ドラ (麻雀)
ドラとは、麻雀において、和了したときに得点の加算につながる特定の牌のことをいう。立直(リーチ)とともに、日本の麻雀ルールを特徴づける要素である。
古くは懸賞牌とも呼ばれた。ドラという呼称は、戦後アメリカから逆輸入された麻雀用語で、元来は白・發・中の3種類の牌(三元牌、ドラゴン)のことを指したが、時代が下るにつれて現在の意味に変わっていった。
概要
和了したときに、手牌もしくは副露した牌の中にドラが含まれる場合、1枚につき1飜が加算される(飜ではなく一定の点数を加算するルールもある)。
ただし、役としては扱われないため、ドラを持っているだけでは一飜縛りの条件を満たすことはできない。あくまでも懸賞(ボーナス)として取り扱うということになる。
麻雀というゲームの偶然性を高める要素のひとつである。したがって、実力本位のルールではドラを認めないこともある。
ドラの決定
開門の際に、王牌のうち、開門位置から数えて3トン(枚)目の上段の牌を表向きにする。この牌をドラ表示牌という。
ドラ表示牌の次位牌(数字が1つ大きい牌)がドラとなる。このような方式をネクスト、もしくはネキストという。
次位牌の具体例は以下の通り。
- 一萬がドラ表示牌の場合:ドラは二萬
- 五筒がドラ表示牌の場合:ドラは六筒
- 九索がドラ表示牌の場合:ドラは一索(ドラの決定においては9の次を1とみなす)
風牌の場合、次位牌は東南西北の順(北の次位牌は東)とする。また、三元牌については、次位牌は白發中の順(中の次位牌は白)とする。
なお、次位牌ではなくドラ表示牌そのものをドラとするルールもある。この場合は現物(「ドラは現物」など)という。ドラ表示牌に1枚使用されるため、そのドラ牌は3枚までしか使用できないことになる。
ドラの増加
通常の場合、ドラは1種類(4枚)であるが、状況に応じて増加することがある。
- 裏ドラ
- 立直をかけて和了った場合に限り、ドラ表示牌の下段にある牌もドラ表示牌として扱う。これにより成立するドラを裏ドラという。通常のドラと異なり、和了するまでどの牌が裏ドラなのかはわからない。なお、裏ドラを確認する前であれば裏ドラの権利を放棄することも出来る。
- 槓ドラ
- 槓をした際に追加されるドラ。具体的には、槓が行われたとき、ドラ表示牌の隣り(開門位置の反対側)の牌をドラ表示牌として表向きにすることで成立する。
- 槓裏
- 槓ドラ表示牌の下段にある牌を裏ドラとして扱う。
いずれの場合も、増加したドラ表示牌の次位牌をドラとして扱うのが一般的である。なお、同種の牌n枚が重複してドラ表示牌となった場合、その次位牌は1枚につきドラn枚分と数える。
なお、裏ドラ・槓ドラ・槓裏のすべて、もしくは一部を認めないとするルールもある。
ドラとして扱う牌
上記のようなドラ以外に、あらかじめ特殊な牌を混ぜておき、これをドラとして扱うルールがある。
- 赤ドラ
- 文字の彫り込み部分を赤で着色した数牌を赤牌という。一般的には、赤牌として五筒・五索・五萬を各1枚ずつ(通常の牌と入れ換えて)用いることが多い。(五筒は2枚入れることもある。)この赤牌をドラ(赤ドラ)として扱うことがある。
- ごく希に、三筒・三索・三萬・一筒・西・北など、「五」以外の牌を赤牌として用いることもある。
- 以前はそれほどポピュラーなルールではなかったが、雀荘のハウスルールやコンピュータゲームの麻雀で採用されるケースが多くなってきている。
- なお、赤ドラを採用した場合は「七対子 ドラ1」がありうる。
- 花牌
- 春夏秋冬・梅蘭竹菊と書かれた牌を花牌という。これをドラとして扱うことがある。現在では一般的ではない。
- 花牌を4枚用いる場合、牌の合計は140枚となる。8枚用いる場合は、合計144枚となる。
- 花牌は面子や雀頭として使用することはできない。このため、花牌を自摸した場合、卓の右隅に晒したうえで、嶺上牌を1枚取得する。なお、花牌の枚数だけ嶺上牌をあらかじめ確保しておく必要がある。
- 中国麻雀では、花牌を8枚使用する。晒す際にファ(花)と発声する。
- 白ポッチ
- 白(白板)の中央に窪みをつけた牌を白ポッチという。通常の白と入れ換えて用いる。これをドラとして扱うことがある。
- なお、立直をかけて一発でこれを自摸した場合に限り、オールマイティーとして、いかなる待ちでも和了できるというルールもある。ジョーカーのようなもの。雀荘に多いローカルルール。
- 抜きドラ
- 三人麻雀において、通常使用しない北などの牌を、花牌と同様にドラ(抜きドラ)として扱うことがある。
ドラに関する戦略
手作りにおいては、役をつけるのと同様にドラの利用も重要である。ただし、ドラも和了形の一部として持っていなければいけない以上孤立した形でドラを持ち続けるのも無意味である。利用できないドラは終盤になれば危険牌となって捨てられなくなる可能性があるため、利用に見切りをつける判断が必要となる。
また、対戦相手もドラを有効に活用しようとしているため、聴牌がドラを待つ形であるほかドラを含んだ面子で待っていることは十分にあり得る。そのため、ドラだけでなくその隣接牌(ドラそば)も危険牌と言うことができる。ただしドラそば牌も、持っていればドラを自模ったときに有効活用する種とすることができるため、持ち続けるか早めに捨てるかの判断を同様に迫られることになる。
ドラの最大枚数
三暗槓でカンドラを3枚めくったあと、順子のテンパイになったらリーチでアガリ、裏ドラがすべて槓子と適合したらドラ32が成立する。槓子が五萬・筒・索で赤牌を使用するルールならドラ35。(13飜以上で数え役満(もしくは三倍満)となるため、一般的にはあまりドラが多すぎても意味はない。ただし青天井ルールの場合は別)
王牌
手牌
四槓子を雀頭まで完成させなければならないとするルールの場合、他家の四槓によるドラ40がありうる。
王牌
手牌
派生役
爆ドラ
爆ドラ(ばくドラ)は麻雀におけるローカル役のひとつ。ドラだけであがると成立するが通常のドラと同様、他に役がつかないとあがれない。トリプル役満。
(例)王牌
あがり牌
上記の例だと待ちも含めすべてドラであり、立直・飜牌・一盃口が成立し、あがる条件を満たしているため、爆ドラが成立してトリプル役満となる。