山口組のソースを表示

{{半保護}}
{{混同|神戸山口組}}
{{特殊文字|説明=[[Microsoftコードページ932]]（[[はしご高]]）}}
{{Infobox Criminal Organization
| name                = 六代目山口組
| nativename          = 
| image               = Yamabishi.svg
| caption             = 「山菱」の代紋（組織の標章）
| founded             = [[1915年]]
| founding location   = {{JPN}}・[[兵庫県]][[神戸市]][[兵庫区]]西出町
| founded by          = [[山口春吉]]
| postal code         = 657-0067 
| headquarters location = {{JPN}}・[[兵庫県]][[神戸市]][[灘区]][[篠原本町]]4-3-1<ref name = "npasosikihanzai">{{Cite web|url=https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/R05sotaijousei/r5jousei.pdf |title=令和5年における組織犯罪の情勢 |format=PDF |publisher =警察庁組織犯罪対策部 |accessdate=2024-03-30}}</ref>
| hq coordinates      = {{Coord|34|43|12|N|135|13|34.9|E|display=inline,title}}
| years active        = 1915年 - 現在
| territory           = 1都1道2府40県
| boss                = [[司忍|司 忍（篠田建市）]]
| membership est      = 約7,400<small>（2023年末時点）<ref name = "npasosikihanzai"/></small><br/>┗構成員 約3,500人<br/>┗準構成員等 約3,800人
| allies              = [[ファイル:稲川会代紋.svg|22px]] [[稲川会]]<br/>[[ファイル:双愛会.svg|22px]] [[双愛会]]<br/>[[ファイル:松葉会.svg|22px]] [[松葉会]]<br/>[[ファイル:共政会.svg|22px]] [[共政会]]<br/>[[ファイル:Aizukotetsu-kai.svg|22px]] [[会津小鉄会]]他
| rivals              = [[ファイル:Yamabishi.svg|22px]] [[神戸山口組]]<ref name = "npasosikihanzai" /><br/>[[絆會]]<br/>[[ファイル:池田組代紋.svg|22px]] [[池田組]]
}}
'''山口組'''（やまぐちぐみ<ref>{{Cite report |author = 警察庁 |authorlink = 警察庁 |title = POLICE OF JAPAN > CRIMINAL INVESTIGATION > 2. Fight against Organized Crimes(日本の警察>犯罪捜査>2. 組織犯罪との闘い) |url = https://www.npa.go.jp/english/Police_of_Japan/2020/poj2020_p28-30.pdf |pages = 28-30 |date = 2020 |format = PDF |accessdate = 2021-04-08}} {{En icon}} ― p.29 “ヤマグチグミ”{{lang|en|(Yamaguchi-gumi)}}</ref>）は、[[兵庫県]][[神戸市]]に本部を置く[[暴力団]]で、日本最大規模の[[暴力団#指定暴力団|特定抗争指定暴力団]]<ref>『[https://kotobank.jp/word/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E7%B5%84-673923 山口組(ヤマグチグミ)とは]』 [[デジタル大辞泉]] - [[コトバンク]]</ref>。代数（現在の組長は6代目である）をつけて'''六代目山口組'''（ろくだいめやまぐちぐみ）とも呼ばれる<ref name=":0" /><ref name=":1" />。

組員数は約7,400人（構成員約3,500人、準構成員約3,800人）<ref name = "npasosikihanzai" />。[[2023年]]末時点で、[[山形県|山形]]・[[広島県|広島]]・[[沖縄県|沖縄]]の各県を除く44の都道府県に系列組織を置いている<ref>『[https://news.livedoor.com/article/detail/10519766/ 山口組分裂、有力団体が脱退 新組織結成か、抗争警戒]』 [[ライブドアニュース]] 2015年8月27日 ''[[共同通信]]''</ref>。[[住吉会]]・[[稲川会]]や、[[神戸山口組]]とともに、[[国家公安委員会]]から主要暴力団に位置づけられている<ref name="npasosikihanzai" />。

== 概要 ==
山口組の組員は1名の'''組長'''（[[親分]]）と数名の'''舎弟'''（弟分）および数十名の'''若中'''（子分）から成る計100人弱に過ぎないが、組長を除く全組員は、それぞれが少ないところで数十人、多いところで数千人の構成員を抱える暴力団組織の首領であり、'''直参'''（直系組長）と呼ばれる。

[[菱形]]の中に“山”の文字を描いた“山菱”（やまびし<ref>『[http://www.a-mizoguchi.com/en/kyoucyo1.html Joint work : The sixth generation Yamaguchigumi]』 [[溝口敦]] 2008年2月6日 {{En icon}} ― “{{lang|en|Then '''Yamabishi'''}}{{small|（ヤマビシ）}}{{lang|en| moved}}”{{small|〔その時、山菱は動いた〕}}</ref>）と呼ばれる意匠のマークを組織の標章、いわゆる[[代紋]]としている<ref>『[[暴力団 (書籍)|暴力団]]』 “山口組の組織とカネ” {{small|(p.24)}} 溝口敦 2011年 ''[[新潮新書]]'' ISBN 978-4-10-610434-3</ref>。

[[2014年]]の米経済誌『[[フォーチュン (雑誌)|フォーチュン]]』の調査によれば、山口組の収益は年間66億ドル、日本円で約'''7,150億円'''に及ぶとされる<ref>{{Cite web|和書|title = Fortune誌が「フォーチュン5・世界で最も稼ぐ反社会勢力ランキング」を発表 |url = https://gigazine.net/news/20140918-5-biggest-organized-crime-group/ |website = GIGAZINE |accessdate = 2020-10-16}}</ref>。これは[[ロシアン・マフィア|ロシアンマフィア]]に次ぎ、[[マフィア|イタリアマフィア]]の最大組織・[[カモッラ]]の収益を凌ぐ規模にあたる<ref>『[http://fortune.com/2014/09/14/biggest-organized-crime-groups-in-the-world/ The 5 biggest organized crime groups in the world]』 2014年9月14日 ''[[フォーチュン (雑誌)|フォーチュン]]'' {{en icon}}</ref>。なお、フォーチュンは当初、山口組の年間収益を800億ドル（約8兆6,800億円）と誤って報じたが、これは[[2006年]]に元[[公安調査官]]の[[菅沼光弘]]が記者会見にて「渡辺芳則が組長だった五代目山口組時代（1989年から2005年）の収入は8,000億円」と発言したもの<ref>{{Cite web|和書|title = Yahoo!みんなの政治 - 政治記事読みくらべ - ビデオニュース・ドットコム - 「日本を知るには裏社会を知る必要がある」 |url = https://web.archive.org/web/20070224155505/http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061031-01-0901.html |website = web.archive.org |date = 2007-02-24 |accessdate = 2020-10-16}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title = 【盛りすぎ】「山口組の収益は９兆6000億円」説はこうして生まれてしまったのでは |url = https://nots.hatenablog.com/entry/2015/08/31/220522 |website = Not-So-News |accessdate = 2020-10-16}}</ref>を誤訳した為である。

== 来歴 ==
=== 黎明 ===
[[File:Kobe-Meriken Hatoba circa 1930.JPG|thumb|right|{{small|[[日露戦争]]従軍を終えた[[山口春吉]]は折から急激な発展を見せていた[[神戸港]]に新天地を求め、海運業の労務者となってのち大嶋組に下属。その大嶋組を率いた大嶋秀吉の主従関係を上位に辿ればやがては[[筑豊|九州筑豊]]の[[吉田磯吉]]に行き着いた。<ref name = "mediax2007_p219-235"/> ― ''1930年頃の神戸港''}}]]
“神戸ヤクザの頂点”と言われる「運河ノ親分」こと大嶋秀吉が率いた[[大嶋組]]の傘下にて、[[山口春吉]]が[[沖仲仕]]を集め、自分の姓を冠した'''山口組'''を結成した<ref name = "npa_h05">『[https://www.npa.go.jp/hakusyo/h05/h050101.html 平成5年　警察白書：第1節　暴力団の実態＞3　指定暴力団の実態＞（1）　五代目山口組]』 1993年 ''[[警察庁]]''</ref>。当時はおよそ50名の労務者を抱える組織で<ref name = "mediax2007_p219-235">『六代目山口組完全データBOOK』 “山口組に君臨した歴代組長の肖像” {{small|(p.219-235)}} 2008年 ''[[メディアックス]]'' ISBN 978-4-86201-328-6</ref>、[[神戸市]][[兵庫区]]の西出町内の民家に、“山口組”の看板を掲げた事務所を構えた<ref>『もう一つの日本 山口組』 {{small|(p.85)}} [[飯干晃一]] 1990年 [[角川書店]] ISBN 978-4041464267</ref>。時に[[1915年]]（[[大正]]4年）のことである<ref>『[https://www.npa.go.jp/hakusyo/h11/h110400.html 平成11年　警察白書：第4章　暴力団総合対策の推進＞1　50年の歩み]』 1999年 ''[[警察庁]]''</ref>。

しばらくは大嶋組の傘下にあって活動したものの、いつしかその勢力は本家の大嶋組を凌ぐものとなり、[[1925年]]（大正14年）における春吉の長男で「切戸の親分」[[山口登 (暴力団)|登]]の二代目襲名を経て、[[神戸中央卸売市場]]の開設に伴う利権を巡り大嶋組と対立、死者を伴う激しい抗争の末に同卸売市場の運搬作業の独占権を得るに至り、[[1932年]]（[[昭和]]7年）をもって大嶋組から独立した<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。

=== 三代目〜急成長 ===
[[1942年]]（昭和17年）における山口登の死後、しばらくは跡目が決することなく組長不在の状態にあったものの、[[1946年]]（昭和21年）に[[田岡一雄]]を首領に据えた三代目体制が発足<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。この田岡率いる三代目体制下にあって、昭和30年代（1955〜1964）から昭和40年代（1965〜1974）にかけて日本全国各地へ進出、[[抗争事件|対立抗争]]を繰り返しながら急速に勢力を拡大していった<ref name = "npa_h05"/>。

田岡襲名時の山口組の総勢はわずか33人に過ぎないものであった。それが[[1965年の日本|1965年]]（昭和40年）までに、傘下424団体、総勢9,450名を数える巨大組織に発展。その間に当事者となった対立抗争は日本の各地を舞台としたもので、「[[小松島抗争]]」、「[[明友会抗争]]」、「鳥取抗争」、「[[博多事件]]」、「[[広島代理戦争]]」、「[[第1次松山抗争|松山抗争]]」などが主要なそれであった<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。

[[File:昭和36年当時の湊川神社.jpg|thumb|right|1971年9月25日、「麻薬撲滅決起集会」を開催した[[湊川神社]]（その9年前[[1962年]]撮影）]]
[[日本の警察|警察当局]]によるいわゆる「[[第一次頂上作戦]]」のさなかで直系組長らの脱退と直系組織の解散が相次ぐに至り、一時期弱体化するも、勢力の回復を経て、田岡の死去の前年にあたる[[1980年の日本|1980年]]（昭和55年）までに、2府33県に559団体、1万1800人あまりの総勢を擁する組織に成長した。そうした三代目体制期を築いた田岡は山口組の[[中興の祖]]として記憶されるに至った<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。

[[1971年の日本|1971年]]（昭和46年）9月5日、山本健一が若頭に就任。山本が責任者となって[[麻薬]]追放、国土浄化連盟を結成した。さらに同月25日には、神戸市生田区（現在の中央区）の[[湊川神社]]で「麻薬撲滅決起集会」を開催した<ref>『山口組が麻薬追放 偽装?はなばなしくデモ』 (15面) 昭和46年9月26日 ''中國新聞''</ref>。

=== 四代目から21世紀へ ===
[[1984年の日本|1984年]]（昭和59年）における[[竹中正久]]の襲名によって四代目体制が発足するも、これを不服とした勢力が離反し、'''[[一和会]]'''を結成。これを相手とする大規模な抗争（→[[山一抗争]]）に突入した<ref name = "npa_h05"/>。その過程で抗争相手の一和会により暗殺された竹中に代わって、抗争が終結するに至った[[1989年の日本|1989年]]（[[平成]]元年）、傘下の有力組織・[[山健組]]を率いた[[渡辺芳則]]を首領に据える五代目体制が発足<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。[[暴力団対策法]]施行の年でもあった[[1992年の日本|1992年]]（平成4年）には、直系組織総数が三代目体制下の[[1963年]]（昭和38年）以来の最大数（120超）を記録した<ref>『[http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201310/0006397196.shtml 山口組直系組長が激減　会費重荷で引退・除籍も]』 2013年10月5日 ''[[神戸新聞]]''</ref>。

[[ファイル:Hanshin-Awaji earthquake 1995 337.jpg|thumb|right|1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生すると、渡辺自身の陣頭指揮による組織ぐるみの災害救援活動を展開した]]

五代目体制期の[[1995年の日本|1995年]]（平成7年）1月17日に[[阪神・淡路大震災]]が発生すると、渡辺自身の陣頭指揮による組織ぐるみの災害救援活動を展開。その活動は[[神戸新聞社]]の記者でさえ『半端なものではなかった』と言わしめた。

[[1997年の日本|1997年]]（平成9年）になると五代目体制開始以来の非常事態と言われた「[[宅見若頭射殺事件]]」が発生。この事件は以後の組織に混迷をもたらす未解決の懸案事項となった<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。

[[2004年の日本|2004年]]（平成16年）より渡辺は長期休養に入るとともに組織運営の全権を執行部へと委譲していたが、翌年の[[2005年の日本|2005年]]（平成17年）7月に引退を表明。予期なき突然の引退であった。ここに16年間の長きにわたった五代目体制が終焉。そして、若頭の役にあった[[司忍]]の新たな襲名をもって、同年のうちに六代目体制が発足し現在に至っている<ref name = "mediax2007_p219-235"/>。

=== 山口組分裂抗争（2015年〜） ===
[[2015年の日本|2015年]]（平成27年）8月には、[[司忍]]や[[高山清司|&#x9ad9;山清司]]の出身母体にあたる[[名古屋市|名古屋]]の[[弘道会]]と[[関西|関西地方]]の[[山健組]]を筆頭とする諸団体との不和が表面化し、事実上の分裂事態が発生した<ref>『[https://web.archive.org/web/20150827172618/http://www.sankei.com/west/news/150827/wst1508270090-n1.html 【山口組分裂】新組織は「神戸山口組」か、総本部は山健組など１３団体を絶縁・破門に（1/2ページ）]』 2015年8月27日 [[MSN産経ニュース]]</ref>。同年9月には離脱した13団体と新加入した1団体が新組織・'''[[神戸山口組]]'''を結成、初会合を開いたと報じられている<ref>『[https://www.sankei.com/article/20150906-AVFNUVTKCNOVNGKH3WBIVJI23M/ ついに新組織発足か　離脱１３団体、トップに山健組組長]』 2015年9月6日 [[MSN産経ニュース]]</ref>。分裂後、山口組と神戸山口組のそれぞれの傘下団体が関係する事件が[[2016年の日本|2016年]]（平成28年）3月6日までに20都道府県で49件発生しており、警察庁は[[抗争事件|対立抗争状態]]と認定している<ref>『[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160307/k10010434731000.html 警察庁 山口組分裂巡る対立抗争状態と認定]』 2016年3月7日 [[日本放送協会|NHK]]</ref>。その後、同年3月7日に警察が対立抗争状態と認定してから[[2023年の日本|2023年]]（[[令和]]5年）末までに26都道府県で100件発生している<ref name = "npasosikihanzai" />。

2016年（平成28年）4月、[[神戸山口組]]と共に、[[暴力団#特定指定暴力団|特定抗争指定暴力団]]への指定が検討されることとなる<ref>{{Cite web|和書|url = http://www.kyt-tv.com/nnn/news88915254.html |title = 神戸山口組…１５日に「指定暴力団」へ（兵庫県） |publisher = 鹿児島読売テレビ |accessdate = 2016-04-14}}</ref>。

[[2017年の日本|2017年]]（平成29年）5月には神戸山口組から'''任俠団体山口組'''（後の[[絆会]]）が分裂したことで、事実上山口組は3団体に分裂した<ref>『[https://web.archive.org/web/20170501013108/http://www.sankei.com/affairs/news/170501/afr1705010005-n1.html 神戸山口組から新組織任侠団体山口組」結成…内紛の可能性も]』 [[産経新聞|産経ニュース]] 2017年5月1日配信・閲覧</ref>。六代目山口組は、この任俠団体山口組ならびに後身にあたる絆会（絆会への改称前は[[2020年]][[1月11日]]まで任侠山口組）も敵視する姿勢を取り、両者間で抗争に関連する事件は、2017年（平成29年）4月30日から2019年（令和元年）末までに8件発生した<ref name = "npasosikihanzaiR2">{{Cite report |author = 警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課 |authorlink = 組織犯罪対策部#警察庁刑事局組織犯罪対策部 |title = 令和２年における組織犯罪の情勢【確定値版】 |url = https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/sotaikikaku09/R02.sotaijyousei.pdf |pages = 1-34 |format = PDF |date = 2021-04-08 |accessdate = 2021-04-08}}</ref>。

[[2020年の日本|2020年]]（令和2年）1月、山口組は神戸山口組と共に両組織の拠点がある兵庫、愛知、大阪、京都、岐阜、三重の6府県の[[公安委員会]]により特定抗争指定暴力団に指定された<ref>{{Cite web|和書|url = https://www.yomiuri.co.jp/national/20200107-OYT1T50133/ |title = 山口組と神戸山口組、より規制の厳しい「指定」…６府県１０市が警戒区域 |publisher = 読売新聞 |date = 2020-01-07 |accessdate = 2020-01-08}}</ref>。

[[2022年の日本|2022年]]（令和4年）12月、神戸山口組を脱退した[[池田組]]と共に岡山、兵庫、愛知、三重の4県の[[公安委員会]]により特定抗争指定暴力団に指定された<ref>{{Cite news |url = https://www.sankei.com/article/20221208-VV2P6NJFIBLLPEDI45RXQKVLY4/?outputType=amp |title = 特定抗争指定、４県で発効 山口組と池田組 |newspaper = 産経新聞 |date = 2022-12-08 |accessdate = 2022-12-17}}</ref>。更に、池田組とは2023年末までに3都道府県で9件発生している<ref name = "npasosikihanzai" />。

== 綱領と組指針 ==
山口組は以下の「[[綱領]]」を定めている<ref>『[http://japanese.china.org.cn/life/2015-01/28/content_34675216.htm 日本最大の暴力団「山口組」、創設100年を迎える]』 2015年1月28日 ''[[中国網]]''</ref>。
:山口組は侠道精神に則り国家社会の興隆に貢献せんことを期す。
:一、内を固むるに和親合一を最も尊ぶ。
:一、外は接するに愛念を持し、信義を重んず。
:一、長幼の序を弁え礼に依って終始す。
:一、世に処するに己の節を守り譏を招かず。
:一、先人の経験を聞き人格の向上をはかる。
この5か条の「綱領」は[[田岡一雄|田岡三代目]]時代に制定されたもので、定例会などの行事の際に唱和される<ref name=":0">『[http://www.shikoku-times.com/html/back_number/2013_12/index.html 司忍六代目山口組の厄病神は二代目若林組]』 2013年12月5日 [[四国タイムズ]]</ref>。加えて、年度ごとに定められる「組指針」がある<ref>『[http://facta.co.jp/article/201402028.html 「窮すれば通ず」山口組が結束固め]』 2014年 ''[[FACTA]]''</ref>。

== 歴代組長 ==
{|class="wikitable" style="text-align: center;"
!!!氏名!!在任期間!!備考
|-
! 初代
| [[山口春吉]] || [[1915年]] - [[1925年]] ||
|-
! 二代目
| [[山口登 (暴力団)|山口 登]] || 1925年 - [[1942年]]|| 山口春吉の実子
|-
! 三代目
| [[田岡一雄]] || [[1946年]] - [[1981年]] ||
|-
! 四代目
| [[竹中正久]] || [[1984年]] - [[1985年]] || [[竹中組]]組長
|-
! 五代目
| [[渡辺芳則]] || [[1989年]] - [[2005年]] || 二代目[[山健組]]組長
|-
! 六代目
| [[司忍|司 忍]] || 2005年 -  現在|| [[弘田組 (名古屋市)|弘田組]]組長・二代目[[弘道会]]総裁
|}

== 歴代若頭 ==
山口組における[[若頭]]は、組長に次ぐナンバー2の立ち位置にあたり、[[稲川会]]にいう「理事長」、[[政党]]にいう「[[幹事長]]」や「[[書記長]]」、[[学校]]にいう「[[教頭]]」に相当する<ref>『[[暴力団 (書籍)|暴力団]]』 ： “山口組の組織とカネ” {{small|(p.22)}} 溝口敦 2011年 [[新潮新書]] ISBN 978-4-10-610434-3</ref>。

'''二代目時代'''
* [[大長一雄]]<ref>『山口組三代目 1野望篇』 {{small|(p.43)}} [[飯干晃一]] 1982年 [[徳間文庫]] ISBN 4-19-597344-9</ref>
* [[澄田寿三]]（[[1940年]] - [[1942年]]）
'''三代目時代'''
* [[山田久一]]（[[1946年]] - [[1950年]]） -  解任
* [[安原政雄]]（1950年 - [[1955年]]） - 辞任
* [[地道行雄]]（1955年 - [[1968年]]）※一時期、若頭の役を降りていた期間がある - 解任
* [[梶原清晴]]（1968年 - [[1971年]]） - 事故死
* [[山本健一 (ヤクザ)|山本健一]]（1971年 - [[1982年]]） - 病死
'''三代目代行時代'''
* [[竹中正久]]（1982年 - [[1984年]]） -  四代目山口組組長へ昇格
'''四代目時代'''
* [[中山勝正]]（1984年 - [[1985年]]） - [[一和会]]により暗殺
'''四代目代行時代'''
* [[渡辺芳則]]（1985年 - [[1989年]]）- 五代目山口組組長へ昇格
'''五代目時代'''
* [[宅見勝|宅見 勝]]（1989年 - [[1997年]]） - [[中野会]]により暗殺
* [[司忍|司 忍]]（[[2005年]]） - 六代目山口組組長へ昇格
'''六代目時代'''
* [[高山清司|&#x9ad9;山清司]]（2005年 - 現在）

== 六代目山口組 ==
主たる事務所（本部）は[[兵庫県]][[神戸市]][[灘区]][[篠原本町]]4-3-1である<ref name = "npasosikihanzai" />。一次団体にあたるこの本部「山口組本家」に対し、二次団体の首領は「本家」に直に繋がる組長という意味を込めて「直系組長」あるいは「直参」（じきさん）と呼ばれ、「本家」にあってはそれぞれ、「組長の弟」を意味する「舎弟」（6名）あるいは「組長の子供」を意味する「若衆（[[若中]]）」（約80名）の役職名を与えられている<ref>『[[暴力団 (書籍)|暴力団]]』 “山口組の組織とカネ” {{small|(p.21-22)}} 溝口敦 2011年 ''[[新潮新書]]'' ISBN 978-4-10-610434-3</ref>。

日本全国に所在する直系組織は「関東・北海道」「中部」「大阪北」「大阪南」「阪神」「中国・四国」ならびに「九州」という7つのブロックに分割され、各ブロックの長は執行部の組員から選出される<ref>『[[暴力団 (書籍)|暴力団]]』 “山口組の組織とカネ{{small|(p.23)}} 溝口敦 2011年 ''[[新潮新書]]'' ISBN 978-4-10-610434-3</ref>。この「ブロック制」は五代目体制発足直後の1990年に全国の暴力団に先駆けて導入されたもので、当初は「大阪中」のブロックも存在していたものの、2007年に廃止された結果、全国で7ブロックとなった<ref name=":1">『六代目山口組完全データBOOK』 “{{small|山口組の組織内部に新たな動き}} ブロック制改革の真相” {{small|(p.72)}} 2008年 ''[[メディアックス]]'' ISBN 978-4-86201-328-6</ref>。各ブロックごとに毎月「ブロック会議」と呼ばれる会合を開いており、各ブロック長は管轄地域の直系組長と執行部との伝達役のような役割を担っている<ref>『六代目山口組完全データBOOK』 “{{small|山口組の組織内部に新たな動き}} ブロック制改革の真相” {{small|(p.73)}} 2008年 ''[[メディアックス]]'' ISBN 978-4-86201-328-6</ref>。

=== 組織図 ===
{|class="wikitable" style="text-align: center; background-color: #ffffff;"
!style="width: 200px;" |役職!!style="width: 200px;" |氏名!!style="width: 200px;" |出身団体!!style="width: 200px;" |在任期間
|-
|組長
|[[司忍|司 忍]]
|[[弘道会|弘田組]]<br/>（二代目[[弘道会]]）
|2005年7月 - 現在
|}

=== 執行部 ===
{|class="wikitable" style="text-align: left; background-color:#ffffff;"
!役職!!氏名!!二次団体!!本部
|-
||若頭
||[[高山清司|&#x9ad9;山清司]]
||三代目[[弘道会]]
||名古屋市中村区
|-
||舎弟頭
||青山千尋
||二代目[[伊豆組]]
||福岡市中央区
|-
||本部長
||[[森尾卯太男]]
||[[大同会]]
||鳥取県米子市
|-
||若頭補佐・関東ブロック長
||[[藤井英治]]
||五代目[[國粹会]]
||東京都台東区
|-
||若頭補佐・中部ブロック長
||[[竹内照明]]
||三代目[[弘道会]]
||名古屋市中村区
|-
||若頭補佐・阪神中四国ブロック長
||[[安東美樹]]
||二代目[[竹中組]]
||兵庫県姫路市
|-
||若頭補佐・大阪南ブロック長
||津田 力
||四代目[[倉本組]]
||和歌山県和歌山市
|-
||若頭補佐・東海ブロック長
||薄葉政嘉
||十一代目[[平井一家]]
||愛知県豊橋市
|-
||若頭補佐・大阪北ブロック長
||秋良東力
||[[秋良連合会]]
||大阪市浪速区
|-
||若頭補佐・九州ブロック長
||生野靖道
||四代目[[石井一家]]
||大分県大分市
|}

=== 舎弟 ===
{|class="wikitable" style="text-align: left; background-color:#ffffff;"
!役職!!氏名!!二次団体!!本部
|-
||舎弟
||青野哲也
||七代目[[一力一家]]
||浜松市中央区
|-
||舎弟
||野村 孝
||三代目[[一会]]
||大阪市北区
|-
||舎弟
||高木康男
||六代目[[清水一家]]
||静岡市清水区
|-
|}

=== 幹部 ===
{|class="wikitable" style="text-align: left; background-color:#ffffff;"
!役職!!氏名!!二次団体!!本部
|-
||幹部・北海道地区長
||茶谷政雄
||[[茶谷政一家]]
||札幌市白石区
|-
||幹部・四国地区長
||加藤徹次
||六代目[[豪友会]]
||高知県高知市
|-
||幹部・若頭付
||山下 昇
||[[極粋会]]
||大阪府東大阪市
|-
||幹部・組織委員長代理
||吉村俊平
||四代目[[吉川組]]
||大阪市中央区
|-
||幹部・事務局長
||篠原重則
||二代目[[若林組]]
||香川県高松市
|-
||幹部
||佐藤光男
||[[落合金町連合]]
||東京都台東区
|-
||幹部
||[[中田浩司]]
||五代目[[山健組]]
||神戸市中央区
|}

=== 大阪若中 ===
{|class="wikitable" style="text-align: left; background-color:#ffffff;"
!役職!!氏名!!二次団体!!本部
|-
||若中
||能塚 恵
||三代目[[一心会]]
||大阪市中央区
|-
||若中
||&#x9ad9;野永次
||三代目[[織田組]]
||大阪市中央区
|-
||若中
||布川皓二
||二代目[[中西組]]
||大阪市中央区
|-
||若中
||里 照仁
||二代目[[中島組 (山口組)|中島組]]
||大阪市淀川区
|-
||若中
||鈴川驗二
||六代目[[早野会]]
||大阪市平野区
|-
||若中
||新井錠士
||二代目[[章友会]]
||大阪市北区
|-
||若中
||金田芳次
||二代目[[大原組]]
||大阪市東成区
|-
||若中
||植野雄仁
||二代目[[兼一会]]
||大阪市中央区
|-
|}

=== 他都道府県若中 ===
{|class="wikitable" style="text-align: left; background-color:#ffffff;"
!役職!!氏名!!二次団体!!本部
|-
||若中
||清田健二
||十代目[[瀬戸一家]]
||愛知県瀬戸市
|-
||若中
||北島 虎
||二代目[[杉組]]
||名古屋市中村区
|-
||若中
||貝本 健
||[[貝本会]]
||名古屋市中川区
|-
||若中
||田中三次
||三代目[[稲葉一家]]
||熊本県熊本市
|-
||若中
||田堀 寛
||二代目[[名神会]]
||名古屋市中区
|-
||若中
||塚本修正
||[[藤友会]]
||静岡県富士市
|-
||若中
||一ノ宮敏彰
||[[一道会]]
||福岡市中央区
|-
||若中
||&#x9ad9;山誠賢
||[[淡海一家]]
||滋賀県大津市
|-
||若中
||山嵜昌之
||三代目[[益田組]]
||横浜市中区
|-
||若中
||浜田重正
||二代目[[浜尾組]]
||横浜市中区
|-
||若中
||波入信一
||七代目[[奥州会津角定一家]]
||福島県会津若松市
|-
||若中
||中山和廣
||三代目[[矢嶋組]]
||愛媛県今治市
|-
||若中
||井上茂樹
||二代目[[大石組]]
||岡山市北区
|-
||若中
||渡部 隆
||四代目[[誠友会]]
||札幌市中央区
|-
||若中
||平松大睦
||二代目[[源清田会]]
||新潟市西蒲区
|-
||若中
||小林良法
||三代目[[心腹会]]
||徳島県徳島市
|-
||若中
||森 健司
||三代目[[司興業]]
||名古屋市中区
|-
||若中
||杉山志津雄
||三代目[[愛桜会]]
||三重県四日市市
|-
||若中
||野元信孝
||三代目[[岸本組]]
||神戸市中央区
|-
||若中
||小牧利之
||三代目[[小西一家]]
||静岡市駿河区
|-
||若中
||竹嶋利王
||二代目[[良知組]]
||静岡県富士宮市
|-
||若中
||戸塚幸裕
||二代目[[國領屋一家]]
||浜松市中央区
|-
||若中
||山田 一
||三代目[[杉本組]]
||岡山県津山市
|-
||若中
||川合彰典
||二代目[[旭導会]]
||北海道旭川市
|}

== 他団体関係 ==
=== 友好団体 ===
山口組では昭和期以降、[[日本]]各地の暴力団組織との間で影響下に入れる狙いも含め、様々な形の協力関係を締結してきた。特に[[司忍]]率いる六代目体制に入って以降は、『盃外交』と呼ばれる活発な他団体交流を展開し、かつての反目組織すら含む日本各地の暴力団組織と友好関係を構築した<ref name="#1">『[https://web.archive.org/web/20071228063841/http://www.alles.or.jp/~inokenji/hyouron.html 山口組幕府論：盃外交の意味]』 [[猪野健治]] 2007年12月17日</ref>。
* [[双愛会]] - [[1946年]]より組織間関係を持つ。なお[[2016年]]より、七代目会長・椎塚宣を[[司忍]]が後見している。
* [[東声会]] - [[1963年]]より組織間関係を持つ。
* [[稲川会]] - [[1972年]]より組織間関係を持つ。なお[[2006年]]より、[[内堀和也]]と[[竹内照明]]が兄弟分となっている。
* [[共政会]] - [[1990年]]より組織間関係を持つ。なお[[2020年]]より、六代目会長・荒瀬進と安東美樹が兄弟分となっている<ref>『[https://news.nicovideo.jp/watch/nw6650866 山口組六代目 共政会 24年ぶり「兄弟盃」の真意]』 ニコニコニュース 2020年2月20日 ''週刊実話''</ref>。
* [[福博会]] - [[1993年]]より組織間関係を持つ。なお2020年より、四代目会長・金城國泰を[[高山清司|&#x9ad9;山清司]]が後見している。
* [[合田一家]] - [[1994年]]より組織間関係を持つ。なお[[2009年]]より、七代目総長・末廣誠を&#x9ad9;山清司が後見している。
* [[会津小鉄会]] - [[2005年]]より組織間関係を持つ。なお[[2021年]]より、七代目会長・金子利典を&#x9ad9;山清司が後見している。
* [[親和会 (高松)|親和会]] - [[2007年]]より組織間関係を持つ。なお会長・吉良博文と[[伊豆組]]相談役・光安克明が兄弟分となっている。
* [[松葉会]] - 2007年より組織間関係を持つ。

=== 非友好団体 ===
[[関東地方]]を本拠地とする[[住吉会]]は、山口組と数多の抗争事件を引き起こしてきたが、組長の司忍が出所した[[2011年]]をもって正式な組織間交際関係を樹立<ref group = "注">親戚関係とは異なる。</ref><ref>『[http://www.a-mizoguchi.com/newspaper.php?rid=41 山口組、住吉会が対立解消で末端組員が落ちて行く]』 [[溝口敦]] 2011年5月23日</ref>。山口組関係者の言によれば、六代目山口組が組織ぐるみの縁を持たないのは、[[工藤會]]と[[道仁会]]のみとされる{{refnest|group="注"|かつては[[住吉会]]も含まれていた<ref name="#1"/>。}}。

また、山口組は[[2006年]]7月から[[IDカード]]を用いたセキュリティ認証機構を総本部に導入、前代未聞の事態であるとして注目を集めたが、これは総本部への[[道仁会]]による攻撃を警戒してのものであったのだという<ref group = "注">同時期に道仁会との激しい抗争に突入した新勢力（→[[九州誠道会]]）が山口組と親交を有していた。</ref><ref>『[https://web.archive.org/web/20070910143820/http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060723-OHT1T00097.htm 山口組幹部に組員証]』 2006年7月23日 ''[[スポーツ報知]]''</ref><ref>『[https://web.archive.org/web/20130409233725/http://www.47news.jp/CN/200607/CN2006072201000521.html 山口組が幹部に「組員証」　九州の抗争を警戒？]』 [[47NEWS]] 2006年7月22日 ''[[共同通信]]''</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{reflist|2}}

== 関連項目 ==
* [[反社会的勢力]]
* [[神戸芸能社]]
* [[麻薬追放国土浄化同盟]]
* [[山口組四代目跡目問題]]
* [[山口組五代目跡目問題]]
* [[一和会]]
* [[山一抗争]]
* [[神戸山口組]]
* [[絆會]]

== 外部リンク ==
* {{PDFlink|[https://www.npa.go.jp/laws/notification/keiji/bouryokudan/rokudaimetairitu.pdf 警察庁丁暴発第112号 各管区警察局広域調整担当部]}}

{{指定暴力団}}
{{六代目山口組}}
{{デフォルトソート:やまくちくみ}}
{{Normdaten}}
[[Category:山口組|*]]
[[Category:兵庫県の暴力団]]
[[Category:指定暴力団]]
[[Category:灘区]]