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ファイル:TA-4SU Skyhawk cockpits.jpg|[[:en:ST Aerospace A-4SU Super Skyhawk|TA-4SU スーパースカイホーク]]。通常のエアインテークの側面頂上付近に、ジェットエンジン冷却用のラムエアインテークが別に用意されている。 |
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ファイル:MiG-15 RB2.jpg|[[ミコヤン設計局]] [[MiG-15 (航空機)|MiG-15]]。典型的なジェットエンジンのラムエアインテーク。 |
ファイル:MiG-15 RB2.jpg|[[ミコヤン設計局]] [[MiG-15 (航空機)|MiG-15]]。典型的なジェットエンジンのラムエアインテーク。 |
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ファイル:Piston engine breathing.svg|ピストンエンジンの模式図(左から右へ向けて番号順に): 1.) |
ファイル:Piston engine breathing.svg|ピストンエンジンの模式図(左から右へ向けて番号順に): 1.)ラムエアインテーク、2.) [[エアクリーナー]]、3.)[[エアフロメーター]]、4.)[[:en:butterfly valve|バタフライバルブ]]、5.)[[:en:airbox|インテークチャンバー]]、6.)[[ポート加工|吸気ポート]]、7.)[[ポペットバルブ|吸気バルブ]]、8.)[[ピストン]]、9.)[[ポート加工|排気バルブ]]、10.)[[エキゾーストマニホールド|エキゾーストパイプ]]、11.)[[エキゾーストマニホールド|集合管]]、12.)[[三元触媒]]、13.)[[マフラー_(原動機)|マフラー]]。 |
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* {{仮リンク|ショートラムエアインテーク|en|Short_ram_air_intake}} - いわゆる'''キノコ型[[エアクリーナー]]'''のうち、外気導入板を備えたものの事である。 |
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* {{仮リンク|コールドエアインテーク|en|Cold_air_intake}} - '''出力向上'''の目的で外部の冷気(密度の高い空気)を取り込むもの。 |
* {{仮リンク|コールドエアインテーク|en|Cold_air_intake}} - '''出力向上'''の目的で外部の冷気(密度の高い空気)を取り込むもの。 |
2015年11月26日 (木) 05:57時点における版
エア・インテーク(英語: air intake)は、空気取り入れる入り口で、エンジンや空気調和機、補助動力装置(APU)などへ空気を取り入れる。エア・インレット(air inlet)、あるいは日本語で吸気口などとも表記される。形状によってはエアスクープ(英: Air Scoop)と呼ばれる場合もある。
概要
エアインテークは流管であるため、エアインテーク内にある流体の速度や圧力はベルヌーイの定理によって求められるが、エアインテーク付近(境界層)では流体の持つ粘性によって流速に変化が生じ、さらに空気のような圧縮性流体の場合は完全な計算が困難になるため[1]、実際に航空機などに取り入れる場合は風洞実験を行ってその性能を確かめる。
エアスクープは空気中を移動する機械の周囲を流れる空気の動圧を利用して、内部に外気を積極的に取り込むエアインテークの一つの形態である。様々な理由により、車体や機体、船体の正面に開口部を設けられない場合は、エアスクープを利用してエンジンに空気を取り込む方法がとられることが多い。
エアスクープが効率的に空気を取り込むように、開口部はできるだけ境界層[2]の外に出るように設計される。しかし開口部を高くしすぎると正面視界を遮るだけではなく空気抵抗が大きくなるほか、車体や機体から大きく突出した部品となり取り扱いに支障が発生する。エアスクープに取り込まれた空気が機械内部の目的の場所に導かれる経路で流れのエネルギーが失われないように、経路はできるだけ短く、抵抗の少ない内面となるように設計される。また、経路の周辺からの熱を受けないように断熱材が用いられる場合もある。
ラムエアインテーク
移動する乗り物などに生じる風圧を利用して、より効率的に空気を取り込むエアインテークをラムエアインテーク(英: ram-air intake)と呼ぶ。レーシングカーや、最高速度が280-300km/h以上に達するような市販のオートバイでも採用されている。市販の自動車ではポンティアックがラムエア(Ram Air)という商標でエンジン吸気口へのエアスクープを備えた車種を製造しているが、これらの車種はラムエアによる過給効果を期待できる速度域での使用を前提とした製品ではない。ラムエアインテークは、空気取り入れ口の入り口で発生する空気の運動エネルギーを静的な圧力に換える構造である。航空機のように高速で空中を移動する乗り物では発生する圧力が高く、燃焼室内への空気充填率を向上し出力が向上する。ラムエア(英: ram-air)は「衝突する空気」という意味で、空気密度の薄い上空を時速500km/h以上の速度で飛行するジェット機に用いられた。ラムエアインテークの概念は自動車やオートバイなどような陸上輸送機器の分野にも応用されるようになったが、陸上輸送機器の速度域においては吸気に正圧を生じる効果はほとんどなく、走行風を積極的に利用して吸気管内を流れる空気の抵抗を減らして[3]ポンピングロスを低減できる。アメリカ車において、ポンティアックが同様の形態のエアインテークを採用していた。市販自動車では一度姿を消したが、近年再び市場に姿を現す例が見られた。
形状
流入空気の速度によってエアインテーク(エアインレット)の形状は異なる。以下に代表的な例を挙げる[4]。
- NACAダクト(en:NACA duct)
- 入口は長方形で、奧に行くにつれて横幅が増える形状を持つ。NACAフラッシュインレット(英: flush inlet)、NACAスクープ(英: scoop)などとも呼ばれる。NACAはアメリカ航空諮問委員会の略、NASAの前身で翼型などについて多くの基礎的・網羅的研究を行った組織。
- ピトー型
- ピトー管と同様の形状。ジェット旅客機のエンジンの多くがエアインレットにピトー型を採用している。
- 2次元型
- 正面から見ると四角形、横から見るとくさび形のような形状で、Dインレットとも呼ばれる。コンコルドのような超音速輸送機や、F-14やSu-27といった戦闘機などが採用する形状で、翼の下、胴体の左右に設けられることが多い。
- ランプ型(en:Intake_ramp)
- ランプと呼ばれる板状のものを付加したエアインテーク。上記の2次元型と併用して2次元ランプ型と称する場合が多い。
- 円錐型
- 円管の中心から円錐が突き出た形状で、空気は円錐と円管の間から流入する。この円錐をショックコーンと言う。スパイク型、円形、軸対称型などとも呼ばれ、半円などのバリエーションもある。円錐型はMiG-21やSR-71など、半円型はF-104などが採用した。
航空機
航空機、とりわけジェット機においてはエアインテークの数や配置、形状はエンジンや飛行機の性能に大きく影響する要素の1つである。航空機の用途によってエアインテークの設計も異なり、例えば空気の薄い高高度を飛行する航空機やと低高度を飛行する航空機とでは設計が異なる。
近年の戦闘機では、インレットの位置や形状の設計にステルス性も考慮しており、例えば、F-117攻撃機やB-2爆撃機では、機体下面のレーダー反射断面積を小さくするために、エアインテークは主翼の上面に開口している。また、レーダー反射を増大させるファンブレードが正面から見えないように単発機でも敢えて左右に取り入れ口を設けたサーブ 39 グリペンやF-35といった例がある。F-35ではこれに加え、ダイバータレス超音速インレットと呼ばれる特殊なインテークを使い重量を減らしつつ、ステルス性を向上させている。
航空機ではピトー管が飛行中のラム圧の測定に利用され、大気圧との対比によって航空機の対気速度を測定するのに用いられている。
エンジンへ空気を導入する構造としてのラムエアインテークは、対気速度が高いジェット機では標準的に用いられていて、ラム圧を積極的に利用することはジェットエンジンには不可欠となっている。最高速度の頭打ちの要因となる開口部を減少させて空気抵抗を抑えつつも、より効率の良い吸入空気量を得るために流体力学を駆使したエアインテークの研究は古くから非常に盛んに行われた。そのうちの1つであるNACAダクト(en:NACA_duct)は、陸上の乗り物にも応用されている。
飛行中の吸入空気量を増大させる目的で機首に開口部を持つ空気取り入れ口は、第二次世界大戦前後のレシプロエンジン機にすでに見られたが、大戦中は出力増大の手法としてはスーパーチャージャーやターボチャージャーなど機械的な過給機が主流で、ラムエアインテークの概念のみで過給を行うことはあまり多くはなかった。
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TA-4SU スーパースカイホーク。通常のエアインテークの側面頂上付近に、ジェットエンジン冷却用のラムエアインテークが別に用意されている。
自動車
自動車では車体に設けられたエアインテークからエンジンルームや空調に空気を送る。エンジンが車体の後ろ寄りに搭載されるミッドシップや車体後部に搭載される車種は、車体横や後部上面にエアインテークが設けられている。過給機を持つ車種では、過給によって高温となった空気を冷やすインタークーラーへ直接空気を導くエアインテークが独立して設けられる場合もある。ブレーキを冷却するための空気を取り入れるエアインテークが車体側面に設けられている場合がある。自動車のボンネット上に取り付けられる例も多くあり、英語圏では特にフードスクープ(hood scoop)やボンネットスクープ(bonnet scoop)と呼ぶ。単なる装飾目的でエアスクープに似せた部品が設けられることもしばしばあり、ダミースクープとも呼ばれている。
自動車の場合、エンジンルーム内に配置された吸気管を通過するうちに、吸入空気がエンジンルームの熱を受けることを避けるためにエアスクープを利用して吸気管路を短縮する場合もある。あるいは吸気系を改造した結果として空気取り入れ口をエンジンルームに設けざるを得ない場合に、その付近に外気を取り入れる目的でエアスクープを利用する場合もある。空気は温度を下げることで密度が高くなるので、エンジンの出力を向上することができる。同様に、カウルを持つオートバイにも、エンジンやラジエターから離れたカウル前面に取り入れ口を持つエアスクープを備えた車種があり、後のラムエアインテークへと発展していった。自動車用エンジンの吸気に用いられるエアスクープはエンジンに固定されていて、ボンネットに開けられた穴から突き出すデザインとなっているものもある。こうしたエアスクープはエンジンの揺動にあわせて、ボンネット上で著しく振動することから、シェイカースクープ(en:shaker scoop)と呼ばれている。
フォーミュラ1やインディカーを始めとするモータースポーツ参加車両では、ラムエアインテークは今日でも極めてポピュラーな装備である。特にフォーミュラカーにおいてはレギュレーション(車両規定)によって、機械的な過給機の装着が禁止されている例が多いため、インダクションポッドなどの大口径ラムエアインテークを装着することで、最高速度域での最大限の過給効果と効率的な外気導入を狙った空力設計が行われている。
市販車両では、1960年代にポンティアック・GTOなどのディーラーオプションとして設定された。GMの商標でラムエアーと名付けられ、ボンネットに設けられたエアインテークをキャブレターに直接接続する構造構造であった。当時のGMの内規に配慮して[要出典][5]カタログスペックも非ラムエアーエンジンと変わらないものとされていたが、GTOのモデルイヤーが進むごとに改良と性能向上[6]が図られた。1970年代のポンティアック・ファイヤーバードの時代にオプション設定されたラムエアーIVでは、フロントウインドウの前方で空気の圧力が高くなることを積極的に利用するために、進行方向とは逆の向きに開口部が設けられたリバースドエアスクープから空気を取り入れる構造とされた。1970年代末から1980年代にかけて電子制御式燃料噴射装置で制御されたターボチャージャーやスーパーチャージャーが普及して一度姿を消したが、2004年にオーストラリアのホールデンによってGTOが復活して以降、再びオプションとしてラムエアインテークを採用する例が表れた。
なお、アフターマーケットパーツのエアクリーナーの中には、純正エアクリーナーボックスやコールドエアインテークをすべて取り外す形態をとるものがあり、その中の一部に専用のインテークパイプと導風板を併用することでラムエアインテークの効果を期待するように設計されたものが存在する。このようなエアクリーナーをショートラムエアインテーク(en:Short ram air intake)と呼ぶ場合がある。
自動車で上置きインタークーラーを採用してボンネットにエアスクープを設ける組み合わせは、前置きインタークーラーに比較すると、前方で跳ね上げられた石(road debris)などによってインタークーラーが損傷するリスクが低い点で、特にラリーなどのオフロードのモータースポーツで有利な場合がある。
空冷式のインタークーラーを備えた自動車で、インタークーラーを車両前面の開口部付近に配置できない場合にエアスクープを利用して冷却用の外気を導入するものもある。上置きインタークーラーの場合にはボンネットに、前置きインタークーラーの場合にはバンパー若しくは、バンパー下のフロントスポイラーにエアスクープが設けられる。
過熱したブレーキキャリパーやブレーキローターを冷却する目的で利用される例もある。車輪が車体で覆われていないフォーミュラカーではホイールの内側に独立した形状のものが取り付けられているほか、車輪が車体で覆われている車両にはフロントフェンダーやリヤフェンダーに開口部を設けて用いられている。
自動車の空調装置の一つとして、外気を直接室内に取り込むために開閉式のエアスクープ(ベンチレーター)が採用された例もある。キャビン正面の中央部やウィンドシールドの下に設けられたもののほか、屋根の前端中央に備えられたものもある。
外気を導入する機能の目的とは別に、単なる装飾目的でエアスクープの形状をした部品がボディパネル上に取り付けられる場合もある。こうしたものは単に開口部のみが取り付けられ、実際にはその先は閉鎖されているものがほとんどである。日本車では1970年代末から1980年代初頭に掛けて、ターボチャージャー搭載車両を中心にボンネットにダミースクープが設けられる例が見られた。ターボ車へのインタークーラー装着が一般化した1980年代後半以降は、ボンネットのダミースクープが廃れた一方で、リアフェンダーなどの車体側面に装着された車両が見られた。また、S12型シルビアなど、エンジンがボンネットに収まらない場合などに、ダミースクープを設けボンネットの高さを稼ぐ場合もあった。
オートバイ
オートバイではエンジン吸気のエアインテークは、異物が進入しにくいシートやタンクの下などの位置に配置される場合や、積極的に空気を取り入れるために車体側面や前面に設けられる場合がある。
特にスーパースポーツタイプやメガスポーツタイプの車種においては、走行風を利用してより多くの空気を取り込み、高速走行時の出力を向上させるラムエアシステムが採用されている車種がある。エアインテークはアッパーカウルの下部やヘッドライト付近などに設けられ、風圧によって空気が吸気管へ流れ込む動きを助ける。
オートバイにも走行風圧を積極的に利用してエンジン出力を向上させるエアインテークを装備する車種があり、ラムエアシステムやフォースドエアインテーク (英: foreced air intake)とも呼ばれる[7]。
1980年代初頭には電子式燃料噴射装置とターボチャージャーを搭載する車種もいくつか存在したが、自動車とは対照的にほとんど普及しなかった。その後、1980年代のレーサーレプリカに分類される車種で、エンジンや排気系の熱を受けにくいカウル正面から吸気を導入するダクトが採用されるようになった。1990年代後半に、ラムエアシステムが市販車に採用されるようになった。
ラムエアインテークの効果は低速域では出力向上の効果はほとんどなく、ターボチャージャーやスーパーチャージャーほどの過給効果は見込めない。
脚注
- ^ 全ての流体は圧縮性を持つが、無視できるレベルならば計算の簡略化のため省いて計算するのが普通である
- ^ 物体の表面に付近にある流れの遅い領域
- ^ “AutoExe:機能別商品情報”. 株式会社オートエグゼ. 2014年3月28日閲覧。
- ^ Raymer, Daniel P. (1999) (English). Aircraft Design: A Conceptual Approach, 3rd ed.. Reston, Verginia: American Institute of Aeronautics and Astronautics, Inc.. pp. pp.236-256. ISBN 1-56347-281-3
- ^ 当時のGMではフラッグシップのシボレー・コルベット以外の他部門の車種では、過剰な性能宣伝を行うことが抑制されていた。[要出典]
- ^ 1966年ごろのラムエアーIIで5馬力前後、1969年頃のラムエアーIIIでは10-15馬力前後向上
- ^ “バイク用語辞典”. ヤマハ発動機株式会社. 2014年4月17日閲覧。
参考文献
- 特許庁ホームページ【技術分類】走行風導入通路の配置(1) - 初期レプリカのコールドエアインテーク
- 特許庁ホームページ【技術分類】気化器用ラムエア導風通路の配置 - キャブレター時代のラムエアシステム
- 特許庁ホームページ【技術分類】ラムエア導風通路の配置 - 現在のラムエアシステム
- Pontiac's Ram Air Rarities - 1960年代のシステム
- ポンティアック・ファイアーバード - 1970年代以降
関連項目
- ジェット機
- ジェットエンジン
- ターボチャージャー
- スーパーチャージャー
- インテークマニホールド
- ショートラムエアインテーク - いわゆるキノコ型エアクリーナーのうち、外気導入板を備えたものの事である。
- コールドエアインテーク - 出力向上の目的で外部の冷気(密度の高い空気)を取り込むもの。
- ウォームエアインテーク - 燃費向上の目的でエンジンルーム内の熱気(密度の低い空気)を取り込むもの。燃料噴射装置でも用いられる場合がある。
- ヒートエアインレット - ウォームエアインテークのうち、特にキャブレターの霧化を補助する目的のもの。
- インテークランプ - ジェット機のエアインテーク。
- エアクリーナー
- ブースター
- ラムジェットエンジン