中国麻雀
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中国麻雀 (ちゅうごくマージャン) は、中国で遊ばれている麻雀であり、中国語では麻将と呼ばれる。日本においては中国麻将、ちゅんまなどと呼ばれることも多い。
日本と同様に様々なローカルルールが存在するが、ここでは中国政府認定の国際公式ルールについて解説する。
制定の経緯
国際公式ルールは、1998年1月、中国の政府機関である国家体育総局が麻雀を255番目の体育種目として認定したのを受けて同年9月に制定された正式のルールである。 中国にも日本と同様に地方によって様々なローカルルールが存在するが、それらをまとめ、役を絞ることによって作られた、中国麻雀の集大成とも言うべきルールであると言える。
ただ国際公式と称しても、中国外にはほとんど浸透しておらず、現在のところは中国統一ルールと呼ぶのが適切な状況である。従って、以下の解説では簡単に中国ルールと呼ぶことにする。
ルールの歴史
2006年にルールが改訂され、役の点数や複合の可否にいくつか変更があった。 この記事は、現時点で改訂を反映していない。
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日本麻雀との違い
同じ麻雀であっても、日本の一般的なルールとは大きく違い、全く別のゲームと言ってもよい。以下、その相違点を挙げる。
- 日本ルールでは34種136枚の牌を使うが、中国ルールではそれに加えて8枚の花牌を使う。
- 日本ルールでは点数を符と飜で計算するが、中国ルールでは「点」を使う。役にはそれぞれ点数が定まっており、その単純な足し算によって計算される。
- 上記のような点数計算である故に、点数のやりとりに点棒を用いない。点数は帳簿に記入して記録する。
- 日本ルールの役は30種類ほどだが、中国ルールの役は81種類ある。日本では符計算に使うような待ちの形や門前ロンといったものも役であるし、日本では馴染みのないような役も多数ある。
- 日本ルールは1飜縛りだが、中国ルールは8点縛りである。すなわち8点以上の手でなければあがれない。
- 日本ではロンあがりの場合は放銃者の一人払い(責任払い)だが、中国ルールでは放銃者は8点+あがり点を払い、他の2人も8点支払う。またツモ上がりの場合は3人とも8点+あがり点を払う。すなわちツモ上がりはロン上がりの3倍近い点数が得られることになる。
- 日本ルールの満貫のような点数打ち切りはない。可能性のある役はすべて数えて計算する。日本ルールにおける役満貫相当の88点役、64点役についても同様である。
- 和了時の発声は、ツモ/ロンに関係なく「和(フー)」である。
- 日本ルールは半荘制だが、中国ルールは一荘制、すなわち東場から北場まで16局行う。
- 場が変わる時に、席替えを行う。
- 親子の区別はない。あがり点、支払い点は常に一定である。連荘もない。
- フリテンはない。いつ何であがっても構わない。食い替えも自由。
- 食い下がりはない。門前であること自体が条件である役を除いては、門前でもそうでなくとも点は変わらない。
- ドラはない。したがって王牌は不要なので、山は最後の1枚までツモる。
- 九種九牌・四風子連打・四槓算了などの途中流局はない。(日本麻雀においても、途中流局を採用していない団体はいくつか存在する。)
- 暗カンは4牌全て伏せて行う。局の終了時に初めて開示される。
- リーチはない。よってそれに付随する役(一発やダブルリーチ)も存在しない。
- 天和、地和はない。
- 純全帯ヤオ九に相当する役はない。(全帯幺・无字・幺九刻または全帯幺・平和の6点となる。)
- 平和は順子4組で雀頭が数牌であればなんでもよく、待ちを問わない。副露していてもよい。
- 錯和が起こったときも続行できれば続行する。
- 錯和の罰は、10点オールの罰符と、あがり放棄である。
- 鳴きの間違い、見せ牌などの規定についても、統一ルール内に明確に定められている。
- 評価基準としては、テーブルポイントなどと呼ばれる順位点が設定されている。1位から順に4,2,1,0の点数が割り振られており、大会の順位なども順位点のみの合計で決定する。
国内での解釈
上に挙げた日本のルールとの違いのうち、用具に関するものやゲームの本質に関係ないものは、日本国内で多少異なったルールが使われることがある。 以下にそのような点を挙げる。 なお、言い切りの形で述べているが、日本国内では必ずそうであるという意味ではない。
- 日本麻雀と同様に点棒を用いる。100点棒を1点として扱う(他の点棒も同比率で変換する)。
- 花牌が用意できないときは、使用しない。その場合、花牌役はなくなる。
- 評価基準として、素点+ウマを使用する。
- 時間や起家マークなどの制約で、半荘単位で行う。
- 錯和やその他の罰則を、日本麻雀の慣例に則ったものに変更する。
- 役の点数はすべて合計ではなく、88点で打ち切る(満貫制)。このとき、1局で得られる点数は最大288点となる。
- 和了時の発声は、日本麻雀と同じ「ツモ」「ロン」を使って区別する。
役
計算法
基本は複合した役の点数の単純な足し算である。ただし、役が付いたとき、その役に必ず含まれる役は計算しない。たとえば七対は、門前役で,必ず単騎待ちであるため、不求人、門前清、単釣将は、計算しない。
88点役
- 大四喜 (タースーシー)
- 4組の風牌の刻子 (槓子でもよい) を含む手。圏風刻・門風刻・三風刻・碰碰和・幺九刻は複合しない。日本の大四喜に相当する。
- 大三元 (ターサンユェン)
- 3組の三元牌の刻子 (槓子でもよい) を含む手。箭刻・双箭刻は複合しない。日本の大三元に相当する。
- 緑一色 (リューイーソー)
- 牌画が緑のみである牌 のみで構成された手。混一色は複合しない。日本の緑一色に相当する。
- 九連宝灯 (チューリェンポートン)
- 門前で1種類の牌で1112345678999の形からあがった手。清一色・幺九刻は複合しない。日本の純正九連宝燈に相当する。
- 四杠 (スーカン)
- 4つの槓を含む手。明杠・暗杠・双明杠・双暗杠・三杠・碰碰和は複合しない。日本の四槓子に相当する。
- 連七対 (リェンチートイ)
- 1種類の数牌で7連続の数で作られた対子の手。七対・清一色・不求人・単釣将は複合しない。日本の大車輪に相当するが、日本の一般的な大車輪と違い1~7や3~9も該当する。
64点役
- 小四喜 (シャオスーシー)
- 3組の風牌の刻子 (槓子でもよい) と風牌の雀頭を含む手。三風刻は複合しない。日本の小四喜に相当する。
- 小三元 (シャオサンユェン)
- 2組の三元牌の刻子 (槓子でもよい) と三元牌の雀頭を含む手。箭刻、双箭刻は複合しない。日本の小三元に相当する。
- 字一色 (ツーイーソー)
- 字牌のみで構成された手。碰碰和・幺九刻は複合しない。日本の字一色に相当する。
- 四暗刻 (スーアンク)
- 4組の暗刻を含む手。碰碰和・三暗刻・双暗刻・門前清は複合しない。日本の四暗刻に相当する。
- 一色双龍会 (イーソーシュヮンロンフィ)
- 1種類の牌で老少副2組と5の雀頭を作る手。清一色・平和は複合しない。
48点役
- 一色四同順 (イーソースートンシュン)
- 同色かつ同数の順子4つを含む手。四帰一は複合しない。日本の一色四順に相当する。
- 一色四節高 (イーソースーチェカオ)
- 同色で数が連続した4つの刻子 (槓子でもよい) を含む手。碰碰和は複合しない。日本の四連刻に相当する。
32点役
- 三杠 (サンカン)
- 3つの槓を含む手。明杠・暗杠・双明杠・双暗杠は複合しない。日本の三槓子に相当する。
24点役
- 七対 (チートイ)
- 対子7つで構成された手。4枚使いも可 (後述する「四帰一」が複合する) 。不求人・単釣将は複合しない。日本の七対子に相当する。
- 清一色 (チンイーソー)
- 1種の数牌のみで作られた手。无字は複合しない。日本の清一色に相当する。
- 一色三同順 (イーソーサントンシュン)
- 同色かつ同数の順子3つを含む手。日本の一色三順に相当する。
- 一色三節高 (イーソーサンチェカオ)
- 同色で数が連続した3つの刻子 (槓子でもよい) を含む手。日本の三連刻に相当する。
16点役
- 清龍 (チンロン)
- 1種類の数牌の123・456・789の順子3つを含む手。日本の一気通貫に相当する。
- 三同刻 (サントンク)
- 3種類の数牌で同数の刻子3つを含む手。日本の三色同刻に相当する。
- 三暗刻 (サンアンク)
- 3組の暗刻を含む手。日本の三暗刻に相当する。
12点役
8点役
- 花龍 (ファロン)
- 3種類の数牌で123・456・789の順子3つを含む手。三色一通。日本においては同等のローカル役に三色通貫がある。
- 三色三同順 (サンソーサントンシュン)
- 3種類の数牌で同数の順子3つを含む手。喜相逢は複合しない。日本の三色同順に相当する。
- 三色三節高 (サンソーサンチェカオ)
- 3種類の数牌で数字の連続した刻子3つを含む手。日本でもローカル役に三色連刻がある。
- 妙手回春 (ミャオショーフィチュン)
- 山の最後の牌でツモあがりする。自摸は複合しない。日本の海底撈月に相当する。
- 海底撈月 (ハイテイラオユエ)
- 山の最後の牌を引いた人が捨てた牌でロンあがりする。日本の河底撈魚に相当する。日本とは定義がねじれている。
- 杠上開花 (カンシャンカイファ)
- 槓したときの嶺上牌でツモあがりする。自摸は複合しない。日本の嶺上開花に相当する。
- 搶杠和 (チャンカンフー)
- 相手が加槓した牌をロンする。和絶張は複合しない。日本の搶槓に相当する。
6点役
- 碰碰和 (ポンポンフー)
- 4組の刻子 (槓子でもよい) と雀頭で構成された手。日本の対々和に相当する。
- 混一色 (フンイーソー)
- 字牌と1種類の数牌のみで構成された手。日本の混一色に相当する。
- 全求人 (チュェンチューレン)
- 全ての面子をポン・チー・明槓で作り、ロンあがりした手。裸単騎。単釣将は複合しない。
- 双暗杠 (シュヮンアンカン)
- 暗槓2つを含む手。双暗刻と複合する。
- 双箭刻 (シュヮンチェンク)
- 三元牌の刻子を2つ含む手。
4点役
- 全帯幺 (チュェンタイヤオ)
- 全ての面子と頭にヤオ九牌を含む手。日本の混全帯么九に相当する。字牌が含まれているか否かは中国麻雀では区別されない。
- 不求人 (プチューレン)
- 四面子一雀頭の形でポン・チー・明槓をせずツモあがりした手。自摸は複合しない。十三幺・全不靠・七対の形の時は自模のみが付く。日本の門前ツモに相当する。
- 双明杠 (シュヮンミンカン)
- 明槓2つ、または明槓と暗槓を1つずつ含む手。
- 和絶張 (フーチュエチャン)
- 場に既に3枚晒されている牌であがった手。
2点役
- 箭刻 (チィェンク)
- 三元牌の刻子。日本の飜牌に相当する。
- 圈風刻 (チュェンフォンク)
- 圈風牌の刻子。日本の飜牌に相当する。
- 門風刻 (メンフォンク)
- 門風牌の刻子。日本の飜牌に相当する。
- 門前清 (メンチィェンチン)
- ポン・チー・明槓をしていない門前ロン。
- 平和 (ピンフー)
- 4つの順子を含み、頭が数牌の手。无字は複合しない。日本の平和に相当する。両面待ちでなくともよく、鳴いていてもよいが、頭は字牌ではいけない (客風牌も不可) という点が異なる。
- 四帰一 (スークィイー)
- 槓子にせずに同種の牌を4枚使った手。
- 双同刻 (シュヮントンク)
- 同じ数の刻子を2つ含む手。二色同刻。
- 双暗刻 (シュヮンアンク)
- 暗刻を2つ含む手。
- 暗杠 (アンカン)
- 暗槓を含む手。
- 断幺 (タンヤオ)
- ヤオ九牌を使わず、中張牌のみで構成された手。无字は複合しない。日本の断ヤオ九に相当する。
1点役
- 一般高 (イーパンカオ)
- 同色、同数の順子2つを含む手。日本の一盃口に相当するが、鳴いていても良い。
- 喜相逢 (シーシャンフォン)
- 異色、同数の順子2つを含む手。二色同順。
- 連六 (リェンリュー)
- 同色で連続した順子2つを含む手。
- 老少副 (ラオシャオフー)
- 同色の123と789の順子の両方を含む手。
- 幺九刻 (ヤオチューク)
- ヤオ九牌の刻子を含む手。老頭牌と客風牌の刻子に付く。
- 明杠 (ミンカン)
- 明槓を含む手。
- 缺一門 (チュエイーメン)
- 萬子、筒子、索子のうち1色を含まない手。
- 无字 (ウーツ)
- 字牌を含まない手。
- 辺張 (ピェンチャン)
- 辺張待ちで、待ちが一つである手。多面待ちには付かない。
- 坎張 (カンチャン)
- 嵌張待ちで、待ちが一つである手。多面待ちには付かない。
- 単釣将 (タンテャオチャン)
- 単騎待ちで、待ちが一つである手。多面待ちには付かない。
- 自摸 (ツモ)
- ツモあがり。
- 花牌 (ファパイ)
- 花牌をツモった場合はそれを花(ファ)と発声し直ちに手牌の外に晒して嶺上牌をツモる。1枚ごとに1点。ただし、8点縛りには数えない。すなわち花牌を含めて8点でも、花牌以外の役の合計が8点に満たない場合はあがれない。