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SPANK HAPPY

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SPANK HAPPY(スパンク・ハッピー)は日本ポップ・ミュージックユニットである。

1992年に、ハラミドリヴォーカル)、菊地成孔サックス)、河野伸キーボード)で結成。1994年東芝EMIよりデビュー、1998年のハラミドリ脱退で活動休止。1999年に岩澤瞳と菊地成孔とのヴォーカルデュオグループとして活動再開、2001年ベルウッドレコードより再デビュー。2004年の岩澤脱退後、新ヴォーカルにドミニク・ツァイを迎えるがわずかな期間で脱退、以降は2006年10月22日の解散まで女性ヴォーカルを固定しないユニットとして活動した。グループ名は菊地の発案によるSLAPP HAPPYのもじりであり、ヴォーカルであったダグマー・クラウゼ自身からも許諾を得たという。

結成当初はリーダーを持たない平等なユニットであったが、河野とハラが相次いで脱退し岩澤が加入して以降、菊地が実質的なリーダーとして活動していた。以下では、ハラミドリ脱退までを「第一期」または旧スパンクス、岩澤瞳加入から脱退までを「第二期」、ドミニク・ツァイ加入から解散までを「第三期」、第二期と第三期を合わせて新スパンクスと呼ぶ。

2007年10月、「第一期」のアルバム2枚(ボーナストラックとしてシングル曲や未発表曲を追加)がEMIミュージック・ジャパンより復刻された。

来歴

第一期

1992年に、ハラミドリ(ヴォーカル)、菊地成孔(サックス)、河野伸(キーボード)のメンバーで結成される。音楽性としてはヴォーカル中心のポップスで、ヒットチャートに乗るような音楽を目指していたという。作詞は菊地とハラ、作曲は全員の持ち寄りだった。楽曲トラックの制作においては、現役ジャズマンである菊地がブラスアレンジメントを担当。アイドルのオケ制作などをしていた河野が、全体のアレンジに大きな影響力を持っていたことが伺われる。

1994年に東芝EMIからレコードデビュー、楽曲がテレビ番組のテーマ曲に使用されることがあったが、大きなヒットには至らなかった。しかしながら、ジャズマンでもある菊地が知り合いの凄腕ミュージシャンたちを集め、ポップグループとしては非常に演奏力のあるライブを行っていたことから、アヴァン・ポップの文脈から一部にカルト的な人気を誇っていた。ライブおよびレコーディングに参加していたミュージシャンとしては、村田陽一(トロンボーン)、今堀恒雄(ギター)、大友良英(ギター)、内橋和久(ギター)、水谷浩章(ベース)、メッケン(ベース)、ナスノミツル(ベース)、岡部洋一(パーカション)、芳垣安洋(パーカッション)、外山明(パーカッション)、ASA-chang(パーカッション)、三沢泉(パーカッション)、植村昌弘(パーカッション)などが挙げられる。

1997年11月に河野伸が脱退。以降は2人で活動を継続するが、1998年に菊地成孔が壊死性リンパ結節炎という日本でもきわめて症例の少ない病気にかかり東京女子医大耳鼻咽喉科に入院、スパンク・ハッピーの活動が休止する。1998年10月11日にはハラミドリが脱退し、事実上、第一期スパンク・ハッピーが終了する。

第二期

ただ一人残ったオリジナルメンバーの菊地成孔は、活動を継続すべくヴォーカルの選考を繰り返す。1999年、岩澤瞳をヴォーカルに迎え、菊地成孔とのヴォーカルデュオグループとして活動を再開。これまでの音楽性を一転し、クラブミュージック・渋谷系寄りのアプローチを取る。ライブのオケは菊地周辺のジャズマン達による生演奏ではなく、カラオケトラックが用いられ、菊地が主にサックスではなくヴォーカルを取った。

2001年には、まだ正式音源が発表されていないにも関わらず、雑誌『クイックジャパン』がスパンク・ハッピー特集を組み、一部にマニアックな評価を得る。同年11月26日に、ファーストシングル『インターナショナル・クライン・ブルー』を発表。これまでライブで使用していたオケの音とは方向性が変わっており、ハウス色が濃くなっている。ちなみに、インターナショナル・クライン・ブルーとはフランスの画家イヴ・クラインが発案・特許取得した青色のことである。以降、シングル『ANGELIC』(2002年4月26日)、ファーストアルバム『COMPUTER HOUSE OF MODE』(2002年9月4日)を発表する。

2003年12月3日、セカンドアルバム『vendome,la sick kaiseki』を発表。まもなくして口パクでのライブを宣言するが、詳細な経緯は明らかにされていない。また、正式録音発表前にライブで演奏していた「普通の恋」であるが、菊地のホームページ日記上で「歌詞を無くしたので誰か提供してくれ」という旨が書かれ、突如ライブで演奏される(歌詞カードを見ながらであった)。これまで「普通の恋」を演奏しなかったのは、歌詞の内容などが菊地の不安神経症(2002年発症)に悪影響を及ぼすため、演奏する意志がないと説明されていた。結局、2004年1月に菊地成孔 feat.岩澤瞳名義でリリースに至るが、なぜスパンク・ハッピー名義ではないのか、なぜリリースする気になったのかなど、詳しい経緯は明らかにされていない(発売当初の菊地のインタビューによれば、音源製作に対する強い要望があったが、もともとSPANK HAPPYのために書かれた曲ではなく、従来のSPANK HAPPYの作風とは一線を画すため別名義でリリースに至ったとのことである)。[1]2004年4月5日に岩澤が脱退(引退)する。

第三期

菊地は新ヴォーカルを迎えての活動継続を宣言し、ネット上での新ヴォーカル募集などを経て、最終的には台湾人のドミニク・ツァイをヴォーカルに迎える。2004年6月20日、東京飯田橋・日仏学院で行われた「フェット・ドゥ・ラ・ミュージック(fête de la musique)」にて、ドミニク参加後の初ライブが行われる。以前からの口パク路線を踏襲してはいたが、ヴォーカルトラックが新たにドミニクの声で録音し直されていた。英語のみならず仏語も堪能なドミニクは、歌パート以外に仏語の語りパートも録音していた。以降、活動が軌道に乗るかと思われたが、ドミニクは活動継続の意志を失ったらしく、2004年9月11日のバンコク公演を無断キャンセル、自然消滅的に脱退した。

以降は、ライブの度ごとに女性ヴォーカルをゲスト(菊地は「マネキン」と称している)として迎えるスタイルで散発的に活動を行う。迎えられたゲストの素性は一切明らかにされず、ライブも岩澤瞳時代のCDトラックをそのまま流す口パクで、ゲスト達がどのような歌声なのか、そもそも歌手なのかも不明だった(後に菊地のホームページにて、東大駒場祭やオンエアネストでのライブに参加したのが、縣亜希という女性だったことが明らかにされている)。

2006年10月、菊地により解散が宣言される。活動の最後となった2006年10月20日と22日のライブ(スパークスの前座)には、元ピチカートファイヴ野宮真貴がヴォーカルに迎えられていた。

2011年、相対性理論のアルバム『正しい相対性理論』で、「QHPMAS」にボーカル・アレンジとして参加。

メンバー

  • 第一期
    • 菊地成孔(サックス)
    • 原ミドリ(ボーカル)1998年脱退
    • 河野伸(キーボード・作曲)1997年脱退
  • 第二期
    • 菊地成孔(ヴォーカル、サックス)
    • 岩澤瞳(ボーカル)2004年引退
  • 第三期(ドミニク脱退後は、女性ヴォーカルに毎回違う人をゲストに呼んでいた)
    • 菊地成孔(ヴォーカル、サックス)
    • ドミニク・ツァイ
    • 野宮真貴 2006年10月20日、22日にゲスト参加
    • そのほか3名の女性がゲストとして参加
2006年10月19日の菊地成孔ホームページ内の記述では、そのうち一名の姓名が縣亜希と明らかにされている。

ディスコグラフィー

第一期

ハラミドリ(ヴォーカル)菊地成孔(サックス)河野伸(キーボード)

  • 走り泣く乙女(東芝EMI、1994年8月)マキシシングル
  • My Name Is(東芝EMI、1994年9月)ミニアルバム
  • 僕は楽器/泣く方法(東芝EMI、1994年12月)シングル
  • 空飛ぶ花嫁(東芝EMI、1995年5月)シングル
  • Freak Smile(東芝EMI、1995年5月)アルバム
  • CHOCOLATE FOLK SONG(東芝EMI、1995年5月)シングル
  • My Name Is(EMIミュージック・ジャパン、2007年10月、復刻版、ボーナストラックあり)アルバム
  • Freak Smile(EMIミュージック・ジャパン、2007年10月、復刻版、ボーナストラックあり)アルバム
  • My Name Is(EMIミュージック・ジャパン、2011年10月、EMI ROCKS The First廉価盤、ボーナストラックなし)アルバム

第二期

菊地成孔(ヴォーカル、サックス)岩沢瞳(ヴォーカル)

  • インターナショナル・クライン・ブルー(ベルウッドレコード、2001年11月)マキシシングル
  • ANGELIC(ベルウッドレコード、2002年4月)マキシシングル
  • Computer House of Mode(キングレコード、2002年9月)アルバム
  • Vendôme, La Sick Kaiseki(キングレコード、2003年12月)アルバム
  • 普通の恋(compactsounds、2004年1月)マキシシングル c/w フロイドと夜桜 ※菊地成孔 feat.岩澤瞳名義

脚注

  1. ^ viewsic DYNASTY 69 2004年1月31日放送分より http://jp.youtube.com/watch?v=ygHoSdL7mks

関連項目

外部リンク