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== 形態 ==
== 形態 ==
大きさにより、[[カモ]]、[[ガン (鳥類)|ガン]]、[[ハクチョウ]]に大別される。カモは主に夜行性、ガンとハクチョウは主に昼行性。

最大種は[[ナキハクチョウ]]、最小種は[[アフリカマメガン]]<ref name="fn1"/>。頸部は比較的長い<ref name="fn3">{{Cite book | author = Leslie H. Brown, Emil K. Urban, Kenneth B. Newman| title = The Birds of Africa, Volume I| edition=| year = 1982| publisher = Academic Press| id = ISBN 978-0121373016}} p220</ref><ref name="eol">[http://www.eol.org/pages/8027 Anatidae] -eol</ref><ref group="※">『動物大百科7 鳥I』p105 では「中くらいか長いくび」、『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』p30 では「くびは長く」と表現。</ref>。尾羽は多くの種で短い<ref name="fn1"/>。下面は平坦で<ref name="fn2"/>、水に浮かびやすい<ref name="fn1"/>。
最大種は[[ナキハクチョウ]]、最小種は[[アフリカマメガン]]<ref name="fn1"/>。頸部は比較的長い<ref name="fn3">{{Cite book | author = Leslie H. Brown, Emil K. Urban, Kenneth B. Newman| title = The Birds of Africa, Volume I| edition=| year = 1982| publisher = Academic Press| id = ISBN 978-0121373016}} p220</ref><ref name="eol">[http://www.eol.org/pages/8027 Anatidae] -eol</ref><ref group="※">『動物大百科7 鳥I』p105 では「中くらいか長いくび」、『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』p30 では「くびは長く」と表現。</ref>。尾羽は多くの種で短い<ref name="fn1"/>。下面は平坦で<ref name="fn2"/>、水に浮かびやすい<ref name="fn1"/>。


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== 生態 ==
== 生態 ==
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[[淡水域]]、[[湿原]]、[[海|海洋]]などの水辺の環境を好む<ref name="fn2"/>種が多い。多くの種は渡りを行うが、一部の種では渡りをしなかったり飛翔できない種もいる<ref name="fn1"/><ref name="fn2"/> 。飛翔するときは頸部を前方に伸ばし、後肢は後方へ伸ばす<ref name="fn1"/>。
[[淡水域]]、[[湿原]]、[[海|海洋]]などの水辺の環境を好む<ref name="fn2"/>種が多い。多くの種は渡りを行うが、一部の種では渡りをしなかったり飛翔できない種もいる<ref name="fn1"/><ref name="fn2"/>。飛翔するときは頸部を前方に伸ばし、後肢は後方へ伸ばす<ref name="fn1"/>。


日本国内の観察では、水田などの採食場となる場所とネグラとなる水域を使い分けて生活していることが確認されている<ref>中村雅子 「ガンカモ類への餌付けが湖沼の水質に及ぼす影響」『野生動物の餌付け問題:善意が引き起こす?生態系攪乱・鳥獣害・感染症・生活被害』 地人書館 2016年 ISBN 9784805209004 pp.87-89.</ref>。ガン・ハクチョウは日の出頃に採食場に移動し、夕暮れにネグラに戻る。カモは昼夜が逆転した形で同様の行動をする。
日本国内の観察では、水田などの採食場となる場所とネグラとなる水域を使い分けて生活していることが確認されている<ref>中村雅子 「ガンカモ類への餌付けが湖沼の水質に及ぼす影響」『野生動物の餌付け問題:善意が引き起こす?生態系攪乱・鳥獣害・感染症・生活被害』 地人書館 2016年 ISBN 9784805209004 pp.87-89.</ref>。ガン・ハクチョウは日の出頃に採食場に移動し、夕暮れにネグラに戻る。カモは昼夜が逆転した形で同様の行動をする。
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== 人間との関係 ==
== 人間との関係 ==
肉、卵、[[羽毛]]が利用され、数種は飼いならされ[[家禽]]([[アヒル]]、[[ガチョウ]]、[[バリケン]]など)として飼育される<ref name="fn1"/><ref name="fn2"/>。また野生個体も狩猟の対象とされる<ref name="fn1"/>。[[]](異字:鴈)は、ガン亜科の鳥のうち、カモより大きくハクチョウより小さい一群の総称。[[カモ|鴨]](は、カモ科の鳥類のうちに比べて体が小さく首があまり長くものの総称。分類学上のまとまった群ではない。
肉、卵、[[羽毛]]が利用され、数種は飼いならされ[[家禽]]([[アヒル]]、[[ガチョウ]]、[[バリケン]]など)として飼育される<ref name="fn1"/><ref name="fn2"/>。また野生個体も狩猟の対象とされる<ref name="fn1"/>。[[カモ|鴨]](カモ。鳧は、カモ科の鳥のうち体が小さいものの総称<ref name="精選版日本国語大辞典_鴨">{{Cite Kotobank|word=鴨|encyclopedia=精選版 日本国語大辞典|publisher=小学館|hash=#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8|accessdate=2024-11-26|}}</ref>。[[]](ガン。異字:鴈)は、カモ科のうちの一群の水鳥の総称で<ref name="精選版日本国語大辞典_"/>、カモより大き首が長く<ref name="精選版日本国語大辞典_雁">{{Cite Kotobank|word=雁|title=がん【雁・鴈】&lbrack;1&rbrack;|encyclopedia=精選版 日本国語大辞典|publisher=小学館|hash=#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8|accessdate=2024-11-26|}}</ref>、[[ハクチョウ]]より小さ<ref name="広辞苑_雁">{{Cite encyclopedia|title=がん【雁・鴈】|page=589|encyclopedia=[[広辞苑]]|edition=5版|publisher=岩波書店|date=1998-11-11|editor=新村出|language=ja|ISBN=4-00-080111-2}}</ref>[[分類学]]上のまとまった群ではない。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2024年11月27日 (水) 05:16時点における最新版

カモ科
マガモ
マガモ Anas platyrhynchos
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
亜目 : カモ亜目 Anseres
: カモ科 Anatidae
学名
Anatidae Leach1820
タイプ属
Anas Linnaeus1758

カモ科(カモか、Anatidae)はカモ目の科の一つ。別名ガンカモ科

分布

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南極大陸をのぞく全大陸[1][2]アフリカ大陸およびオーストラリア大陸砂漠地帯や、グリーンランド内陸部等には生息しない[3]

形態

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最大種はナキハクチョウ、最小種はアフリカマメガン[1]。頸部は比較的長い[4][5][※ 1]。尾羽は多くの種で短い[1]。下面は平坦で[2]、水に浮かびやすい[1]

は幅広くやや扁平な種が多い[2]。嘴の先端には角質からなる鉤状の突起(嘴爪)がある[1][2]。多くの種は嘴外縁に櫛状の薄い板(板歯)があり[1]、これにより水中で小型の食物も濾し取る事ができる[2]。舌は分厚く、棘状の突起が並ぶ[2]。後肢は胴体のやや後方に位置する種が多く[1]、一部の種では地表で歩行する事は苦手だが水中では大きな推進力を得ることができる[2]。後肢は比較的短い種が多い[2]。多くの種で第2-4趾の間には水掻きが発達する[1]

卵は白や淡黄色、青などの殻で覆われ、斑紋が入らない[2]

分類

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5亜科に58属172種が属する。

系統

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次のような系統樹が得られている[6]

リュウキュウガモ亜科

ゴマフガモ

ツメバガン

ガン亜科

カモ亜科

生態

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カモの交尾。陰茎を持たない鳥類では珍しくカモ科の雄には挿入器官英語版がある[7]。この挿入器官は反時計回りに捻じれており、メスは強引な交尾を避けるために進化している[8]

淡水域湿原海洋などの水辺の環境を好む[2]種が多い。多くの種は渡りを行うが、一部の種では渡りをしなかったり飛翔できない種もいる[1][2]。飛翔するときは頸部を前方に伸ばし、後肢は後方へ伸ばす[1]

日本国内の観察では、水田などの採食場となる場所とネグラとなる水域を使い分けて生活していることが確認されている[9]。ガン・ハクチョウは日の出頃に採食場に移動し、夕暮れにネグラに戻る。カモは昼夜が逆転した形で同様の行動をする。

食性は種によっても異なり、魚類貝類、植物の葉、果実種子などを食べる[1][2]

繁殖形態は卵生。多くの種は水辺に植物を組み合わせた皿状の巣を作るが、樹洞や岸壁などに巣を作る種もいる。主にメスが抱卵する[1][2]。雛は孵化するとすぐに巣を離れ(早成性)、親の後について移動するようになる[1]

人間との関係

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肉、卵、羽毛が利用され、数種は飼いならされ家禽アヒルガチョウバリケンなど)として飼育される[1][2]。また野生個体も狩猟の対象とされる[1](カモ。鳧)とは、カモ科の鳥類のうち体が小さいものの総称[10](ガン。異字:鴈)は、カモ科のうちの一群の水鳥の総称で[11]、カモより大きくて首が長く[11]ハクチョウより小さい[12]分類学上のまとまった群ではない。

脚注

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  1. ^ 『動物大百科7 鳥I』p105 では「中くらいか長いくび」、『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』p30 では「くびは長く」と表現。

参考文献

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育 (ガンカモ目)』、財団法人東京動物園協会、1980年、5-6、10-88頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社1986年、104-115頁。
  3. ^ Ducks, Geese and Swans (Anatidae) - the Internet Bird Collection
  4. ^ Leslie H. Brown, Emil K. Urban, Kenneth B. Newman (1982). The Birds of Africa, Volume I. Academic Press. ISBN 978-0121373016  p220
  5. ^ Anatidae -eol
  6. ^ ANSERIFORMES”. 2014年10月27日閲覧。
  7. ^ MobileReference (15 December 2009). The Illustrated Encyclopedia of European Birds: An Essential Guide to Birds of Europe. MobileReference. ISBN 978-1-60501-557-6. オリジナルの26 March 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140326174050/http://books.google.com/books?id=RgPTUkhiSmkC&q=penis&f=false 5 December 2012閲覧。 
  8. ^ 鳥類学者は見た カモの「螺旋型」ペニスは0.5秒で勃起!”. クーリエ・ジャポン (2017年9月14日). 2024年11月26日閲覧。
  9. ^ 中村雅子 「ガンカモ類への餌付けが湖沼の水質に及ぼす影響」『野生動物の餌付け問題:善意が引き起こす?生態系攪乱・鳥獣害・感染症・生活被害』 地人書館 2016年 ISBN 9784805209004 pp.87-89.
  10. ^ 」『精選版 日本国語大辞典』小学館https://kotobank.jp/word/%E9%B4%A8#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8コトバンクより2024年11月26日閲覧 
  11. ^ a b がん【雁・鴈】[1]」『精選版 日本国語大辞典』小学館https://kotobank.jp/word/%E9%9B%81#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8コトバンクより2024年11月26日閲覧 
  12. ^ 新村出 編「がん【雁・鴈】」『広辞苑』(5版)岩波書店、1998年11月11日、589頁。ISBN 4-00-080111-2 
  • 唐沢孝一著、『校庭の野鳥』、全国農村教育協会、1997年、55頁