出港
- 2004年5月24日 700T型が高雄港に到着、翌日陸揚げ
- 2005年1月27日 台南と高雄間において初の試運転(30km/h)
- 2005年4月1日 120km/hの試運転達成
- 2005年8月30日 200km/hの試運転達成
- 2005年9月8日 工期の遅れから、開業を2006年10月に延期すると発表
- 2005年10月29日 300km/hの試運転達成
- 2005年10月30日 315km/hの試運転達成
- 2006年1月 完成済みの区間で、まだ電気を流していない架線が切断され、導線が抜き取られている箇所が多数あることが確認された。中国の密貿易集団による犯行と考えられ、完成全区間に電気を流して対抗した。
- 2006年10月31日 台北~左営 開業予定
車両
駅一覧
駅名 | 距離(km) | 接続路線 | 所在地 | 停車パターン (2006年10月予定) |
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南港※1 | 0.0 | 台湾鉄路管理局縦貫線 台北捷運板南線 |
台北市南港区 | |||
台北※2 | 9.7 | 台湾鉄路管理局縦貫線 台北捷運淡水線・板南線・中正機場捷運 |
台北市中正区 | ● | ● | ● |
板橋 | 17.5 | 台湾鉄路管理局縦貫線 台北捷運板南線・環状線 |
台北県板橋市 | | | ● | ● |
桃園 | 42.2 | 桃園捷運藍線 | 桃園県中壢市 | | | ● | ● |
新竹 | 72.1 | 台湾鉄路管理局六家線六家駅(仮称) | 新竹県竹北市 | | | ● | ● |
苗栗※1 | 104.8 | 台湾鉄路管理局縦貫線豐富駅(山線) | 苗栗県後龍鎮 | | | | | | |
台中 | 165.7 | 台湾鉄路管理局縦貫線烏日新駅(仮称) 台中捷運烏日文心北屯線 |
台中県烏日郷 | ● | ● | ● |
彰化※1 | 193.8 | 台湾鉄路管理局縦貫線田中駅行バス開業予定 | 彰化県田中鎮 | | | | | |
雲林※1 | 218.4 | 雲林県虎尾鎮 | | | | | ||
嘉義 | 251.5 | 台湾鉄路管理局縦貫線嘉義駅と結ぶBRT開業予定 | 嘉義県太保市 | | | ● | |
台南 | 313.8 | 台湾鉄路管理局沙崙線沙崙駅(仮称) | 台南県歸仁郷 | | | ● | |
左営 | 345.2 | 台湾鉄路管理局縦貫線左営新駅(仮称) 高雄捷運紅線左営駅/高鉄駅(仮称) |
高雄市左営区 | ● | ● | |
高雄※3 | 台湾鉄路管理局縦貫線・屏東線 高雄捷運紅線・臨港軽軌 |
高雄市三民区 |
- ※1 南港、苗栗、彰化、雲林駅は2006年10月31日以降の開業予定
- ※2 台北駅は開業日遅延の可能性
- ※3 高雄駅は開業日未定
参考文献
- 齋藤雅男, 高速鉄路 建設のあゆみ Ilha Formosa 麗しき島―台湾, 鉄道ジャーナル(連載), 鉄道ジャーナル社