Mighty Mouse
Mighty Mouse(マイティマウス)は、アップルコンピュータが初めて製作した多ボタンマウスである。コンピュータとはUSB、又はBluetoothによって接続する。
発売までの経緯
Macintoshの発売以降、アップルコンピュータは一貫して「多機能さよりも明快さを最優先する製品」であることの象徴として1ボタンマウスにこだわっていたが、1ボタンマウスでは年々ユーザーインターフェイスが複雑化しているオペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアに対応するには限界が見えていた。
Mac OS 8ではControlキーを押しながらクリックすることでコンテクストメニューを呼び出す機能が追加され、Mac OS X以降は2ボタンとホイール機能を持つ他社製マウスを標準でサポートしていたことなどから、アップルコンピュータによる2ボタンマウスの開発はかねてより噂されており、2005年8月2日のMighty Mouse発表に至った。 また、2006年7月25日にはレーザートラッキングエンジンを採用し、Bluetoothによってワイヤレスで使用できるWireless Mighty Mouseも発売された。
構造
Mighty Mouse
Mighty Mouseは一般的な2ボタンマウスのように、機械的なスイッチを2つ備えているわけではない。スイッチ自体は1つしかなく、ボディの上部、左右両側に内蔵された静電容量センサーによって左クリック・右クリックを判別している。これは1ボタンマウスとしても利用できるよう、古くからのMacintoshユーザーに配慮した設計を行ったため、このような手法をとっている。通常の場合、左側のみ、又は両側のセンサーに指が触れている場合は、1ボタンマウスのように左クリックとして認識し、右クリックとして認識させる場合には左側のセンサーから指を浮かせた状態で右側のセンサー部分をクリックする必要があり、一般的な2ボタンマウスを使用しているユーザーは注意が必要である。
左右の側面のマウスをつかむ部分に感圧センサーボタンを搭載し、この部分を強く押し込むことでMac OS Xの機能であるExposéやDashboardなどを呼び出すことができる。
また、一般的なマウスには画面のスクロールに利用するホイールが搭載されているが、Mighty Mouseではホイールではなくスクロールボールと呼ばれるトラックボールの一種を搭載しており、それを転がすことによって画面を上下左右にスクロールすることができる。ただし横方向のスクロールはMac OS X 10.4.2以降が必要である。
なおスクロールボールは汚れの付着によって感度が低下する。したがって動きが悪く感じるようなら清掃が必要であり、アップル社では「マウスを裏返して持ちながらボールを強く押しつけながら拭くことで、スクロールボール自身の清掃及び内部ハードウェアに溜まった細かいゴミの除去ができる」と説明している。ボール表面だけでなく内部まで完全にきれいにするには分解清掃が必要であるが、現在の構造では再組み立てに接着剤を必要とするなどメンテナンス性において課題が残されている。
このほか、マウスとしてはまれなスピーカー内蔵機器であり、ボタンをクリックしたりスクロールボールを回転させたりなどすると効果音を再生するようになっている。
Wireless Mighty Mouse
Wireless Mighty Mouseは、Bluetoothによってワイヤレスで使用できるワイヤレスマウスである。静電容量センサー、スクロールボール、感圧センサーなどはMighty Mouseと同じであるが、トラッキングエンジンに光学式ではなくレーザーを使用しているのが特徴。
電源は単3形の乾電池、又は蓄電池を二本必要とするが、電池に依るマウスの重量変化などを考慮し、一本でも動作するようになっており、本体裏側のセンサーをカバーするスライド型スイッチに依って未使用時には電源を切ることが可能である。
対応するOSはMac OS X 10.4.6以降。USB接続版と違いWindows 2000及びXPは公式にはサポートされなくなったので注意が必要である(Bluetoothマウスとして使うこと自体は可能)。