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「ネットワークアタッチトストレージ」の版間の差分

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[[オペレーティングシステム|OS]]は主に[[Linux]]や[[Microsoft Servers|Windows Storage Server]]である。[[OpenSolaris]]も使われる。ネットワーク経由でバグの修正や性能・機能の向上がメーカーより提供される。[[ファイルシステム]]には高性能・高信頼性が求められ、[[チェックサム]]、[[ジャーナリング]]機能を持つ[[ext4]]、[[btrfs]]及び[[ZFS]]等が使われる。管理者の負担減のために様々な設定作業が自動化もしくは簡便化されている。例えば4ベイ(ディスク4台が収納可能)の場合、最初のディスクを装着すると自動的にパーティションが設定され、数分後にはファイル共有可能になる。2台目を挿入すると自動的にRAID1になり、3台目を挿入するとRAID5が[[ウェブブラウザ]]から選択できるようになり、更に4台目にはRAID6も選択可能になる等、アプライアンスとしての性格がある。動的な[[コンピュータウイルス|ウイルス]]検出・通知・隔離機能、[[DLNA]]機能、外出先でもアクセスできるパーソナル[[クラウドコンピューティング|クラウド]]機能なども提供する。[[論理ボリュームマネージャ|ボリューム]]の設定や容量・温度等の監視はブラウザで行うのが基本だが、[[スーパーユーザー]]での[[ログイン]]を許可する事で追加ソフトのインストールが可能等、カスタマイズが可能な製品もある。ただしサポートの対象外となる事に留意する。
[[オペレーティングシステム|OS]]は主に[[Linux]]や[[Microsoft Servers|Windows Storage Server]]である。[[OpenSolaris]]も使われる。ネットワーク経由でバグの修正や性能・機能の向上がメーカーより提供される。[[ファイルシステム]]には高性能・高信頼性が求められ、[[チェックサム]]、[[ジャーナリング]]機能を持つ[[ext4]]、[[btrfs]]及び[[ZFS]]等が使われる。管理者の負担減のために様々な設定作業が自動化もしくは簡便化されている。例えば4ベイ(ディスク4台が収納可能)の場合、最初のディスクを装着すると自動的にパーティションが設定され、数分後にはファイル共有可能になる。2台目を挿入すると自動的にRAID1になり、3台目を挿入するとRAID5が[[ウェブブラウザ]]から選択できるようになり、更に4台目にはRAID6も選択可能になる等、アプライアンスとしての性格がある。動的な[[コンピュータウイルス|ウイルス]]検出・通知・隔離機能、[[DLNA]]機能、外出先でもアクセスできるパーソナル[[クラウドコンピューティング|クラウド]]機能なども提供する。[[論理ボリュームマネージャ|ボリューム]]の設定や容量・温度等の監視はブラウザで行うのが基本だが、[[スーパーユーザー]]での[[ログイン]]を許可する事で追加ソフトのインストールが可能等、カスタマイズが可能な製品もある。ただしサポートの対象外となる事に留意する。


== ファイル共有のためのプロトコル ==
== ファイル共有プロトコル ==
{{Main|分散ファイルシステム}}
{{Main|ファイル共有}}
NASでファイル共有を実現するプロトコルは、さまざまなクライアントに合わせたものが複数提供されるのが普通である。
さまざまなクライアントに合わせ複数提供されるのが普通である。
; [[Network File System]] (NFS)
; [[Network File System]] (NFS)
: [[Solaris]], [[Linux]], [[macOS]]などの[[UNIX]]/[[Unix系]]OSの多くがサポートするプロトコル。またWindows[[Services for UNIX]]をインストールすることでNFSクライアントとして機能する。
: [[Solaris]], [[Linux]], [[macOS]]などの[[UNIX]]/[[Unix系]]OSの多くがサポートするプロトコル。Windowsでも[[Services for UNIX]]の導入でNFSクライアントとして機能する。
; [[Server Message Block]] (SMB), [[Common Internet File System]] (CIFS)
; [[Server Message Block]] (SMB), [[Common Internet File System]] (CIFS)
: [[Microsoft Windows]]で主に利用されるプロトコル。UNIX系OSでCIFS機能を提供する[[Samba]]も広く利用されている。
: [[Microsoft Windows]]で主に利用されるプロトコル。UNIX系OSでCIFS機能を提供する[[Samba]]も広く利用されている。
; [[Apple Filing Protocol]] (AFP)
; [[Apple Filing Protocol]] (AFP)
: [[Classic Mac OS]]や[[macOS]]で利用されるプロトコル。古くは[[AppleTalk]]上のプロトコルであったが、現在は[[TCP]]/[[IP]]上で動作する。Unix系OSでAFP機能を提供する[[netatalk]]も広く利用されている。
: [[Classic Mac OS]]や[[macOS]]で利用されるプロトコル。Unix系OSでAFP機能を提供する[[netatalk]]も広く利用されている。
; [[WebDAV]]
; [[WebDAV]]
: プラットフォームへの依存性の低いプロトコルとして[[Hypertext Transfer Protocol|HTTP]]を拡張したWebDAVを備える機種もある。
: プラットフォームへの依存性の低いプロトコルとして[[Hypertext Transfer Protocol|HTTP]]を拡張したWebDAVを備える機種もある。
; [[iSCSI]]
; [[iSCSI]]
: ファイル共有ではないが、SANのストレージとしても使えるようiSCSI機能を備える機種もある。
: ファイル共有ではないが[[ストレージエリアネットワーク]](SAN)でも使えるよう[[iSCSI]]を備える機種もある。


== NASとSANの違い ==
== NASとSANの違い ==

2017年12月18日 (月) 21:52時点における版

ネットギア製のReadyNAS NV+

ネットワークアタッチトストレージ (Network Attached Storage) とは、コンピュータネットワークに直接接続して使用するファイルサーバTCP/IPネットワークに接続して使用する補助記憶装置であり、コントローラとハードディスクから成るファイルサービス専用コンピュータである。OSはファイルサービス用にチューニングや独自開発されている場合もある。

概要

呼び名としては略称のNAS(日本語を含む多くの言語ではナスと発音[1][2]。英語読みではナズ)が使われることが多い。また、カタカナ表記では、ネットワーク・アタッチド・ストレージのように「ト」を「ド」と書くのも一般的である。

NASは、従来よりファイルサーバと呼ばれていたものと基本的には同じものであるが、専用機化した分、高速なファイルサービスを提供し、管理も容易になっている。このようにひとつの機能をピックアップして専用機にしたものをアプライアンス(ネットワーク・アプライアンス)という。NASはファイルサービスのアプライアンスである。なお、コントローラ部分を機器として独立させたものをNASゲートウェイあるいはNASヘッドと呼ぶ。

ハードウェア

ハードディスク

使用するハードディスクの種類にはファイバーチャネルSerial Attached SCSI (SAS)、シリアルATA (SATA) がある。個人や小規模事業所などの極低予算を除いては、RAIDを構成して冗長性可用性を高めるのが一般的である。この場合、SATAなどのホットスワップ可能なディスクインタフェースを利用してシステム稼働中でも抜き差し交換できるようになっている事もある。

CPU

NASの主な演算処理はパリティ巡回冗長検査計算である。ネットギアReadyNASではローエンドはこれら計算エンジンを搭載したARM SoC、ミドルクラスはインテル Atom、ハイエンドはインテル Core i3と使い分けられている。当該エンジンにより比較的処理速度の低いSoCでも、RAIDのパリティ、btrfsiSCSICRC32Cdm-crypt暗号/復号化を高速に処理出来る。この間にもCPUはウイルススキャン等の別のジョブを実行し続けられる。

その他

NASはサーバの一種であるので、デスクトップ等とは違いビデオカードキーボードマウスなどのインタフェースが必要ない。ハイエンドではネットワークカードを二つ備えたり、ホットスワップ可能な複数の電源・冷却ファンを備えるなど障害発生時のダウンタイムを低減する機種もある。加えて10GbE(10Gbit/sイーサネット)を備える場合もあり、高性能コントローラやRAIDと相まり実測スループットはネットワーク上限の400〜500MB/sに及ぶ製品もある。

ソフトウェア

OSは主にLinuxWindows Storage Serverである。OpenSolarisも使われる。ネットワーク経由でバグの修正や性能・機能の向上がメーカーより提供される。ファイルシステムには高性能・高信頼性が求められ、チェックサムジャーナリング機能を持つext4btrfs及びZFS等が使われる。管理者の負担減のために様々な設定作業が自動化もしくは簡便化されている。例えば4ベイ(ディスク4台が収納可能)の場合、最初のディスクを装着すると自動的にパーティションが設定され、数分後にはファイル共有可能になる。2台目を挿入すると自動的にRAID1になり、3台目を挿入するとRAID5がウェブブラウザから選択できるようになり、更に4台目にはRAID6も選択可能になる等、アプライアンスとしての性格がある。動的なウイルス検出・通知・隔離機能、DLNA機能、外出先でもアクセスできるパーソナルクラウド機能なども提供する。ボリュームの設定や容量・温度等の監視はブラウザで行うのが基本だが、スーパーユーザーでのログインを許可する事で追加ソフトのインストールが可能等、カスタマイズが可能な製品もある。ただしサポートの対象外となる事に留意する。

ファイル共有プロトコル

さまざまなクライアントに合わせて複数提供されるのが普通である。

Network File System (NFS)
Solaris, Linux, macOSなどのUNIX/Unix系OSの多くがサポートするプロトコル。WindowsでもServices for UNIXの導入でNFSクライアントとして機能する。
Server Message Block (SMB), Common Internet File System (CIFS)
Microsoft Windowsで主に利用されるプロトコル。UNIX系OSでCIFS機能を提供するSambaも広く利用されている。
Apple Filing Protocol (AFP)
Classic Mac OSmacOSで利用されるプロトコル。Unix系OSでAFP機能を提供するnetatalkも広く利用されている。
WebDAV
プラットフォームへの依存性の低いプロトコルとしてHTTPを拡張したWebDAVを備える機種もある。
iSCSI
ファイル共有ではないがストレージエリアネットワーク(SAN)でも使えるようiSCSIを備える機種もある。

NASとSANの違い

NASという名称は、SANに対抗して命名された。どちらもストレージの範疇に含まれるが、ストレージ-サーバ間のファイルのやり取りについては、NASが汎用的で比較的安価なTCP/IPネットワークを用いるのに対し、SANは専用のファイバーチャネルネットワークを用いる。

サーバがNASに対してアクセスするときはファイル単位での処理となるが、SANの場合はディスクブロック単位の処理になる。通常どのディスクにおいても、1つのファイルは1つないし複数のブロックを占有している。そのため、SANの方がより融通の利く処理を行える。言い換えると、NASはあくまでネットワーク上のファイルサーバでしかないのに対し、SANでは遠隔にあるディスクがローカルディスク(RAWデバイス)のように振る舞う。しかし、このことは、同じディスク領域に異なるサーバがアクセスできないというSANのデメリットにもつながる。

データベースグループウェアの一部にはデータファイルをTCP/IP上のファイル共有で持つことを許さないものがある。したがって、サーバからRAWデバイスとして見えるSANの方が、対応できるアプリケーションの幅が広い。しかし、ファイルサービスだけに限ってみると、複数のサーバから一つのファイルにアクセスできるなど、NASの方が優れている。

一般的に、SANの方が柔軟にシステムを拡張でき、セキュリティや安定性が高いと考えられている。一方、価格はSANの方が導入コスト・保守コストともに高いことが多い。

SANであっても、ファイルサーバ(あるいはNASゲートウェイ)とディスクおよびファイバチャネルスイッチを一つのキャビネットに収めてしまえば、NASとして振る舞うことになる。また、NASも大規模なものは、内部にファイバチャネルを使用しており、SANを構成している。

ウイルスの脅威

2014年、NASを標的としたランサムウェア「SynoLocker」が確認された。ファイルを暗号化して金銭を要求する典型的な暗号化ランサムウェアであり、Synology製NASのOS「Synology DSM」の古いバージョンに存在する脆弱性を突いたものである。エフセキュア社とSynology社は攻撃が広がっていることに対し注意を呼びかけると共にNAS-OS「Synology DSM」を最新版へアップデートするよう促している[3]

関連項目

代表的なメーカー

NASに特化したオペレーティングシステム

一般家庭・SOHO向けのNAS

脚注

外部リンク