百鬼夜行絵巻
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百鬼夜行絵巻(ひゃっき やぎょう えまき)は、日本の絵巻物の一種である。代表作とされてきたのは、京都大徳寺山内の塔頭、一休宗純ゆかりの真珠庵に所蔵される「百鬼夜行図」(重要文化財、真珠庵本)である。
概要
百鬼夜行絵巻とは、その名の通り、「百鬼夜行」のさまを描いた絵巻物の総称である。但し、その名称は、現代の研究者等が名付けたものであって、当初よりの名称ではない。そのため、百鬼夜行のさまであると確定し得ない場合は、同様の図像が描かれた絵巻であったとしても、「妖怪絵巻」と名付けられている場合も見受けられる。
国の内外を問わず、各地に所蔵される絵巻であるが、著名なのは、真珠庵本である。室町時代の絵巻で、土佐光信筆と伝承されている。そこに描かれるのは、付喪神と呼ばれる器物の妖怪たちが中心である。
但し、百鬼夜行絵巻に描かれるのは、真珠庵本に見られるような付喪神だけではなく、他の本では、動物の変化した妖怪なども描かれており、当初より、数種の絵巻が存在していて、それが模写・転写されて、今日に伝わっているものと考えられている。
描かれる妖怪は器物中心であるが、真珠庵本以降の江戸模本には、獣、草木などの妖怪化したものも描かれ、鳥獣草木器物戯画絵巻という性格からも見ることが出来る。
主な作例
- 京都市・大徳寺真珠庵蔵本 - 室町時代、伝土佐光信画(重要文化財)
- アメリカ・ニューヨーク公共図書館蔵本
- 京都市・国際日本文化研究センター蔵本
- 京都市・京都市立芸術大学蔵本
- 東京都港区・大倉集古館蔵本
- 姫路市・兵庫県立歴史博物館蔵本
- 東京都台東区・東京国立博物館蔵本
- アイルランド・チェスター・ビーティー図書館蔵本
参考文献
- 小松茂美解説 「百鬼夜行絵巻の謎」 (<日本絵巻大成25>中央公論社、1979年)
- 『能恵法師絵詞・福富草紙・百鬼夜行絵巻』 (新版<続日本の絵巻27>、1993年) ISBN 978-4-1240-2907-9
- 田中貴子 『百鬼夜行の見える都市』 (新曜社、1993年、ISBN 978-4-7885-0480-6。ちくま学芸文庫、2002年、ISBN 978-4-4800-8731-7)
- 田中貴子 「百鬼夜行絵巻はなおも語る」、『図説百鬼夜行絵巻をよむ』、(<ふくろうの本>河出書房新社、1999年、新版2007年) ISBN 978-4-3097-6103-9
- 湯本豪一 『江戸の妖怪絵巻』 (光文社新書、2003年) ISBN 978-4-3340-3204-3
- 湯本豪一 『百鬼夜行絵巻 妖怪たちが騒ぎだす』 (<アートセレクション>小学館、2005年) ISBN 978-4-0960-7023-9
- 小松和彦 『百鬼夜行絵巻の謎』 (集英社新書ビジュアル版、2008年) ISBN 978-4-0872-0472-8
- 兵庫県立歴史博物館編著 京都国際マンガミュージアム編 『図説妖怪画の系譜』 (<ふくろうの本>河出書房新社、2009年) ISBN 978-4-3097-6125-1
- 小松和彦監修 『妖怪絵巻 日本の異界をのぞく』 (<別冊太陽>平凡社、2010年) ISBN 978-4-5829-2170-0