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「グラム・シュミットの正規直交化法」の版間の差分

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'''グラム・シュミットの正規直交化法'''(グラム・シュミットのせいきちょっこうかほう、{{lang-en-short|Gram–Schmidt orthonormalization}})とは、[[計量ベクトル空間]]に属する[[線型独立]]な有限個の[[ベクトル]]が与えられたとき、それらと同じ[[部分空間]]を[[線型包|張る]][[正規直交系]]を作り出す[[アルゴリズム]]の一種{{sfn|Horn|Johnson|2013|loc={{google books quote|id=5I5AYeeh0JUC|page=15|0.6.4 Gram-Schmidt orthogonormalization}}}}。'''シュミットの直交化'''(ちょっこうか、{{lang|en|orthogonalization}})ともいう。[[:en:Jørgen Pedersen Gram|Jørgen Pedersen Gram]]および[[エルハルト・シュミット]]により名付けられた。変換行列は上[[三角行列]]に取ることができる。[[正規化]]する工程を省略すると、必ずしも正規でない直交系を得ることができる。
'''グラム・シュミットの正規直交化法'''(グラム・シュミットのせいきちょっこうかほう、{{lang-en-short|Gram–Schmidt orthonormalization}})とは、[[計量ベクトル空間]]に属する[[線型独立]]な有限個の[[空間ベクトル|ベクトル]]が与えられたとき、それらと同じ[[部分空間]]を[[線型包|張る]][[正規直交系]]を作り出す[[アルゴリズム]]の一種{{sfn|Horn|Johnson|2013|loc={{google books quote|id=5I5AYeeh0JUC|page=15|0.6.4 Gram-Schmidt orthogonormalization}}}}。'''シュミットの直交化'''(ちょっこうか、{{lang|en|orthogonalization}})ともいう。[[ヨルゲン・ペダーセン・グラム]]および[[エルハルト・シュミット]]に因んで名付けられた。変換行列は上[[三角行列]]に取ることができる。[[正規化]]する工程を省略すると、必ずしも正規でない直交系を得ることができる。


== アルゴリズム ==
== アルゴリズム ==
[[File:Gram-Schmidt orthonormalization process.gif|right|400px]]
[[画像:Gram-Schmidt orthonormalization process.gif|400px|right]]
''V'' を[[計量ベクトル空間]]とし、''V'' のベクトル '''''v''''', '''''u''''' の[[内積]]を ('''''v''''', '''''u''''') と表すことにする。与えられた[[ベクトル]]の[[線型独立]]系を {'''''v'''''{{sub|1}}, '''''v'''''{{sub|2}},..., '''''v'''''{{sub|''n''}}} とする。
''V'' を[[計量ベクトル空間]]とし、{{mvar|V}} のベクトル '''''v''''', '''''u''''' の[[内積]]を ('''''v''''', '''''u''''') と表すことにする。与えられたベクトルの[[線型独立]]系を {{math2|{{mset|'''''v'''''{{sub|1}}, '''''v'''''{{sub|2}},, '''''v'''{{sub|n}}''}}}} とする。

; 直交化
;直交化
:<math>\begin{align}
:<math>\begin{align}
\boldsymbol u_1 &:= \boldsymbol v_1
\boldsymbol u_1 &:= \boldsymbol v_1
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- \frac{(\boldsymbol u_2, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_2, \boldsymbol u_2)} \boldsymbol u_2
- \frac{(\boldsymbol u_2, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_2, \boldsymbol u_2)} \boldsymbol u_2
- \dotsb - \frac{(\boldsymbol u_{n-1}, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_{n-1}, \boldsymbol u_{n-1})} \boldsymbol u_{n-1}\\
- \dotsb - \frac{(\boldsymbol u_{n-1}, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_{n-1}, \boldsymbol u_{n-1})} \boldsymbol u_{n-1}\\
&:= \boldsymbol v_n - \sum_{i=1}^{n-1}\frac{(\boldsymbol u_{i}, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_{i}, \boldsymbol u_{i})} \boldsymbol u_{i}
&:= \boldsymbol v_n - \textstyle\sum\limits_{i=1}^{n-1} \dfrac{(\boldsymbol u_i, \boldsymbol v_n)}{(\boldsymbol u_{i}, \boldsymbol u_{i})} \boldsymbol u_{i}
\end{align}</math>
\end{align}</math>
によって順に新しいベクトルを作っていくと、{'''''u'''''{{sub|1}}, '''''u'''''{{sub|2}},..., '''''u'''''{{sub|''n''}}} は新しい線型独立系になる。構成から、互いに直交していることは容易にかる。
によって順に新しいベクトルを作っていくと、{{math2|{{mset|'''''u'''''{{sub|1}}, '''''u'''''{{sub|2}},, '''''u'''{{sub|n}}''}}}} は新しい線型独立系になる。構成から、互いに直交していることは容易にかる。

; 正規化
;正規化
:<math>
\boldsymbol e_i := \frac{\boldsymbol u_i}{(\boldsymbol u_i, \boldsymbol u_i)^{1/2}}
:<math>\boldsymbol e_i := \frac{\boldsymbol u_i}{(\boldsymbol u_i, \boldsymbol u_i)^{1/2}}</math>
とおけば {{math2|{{mset|'''''e'''''{{sub|1}}, '''''e'''''{{sub|2}},, '''''e'''{{sub|n}}''}}}} が求める性質を満たす正規直交系であることがかる。
</math>
とおけば {'''''e'''''{{sub|1}}, '''''e'''''{{sub|2}},..., '''''e'''''{{sub|''n''}}} が求める性質を満たす正規直交系であることがかる。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
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== 関連項目 ==
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* [[QR分解]]
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2023年7月17日 (月) 19:21時点における最新版

グラム・シュミットの正規直交化法(グラム・シュミットのせいきちょっこうかほう、: Gram–Schmidt orthonormalization)とは、計量ベクトル空間に属する線型独立な有限個のベクトルが与えられたとき、それらと同じ部分空間張る正規直交系を作り出すアルゴリズムの一種[1]シュミットの直交化(ちょっこうか、orthogonalization)ともいう。ヨルゲン・ペダーセン・グラムおよびエルハルト・シュミットに因んで名付けられた。変換行列は上三角行列に取ることができる。正規化する工程を省略すると、必ずしも正規でない直交系を得ることができる。

アルゴリズム

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V計量ベクトル空間とし、V のベクトル v, u内積を (v, u) と表すことにする。与えられたベクトルの線型独立系を {v1, v2, …, vn} とする。

直交化

によって順に新しいベクトルを作っていくと、{u1, u2, …, un} は新しい線型独立系になる。構成から、互いに直交していることは容易に分かる。

正規化

とおけば {e1, e2, …, en} が求める性質を満たす正規直交系であることが分かる。

脚注

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参考文献

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  • Horn, Roger A.; Johnson, Charles R. (2013). Matrix analysis (Second ed.). Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-54823-6. MR2978290. https://books.google.co.jp/books?id=5I5AYeeh0JUC&pg=PA15 

関連項目

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外部リンク

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