木賃宿
表示
木賃宿(きちんやど)とは、江戸時代以前の街道筋で、燃料代程度もしくは相応の宿賃で旅人を宿泊させた最下層の旅籠。宿場の外れに位置することが多い。宿泊者は大部屋で自炊が原則であり、寝具も自己負担が珍しくなかった。現在では、単に粗末な宿や安宿を意味する言葉となっている。また、木銭宿(きせんやど)とも言う。
また、木賃の『木』は自炊のための「薪」の事である。すなわち、薪代金の宿と言うことから木賃宿と呼ばれるようになった。
宿泊する際は、竈と井戸の使用料と薪の代金を払う。基本的に宿泊客が各自持ち込んだ食材で自炊するが、他人にやって欲しい場合は、大抵の木賃宿には二階や屋根裏に老婆が住んでいて、天井を棒で突いて老婆を呼び出し、宿泊代とは別に老婆に料金を払って料理をしてもらっていた。また、食材も大抵の場合、木賃宿かその近所で売っていた。