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3 - 5月ころに株分けする際や夏に、ひげ根の肥大した塊根を採集して、水洗いして天日干ししたものが[[生薬]]となり、'''麦門冬'''(ばくもんとう)と呼んでいる{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。麦門冬は、同じ仲間の植物で小型の[[ジャノヒゲ]](麦冬、別名:リュウノヒゲ)、[[ヒメヤブラン]](小麦冬)、[[コヤブラン]](大葉麦冬)の塊根も同様に呼び、薬効も同様に取り扱われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。
3 - 5月ころに株分けする際や夏に、ひげ根の肥大した塊根を採集して、水洗いして天日干ししたものが[[生薬]]となり、'''麦門冬'''(ばくもんとう)と呼んでいる{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。麦門冬は、同じ仲間の植物で小型の[[ジャノヒゲ]](麦冬、別名:リュウノヒゲ)、[[ヒメヤブラン]](小麦冬)、[[コヤブラン]](大葉麦冬)の塊根も同様に呼び、薬効も同様に取り扱われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。


滋養強壮や、病後の体力回復、[[風邪]]の[[咳]]止めに、のどの腫れに、麦門冬1日量5 - 10グラムを、約600 [[立方センチメートル|cc]]の水で半量になるまでとろ火で煮詰めて煎じた液を、食間3回に分けて服用する用法が知られている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。乾燥したところをうるおしながら熱を取る[[薬草]]で、咳やのど・鼻孔・口の乾燥によいと言われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}。手足がほてりやすい人には良いが、寒がりや冷え症の人への長期連用は[[禁忌]]と言われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}。
滋養強壮や、病後の体力回復、[[風邪]]の[[咳]]止めに、のどの腫れに、麦門冬1日量5 - 10グラムを、約600 [[立方センチメートル|cc]]の水で半量になるまでとろ火で煮詰めて煎じた液を、食間3回に分けて服用する用法が知られている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}{{sfn|田中孝治|1995|p=113}}。乾燥したところをうるおしながら熱を取る[[薬草]]で、咳やのど・鼻孔・口の乾燥によいと言われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}。手足がほてりやすい人には良いが、寒がりや冷え症の人への長期連用は[[禁忌 (医学)|禁忌]]と言われている{{sfn|貝津好孝|1995|p=113}}。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2024年2月19日 (月) 14:53時点における最新版

ヤブラン
フイリヤブラン
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: キジカクシ科 Asparagaceae
亜科 : スズラン亜科 Nolinoideae
: ヤブラン属 Liriope
: ヤブラン L. muscari
学名
Liriope muscari
(Decne.) L.H.Bailey[1]
シノニム
  • Liriope spicata Lour. var. densiflora C.H.Wright[2]
  • Liriope tawadae auct. non Ohwi[3]
  • Liriope platyphylla F.T.Wang et Tang[4]
  • Liriope graminifolia auct. non Baker[5][6]
和名
ヤブラン
英名
liriope
border grass
lily turf

ヤブラン(藪蘭、薮蘭、学名Liriope muscari)は、キジカクシ科ヤブラン属に属する多年草。別名リリオペ[7]サマームスカリ、広義でプラティフィルラ[7]ともよばれる。中国植物名は、禾葉土麦冬(かようどばくとう)[8]

名称

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和名ヤブランの由来は、やぶに生え、の形がランに似ていることからこの名が付けられたと言われている[9][10]。地方により、テッポウダマ(福島県)、ネコノメ(新潟県)ジャガヒゲ(岐阜県)、インノシポ(鹿児島県)などの地方名でも呼ばれている[10]

外国名は、英語big blue lily-turf [10]。漢名(中国)では、「麦門冬」と書かれ、「松寿蘭」は誤用とする説もある[10]

特徴

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東アジアに分布する[1]中国朝鮮半島日本では全土、主に関東以西の本州四国九州沖縄に分布する[10][11]山野の林内で樹木の下草として自生する[12]。庭園の日当たりの良くないところの下草や、縁取りなどに植えられている[9]

多年草で[8]、多数の葉が群がり大きな株になる[7]は連珠状、は根生し、草丈は30 - 60センチメートル (cm) ほどになる[9][10]。葉は濃緑色で線形、厚くて光沢があり、長さは30 - 60 cm、幅は7 - 12ミリメートル (mm) と細長くて、7 - 11本の葉脈があり、先は垂れる[7][10]

開花期はから(7 - 10月ころ)[12]。株の葉の間から多数の花茎が立ち上がり、高さは30 - 50 cmになり、花茎上に長さ8 - 12 cmの穂状花序を形成して、多数の淡紫色の小さなを密につけて咲かせる[9][7][12]。花の花被片は楕円形で6枚、雄しべは6本、雌しべは1本からなる[7][11]。子房は平たい円盤状で花の上から見え、1花柱があり、花柱の先端は裂けていない[7]。子房の中には6つの胚珠が入っている[7]

やがて秋には直径5 mmほどの球形の種子を露出して付け、光沢があって、まるで果実のように見え、熟すと緑色から黒紫色へ変わり目立つようになる[9][7][12]。ヤブランの果実は皮が早く落ちて、種子がむき出しになる変わった性質を持っている[11]。種子は、1つの花(子房)から普通2 - 4個ぐらいがかたまって育つ[7]

利用

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鑑賞

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ガーデニングの素材やグランドカバーとして、広く用いられている[12]園芸品種には、斑入りの葉や白葉の品種があり[10]、庭の木陰で栽培され、花期以外にも鑑賞される。プランターに植えて、楽しまれながら増産して用いられたりする[9]

薬用

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根の紡錘状に肥大した部分は、ベータフィトステロール粘液質、ブドウ糖などが含まれている。一般に粘液質は、皮膚や粘膜面に付着して薄い膜をつくり、外部の刺激を防いで炎症を鎮める効果があると考えられていて、漢方では、滋養強壮、のどの腫れ、せきを鎮める鎮咳の目的で処方、配剤される[9]

3 - 5月ころに株分けする際や夏に、ひげ根の肥大した塊根を採集して、水洗いして天日干ししたものが生薬となり、麦門冬(ばくもんとう)と呼んでいる[8][9]。麦門冬は、同じ仲間の植物で小型のジャノヒゲ(麦冬、別名:リュウノヒゲ)、ヒメヤブラン(小麦冬)、コヤブラン(大葉麦冬)の塊根も同様に呼び、薬効も同様に取り扱われている[8][9]

滋養強壮や、病後の体力回復、風邪止めに、のどの腫れに、麦門冬1日量5 - 10グラムを、約600 ccの水で半量になるまでとろ火で煮詰めて煎じた液を、食間3回に分けて服用する用法が知られている[8][9]。乾燥したところをうるおしながら熱を取る薬草で、咳やのど・鼻孔・口の乾燥によいと言われている[8]。手足がほてりやすい人には良いが、寒がりや冷え症の人への長期連用は禁忌と言われている[8]

脚注

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  1. ^ a b "Liriope muscari". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2012年8月15日閲覧
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Liriope spicata Lour. var. densiflora C.H.Wright”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月22日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Liriope tawadae auct. non Ohwi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月22日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Liriope platyphylla F.T.Wang et Tang”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月22日閲覧。
  5. ^ E. C. Stuart Baker (1864–1944; 鳥類学者) もしくはジョン・ギルバート・ベイカー (1834–1920; 植物学者)
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Liriope graminifolia auct. non Baker”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月22日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j 長田武正 1984, p. 116.
  8. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 113.
  9. ^ a b c d e f g h i j 田中孝治 1995, p. 113.
  10. ^ a b c d e f g h 木村陽二朗 2005, p. 463.
  11. ^ a b c 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 226.
  12. ^ a b c d e 大嶋敏昭監修 2002, p. 412.

参考文献

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関連項目

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