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「DDR SDRAM」の版間の差分

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[[画像:DDRSDRAM400-1GB.jpg|thumb|200px|DDR SDRAM (DDR400)]]
[[ファイル:KVR400X64C3AK2 - 2G.jpg|thumb|200px|DDR SDRAM (PC3200)]]
'''DDR SDRAM''' (Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)は[[パーソナルコンピュータ]]の中で使用される半導体[[集積回路]]で構成されたDRAMの規格の一種である。クロック信号の立ち上がり/立ち下がりのそれぞれデータをやり取りし理論上は同一クロクで動作する[[Dynamic Random Access Memory|SDRAM]]2データ転送速度を得られ(2[[ビット]]の[[プリフェッチ]]機能)。パーソナルコンピュータの2001年から2005年頃の主要なメインメモリとして用いられている。
'''DDR SDRAM''' (Double-Data-Rate SDRAM)は[[SDRAM]]の一種でクロックの立ち上がり/立ち下がりの両方を使うことで、片エジのみ使用する(SDRの)SDRAMの倍速(Double-Data-Rate)でデータ転送。また、そ規格のひとつで最初のもの。[[DDR2 SDRAM|DDR2]]が後継である。


DDR規格のプリフェッチバッファの深さ(depth)は2(ビット)である。
DDR SDRAMのメモリにはチップとモジュールの二つの規格が存在し、チップはメモリの周波数、モジュールはメモリの転送速度を示している。


後継のDDR2にとって代わられるまで、パーソナルコンピュータにおいて2001年〜2005年頃([[Pentium III]]後期〜[[Pentium 4]]前期)の主要なメインメモリとして、携帯電話においては2007年〜2011年頃(ARM11やCortex-A8など)に用いられていた。
== 経緯 ==
[[インテル]]は次世代メモリ規格としてDirect [[RDRAM]]の導入を推し進め、[[1999年]][[11月15日]]に初の対応[[チップセット]][[Intel 820]]を発表した。このDirect RDRAMはRambus社の特許で固められており、勝手な改良が行えないことや製造にRambus社への特許料が発生するなど、メモリメーカーにとっては旨みの少ないメモリ規格だった。


DDR SDRAMのメモリにはメモリチップとメモリモジュールの2つの規格が存在し、メモリチップ規格はチップの最大動作周波数、メモリモジュール規格はモジュールと機器間の最大転送速度を示している。
Direct RDRAMはインテルの主導により導入が始まったものの、価格の問題やIntel 820チップセットの製品回収にまで至った不具合により普及は妨げられた。CPUの販売でインテルと競合する[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]はDDR SDRAMを支持し、後にインテルもDirect RDRAMの普及を断念したことで、DDR SDRAMが次世代のメインメモリとして普及に拍車が掛かることとなった。


== チップの規格 ==
== 普及背景 ==
20世紀末、[[インテル|Intel]]は当初、SDR SDRAMの次世代のメモリ規格をRambusの[[RDRAM]]と目していた。1999年11月15日には初の対応[[チップセット]][[Intel 820]]を発表している。しかしRDRAMは、一筆書き配線などのエレガントな設計といった長所もあるものの、[[ラムバス|Rambus社]]の特許で固められており、勝手な改良が行えないことや製造に際しRambus社への特許料が発生するなど、メモリメーカーにとっては旨みが少ない、などの短所もまたあった。
作動周波数の違いによって次のような規格に分けられる。DDRに続く三桁の数字は立ち上がり/立ち下がりを合わせた周波数を示しており、実周波数はそれぞれの周波数はその半分になる。
* '''DDR200''' - 200MHz(実周波数100MHz)
* '''DDR266''' - 266MHz(実周波数133MHz)
* '''DDR333''' - 333MHz(実周波数166MHz)
* '''DDR400''' - 400MHz(実周波数200MHz)
* '''DDR500''' - 500MHz(実周波数250MHz)
* '''DDR533''' - 533MHz(実周波数266.5MHz)


価格の問題やIntel 820チップセットの製品回収にまで至った不具合、さらにはそのエレガントな設計の代償として未使用のメモリスロットに配線を終端まで接続させるためのダミーのモジュールが必要であるなどの利便性の悪さなどもあり、RDRAMのデスクトップ[[PC/AT互換機]]用としての普及はつまずくことになった。[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]はDDR SDRAMを支持し、後にIntelもデスクトップPC/AT互換機用としてはRDRAMを断念したことで、DDR SDRAMがSDR SDRAMの次世代のメモリとなった。
== モジュールの規格 ==
モジュールは64bit構成であり、64bitは8Byteである。例えば333MHzで動作するPC2700の場合、毎秒2666[[メガ|MByte]](= 2.664[[ギガ|GByte]]/sec)のデータ転送が行われる。それぞれの規格の名称はデータ転送速度に由来し2桁目を四捨五入したものである。
* '''PC1600''' - DDR200と同義で、最大で1.600GB/秒の転送速度を持つ。
* '''PC2100''' - DDR266と同義で、最大で2.133GB/秒の転送速度を持つ。
* '''PC2700''' - DDR333と同義で、最大で2.666GB/秒の転送速度を持つ。
* '''PC3200''' - DDR400と同義で、最大で3.200GB/秒の転送速度を持つ。
* '''PC4000''' - DDR500と同義で、最大で4.000GB/秒の転送速度を持つ。
* '''PC4200''' - DDR533と同義で、最大で4.200GB/秒の転送速度を持つ。
* '''''' - DDR633:


== 関連規格 ==
== メモリチップの規格 ==
最大動作周波数の違いによって分けられ、"DDR-"に続く3桁の数字で示される。この3桁数値はクロックの立ち上がり/立ち下がりを合わせた周波数(Double-Data-Rate)を示しており、実クロック(メモリバスクロック、2001年から2005年頃のパーソナルコンピュータにおいては[[フロントサイドバス|FSB]]クロックと同意)はそれぞれの周波数の半分になる。

== メモリモジュールの規格 ==
メモリモジュールは64bit構成であり、64bitは8Byteである。例えば333MHzで動作するPC2700の場合、毎秒2667[[メガ|M]]Byte(= 2.667[[ギガ|G]]Byte/sec)のデータ転送が行われる。それぞれの規格の名称はデータ転送速度に由来し、表記の4桁数値はGByte/secの小数点以下第2位を四捨五入したのちに小数点を取り除いた2桁へ、末尾にゼロ2桁を付したものである。

== 仕様 ==
{| class="wikitable"
|- style="font-size:small;"
!メモリチップ規格
!メモリモジュール<br />規格
!最大動作周波数<br /><small>(MHz)</small>
!加えることができる最大バスクロック周波数<br /><small>(MHz)</small>
!最大転送速度<br /><small>(GB/秒)</small>
|-
|DDR200
|PC1600
|200
|100
|1.600
|-
|DDR266
|PC2100
|266
|133
|2.133
|-
|DDR333
|PC2700
|333
|167
|2.667
|-
|DDR400
|PC3200
|400
|200
|3.200
|-
|DDR466
|PC3700
|466
|233
|3.733
|-
|DDR500
|PC4000
|500
|250
|4.000
|-
|DDR533
|PC4200
|533
|267
|4.267
|-
|DDR550
|PC4400
|550
|275
|4.400
|-
|}

== 後継規格 ==
DDR SDRAMから派生した、更に低電圧・高クロック動作の[[DDR2 SDRAM]]が2004年頃から市場に出回り始め、2006年には市場で主流の規格となった。2003年には更に派生した[[GDDR3]](後述のDDR3 SDRAMとは別の規格である点に注意)を搭載した[[ビデオカード]]が出荷され、2006年には[[DDR3 SDRAM]]の量産も開始されている。
DDR SDRAMから派生した、更に低電圧・高クロック動作の[[DDR2 SDRAM]]が2004年頃から市場に出回り始め、2006年には市場で主流の規格となった。2003年には更に派生した[[GDDR3]](後述のDDR3 SDRAMとは別の規格である点に注意)を搭載した[[ビデオカード]]が出荷され、2006年には[[DDR3 SDRAM]]の量産も開始されている。


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{{DRAM}}
[[Category:半導体メモリ|ててあある1えすていらむ]]

[[Category:コンピュータバス規格|ててあある1えすていらむ]]
[[Category:SDRAM]]
[[Category:コンピュータバス]]
[[Category:JEDEC規格]]


[[el:Μνήμη τυχαίας προσπέλασης#Τύποι μνήμης RAM]]
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[[fi:DRAM#DDR SDRAM]]
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2023年9月11日 (月) 23:50時点における最新版

DDR SDRAM (PC3200)

DDR SDRAM (Double-Data-Rate SDRAM)は、SDRAMの一種で、クロックの立ち上がり/立ち下がりの両方を使うことで、片エッジのみ使用する(SDRの)SDRAMの倍速(Double-Data-Rate)でデータを転送する。また、その規格のひとつで最初のもの。DDR2が後継である。

DDR規格のプリフェッチバッファの深さ(depth)は2(ビット)である。

後継のDDR2にとって代わられるまで、パーソナルコンピュータにおいて2001年〜2005年頃(Pentium III後期〜Pentium 4前期)の主要なメインメモリとして、携帯電話においては2007年〜2011年頃(ARM11やCortex-A8など)に用いられていた。

DDR SDRAMのメモリにはメモリチップとメモリモジュールの2つの規格が存在し、メモリチップ規格はチップの最大動作周波数、メモリモジュール規格はモジュールと機器間の最大転送速度を示している。

普及背景

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20世紀末、Intelは当初、SDR SDRAMの次世代のメモリ規格をRambusのRDRAMと目していた。1999年11月15日には初の対応チップセットIntel 820を発表している。しかしRDRAMは、一筆書き配線などのエレガントな設計といった長所もあるものの、Rambus社の特許で固められており、勝手な改良が行えないことや製造に際しRambus社への特許料が発生するなど、メモリメーカーにとっては旨みが少ない、などの短所もまたあった。

価格の問題やIntel 820チップセットの製品回収にまで至った不具合、さらにはそのエレガントな設計の代償として未使用のメモリスロットに配線を終端まで接続させるためのダミーのモジュールが必要であるなどの利便性の悪さなどもあり、RDRAMのデスクトップPC/AT互換機用としての普及はつまずくことになった。AMDはDDR SDRAMを支持し、後にIntelもデスクトップPC/AT互換機用としてはRDRAMを断念したことで、DDR SDRAMがSDR SDRAMの次世代のメモリとなった。

メモリチップの規格

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最大動作周波数の違いによって分けられ、"DDR-"に続く3桁の数字で示される。この3桁数値はクロックの立ち上がり/立ち下がりを合わせた周波数(Double-Data-Rate)を示しており、実クロック(メモリバスクロック、2001年から2005年頃のパーソナルコンピュータにおいてはFSBクロックと同意)はそれぞれの周波数の半分になる。

メモリモジュールの規格

[編集]

メモリモジュールは64bit構成であり、64bitは8Byteである。例えば333MHzで動作するPC2700の場合、毎秒2667MByte(= 2.667GByte/sec)のデータ転送が行われる。それぞれの規格の名称はデータ転送速度に由来し、表記の4桁数値はGByte/secの小数点以下第2位を四捨五入したのちに小数点を取り除いた2桁へ、末尾にゼロ2桁を付したものである。

仕様

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メモリチップ規格 メモリモジュール
規格
最大動作周波数
(MHz)
加えることができる最大バスクロック周波数
(MHz)
最大転送速度
(GB/秒)
DDR200 PC1600 200 100 1.600
DDR266 PC2100 266 133 2.133
DDR333 PC2700 333 167 2.667
DDR400 PC3200 400 200 3.200
DDR466 PC3700 466 233 3.733
DDR500 PC4000 500 250 4.000
DDR533 PC4200 533 267 4.267
DDR550 PC4400 550 275 4.400

後継規格

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DDR SDRAMから派生した、更に低電圧・高クロック動作のDDR2 SDRAMが2004年頃から市場に出回り始め、2006年には市場で主流の規格となった。2003年には更に派生したGDDR3(後述のDDR3 SDRAMとは別の規格である点に注意)を搭載したビデオカードが出荷され、2006年にはDDR3 SDRAMの量産も開始されている。

関連項目

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