J6(ジェイシックス[1])は、中華人民共和国比亜迪汽車 (BYD) が製造し、日本国内向けに販売する小型電気バスである。

BYD J6 1.0
協同バス(J6 1.0・都市型I)
概要
製造国 中華人民共和国の旗 中国
販売期間 2019年3月25日 -
ボディ
乗車定員 都市型Ⅰ:31名
都市型Ⅱ:29名
郊外型:25名
ボディタイプ 路線バス
パワートレイン
最高出力 161kw
車両寸法
ホイールベース 4,760 mm
全長 6,990 mm
全幅 2,080 mm
全高 3,060 mm
車両重量 都市型Ⅰ:7,925 kg
都市型Ⅱ:7,865 kg
郊外型:7,650 kg
その他
バッテリー 105.6 kWh
仕様 右ハンドル仕様
中央部右側に非常口あり
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概要

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小型電気バス「K6」をベースにした日本市場向けのローカライズモデルで、2019年より製造開始。主にコミュニティバスなどでの利用を想定しており、日本国内で多く導入されている日野・ポンチョのロングボディとサイズを含めた車両規格が近い。2020年7月に東京都恩賜上野動物園で初導入され、2021年には国土交通省の「標準仕様ノンステップバス認定」を取得した[2]。2023年末時点で、BYDのバスとしては日本国内で最も導入実績が多い。

車体には、主にアルミニウム合金を採用して軽量化を図っている。

乗降扉は全ての車両でワンボックスカーのような外側スライド式プラグドアで、日野・ポンチョのようなショートボディ車(全長6.29m)はなく、全てロングボディ車(全長6.99m)である。いずれも道路運送車両法による保安基準[3]の規定に従い、非常口を中央部右側に設置している。

日本国内での導入実績を踏まえ、2022年にはJ6をベースに開発された中国本土向けの車種「B7」を発売しており、こちらは非常口を設けていないほか、運転席と客席の間に防犯用の大きな仕切りを設けるなど、J6と仕様の違いが見られる一方、車両デザインはJ6 1.0とほぼ同一である[4]

J6 1.0

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2019年3月25日に発売が開始された。

BYD社初の日本仕様車として開発され、日本の小型電気バスとして最長の航続距離である200kmを実現した[5]。 充電器はAC400Vの専用品であり、容量105kWh。バッテリーを約3時間で充電可能である[6]。 バッテリー重量の関係で、車両重量は従来のディーゼルバスよりも若干重い。

車両価格は税別で1,950万円。

使用されているバッテリーは、BYDの自社開発によるリン酸鉄リチウムイオン電池で、リア部分に設置されている。BYDはこのバッテリーについて、有害物質を発生させず材料をリサイクルできるとしている[7]

都市型I(1扉)と都市型II(2扉)と郊外型(1扉)の3種類が販売された。乗車定員は以下の通りである。

乗車定員
  • 都市型Ⅰ:31名
  • 都市型Ⅱ:29名
  • 郊外型:25名

2020年7月23日に東京都建設局が東京都交通局上野懸垂線(モノレール)の休止に伴う代替手段として導入されて以降、営業用では日本国内で50台以上が導入された。

後述の次期モデルである「J6 2.0」の発売に伴い、販売を終了した。

J6 2.0(現行車種)

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神奈川中央交通のBYD J6 2.0・都市型

2022年5月10日に発売が開始された[8]

先代モデル同様、日本市場向けに設計された小型電気バスで、型式はB70A02。

このモデルからBYD社が開発した新型リン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」を採用し、これは結晶構造が強固で、熱安定性が高く、バッテリーパックに直接釘を刺す釘刺し試験でも熱暴走は起こらなかった非常に安全性高いのが特徴のバッテリー[9]を採用。またエネルギー密度も高いことにより従来型より満充電走行距離を延ばし、バッテリーをコンパクトにしたことで乗車人数の増加も実現させた。 バッテリー容量が従来モデルの105.6kWhから125.7kWhに増加し、満充電走行距離も200kmから220kmに拡大となった[8]

CHAdeMO規格の急速充電にも対応しており、満充電に要する時間は約2.5時間となっている。

また外部給電機能の搭載によりV2LやV2Gにも対応。

バッテリーの保証期間も従来モデルの「5年または40万km」から「8年または40万km」に変更されている。

このモデルでは、出入口が2ヶ所の「都市型」と出入口が1ヵ所のみの「郊外型」の2種類が発売されている。乗車定員は以下の通りである。

乗車定員[10]
  • 都市型
    • 座席11+跳ね上げ席2+立席22+運転席1、計36人乗り
  • 郊外型
    • 座席15+跳ね上げ席4+立席12+運転席1、計32人乗り

日野・ポンチョZ EV

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2021年には日野自動車がBYDからの技術供与の上、J6のOEM車種である日野・ポンチョZ EVを2022年春に販売開始すると発表したが[11]、その後品質の作り込みに期間を要していることを理由に、2022年度中に発売が延期された[12]

翌2023年2月16日、BYDがJ6の車両部品の一部に、日本自動車工業会が使用を自主規制している発癌性物質六価クロムを使用していることが判明した[13][14]。日野自動車は同日付で日野・ポンチョZ EVの輸入発売を凍結(解消)すると発表したが、ただし日野自動車のニュースリリースでは発売凍結の理由は明らかにしていない[15][16]

この件が日本のマスメディアで大きく報道されたことを受け、BYDの日本法人であるビーワイディージャパン株式会社は、同年2月23日付で「当社EVバスに関する一部報道について」と題したニュースリリースを発表[17]。通常の車両使用には無害かつ廃車時には適切にリサイクルして無害化処理を行うとして安全性を強調しつつ[17]、同年末に日本企業へ納入するJ6については日本自動車工業会の自主規制に準拠して六価クロムを使用せず製造販売するとした[17]。また2月27日には同社製の乗用車については六価クロムを使用していないことを発表した[18]。さらに2023年3月時点では、すでに日本国内で販売したJ6についても六価クロムを使用していない部品への交換作業を開始していることを明らかにした[18]

なお、日本には自動車部品に六価クロムの使用を禁ずる法令等はなく[18]、日本自動車工業会がが定めた「2008年以降に新型車として生産販売される自動車には六価クロムを使用しない」とする自主規制のみであり[18]、同会に加盟する日本の自動車メーカーの製品であってもモデルチェンジを行わなければ「新型車」ではない[18]。そのため2023年現在、日本で生産販売される自動車にも六価クロムは使用されており、一例として三菱ふそうトラック・バスのバスやトラックにも防錆剤として六価クロムを使用していることがカタログに明記されている[18]

導入事業者

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試験運行でない営業運行のみ。

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ “日本初の量産型小型電気バスの販売を決定、2020年春納車開始”. ビーワイディージャパン株式会社. (2019年3月25日). https://byd.co.jp/news/2019_0325_73.html 2023年2月5日閲覧。 
  2. ^ 標準仕様ノンステップバス認定車両の一覧”. 国土交通省. 2023年2月5日閲覧。
  3. ^ 道路運送車両の保安基準第26条 (PDF)
  4. ^ “研判:完成日本公交市场验证的比亚迪B7电动客车技术状态”. 新能源情报分析网. (2022年1月7日). https://www.evupdates.com/Home/Index/article_article/id/1055.html 2024年4月22日閲覧。 
  5. ^ J6”. ビーワイディージャパン株式会社. 2023年2月5日閲覧。
  6. ^ https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1176350.html
  7. ^ BYD Auto,BYD Electric Bus”. BYD Auto. 2012年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月20日閲覧。
  8. ^ a b https://www.webcg.net/articles/-/46339
  9. ^ https://byd.co.jp/e-life/manufacturer_stories01/
  10. ^ https://byd.co.jp/products/j6/
  11. ^ “日野が小型EVバス「ポンチョZ EV」、BYDからOEM受け2022年春に発売”. 日刊自動車新聞電子版. (2021年6月10日). https://www.netdenjd.com/articles/-/250986 
  12. ^ “日野、電気小型バス「ポンチョZ EV」を2022年度内に発売”. 日刊自動車新聞電子版. (2022年5月10日). https://www.netdenjd.com/articles/-/266798 
  13. ^ “BYD製バスで六価クロム使用”. 日本経済新聞. (2023年2月22日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68668830R20C23A2TB2000/ 
  14. ^ “BYDの「六価クロム」問題で影響が拡大、乗用EVも調査”. Response.. (2023年2月7日). https://response.jp/article/2023/02/27/368027.html 
  15. ^ “日野ポンチョ Z EV発売凍結について”. 日野自動車株式会社. (2023年2月16日). https://www.hino.co.jp/corp/news/2023/20230216-003450.html 
  16. ^ “日野、中国・BYD製小型EVバス「ポンチョZ EV」の発売凍結 理由は自工会の自主規制物質「六価クロム」の使用”. 日刊自動車新聞電子版. (2023年2月20日). https://www.netdenjd.com/articles/-/280785 
  17. ^ a b c 当社EVバスに関する一部報道について” (PDF). ビーワイディージャパン株式会社 (2023年2月23日). 2023年9月3日閲覧。
  18. ^ a b c d e f “中国BYDバス「六価クロム」報道のその後 三菱ふそうは使用しているのにBYDはなぜNG? 日野ポンチョZ EVどうなる?”. 株式会社ACJマガジンズ. AUTOCAR JAPAN. (2023年3月26日). https://www.autocar.jp/post/918773 
  19. ^ “〜環境に配慮するテーマパークを目指します〜 EVバス導入についてのお知らせ”. PRTIMES (ハウステンボス株式会社). (2020年12月7日). https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000346.000023462.html 
  20. ^ ステーションループバス ディーゼル車両での運行について (PDF) 京阪バス
  21. ^ “ステーションループバス 電気バスでの運行再開について”. 京阪バス. https://www.keihanbus.jp/announcement/detail.html?news_id=1206 
  22. ^ “「電気バス」の運行再開の延期について”. 近鉄バス. https://www.kintetsu-bus.co.jp/topics/detail.php?pkId=696 
  23. ^ “EVバスを8台 知多乗合が導入 県内初”. 愛知: 毎日新聞社. (2022年10月6日). https://mainichi.jp/articles/20221006/ddl/k23/020/169000c 
  24. ^ https://www.city.obu.aichi.jp/shisei/koho/pressrelease/1003447/1028040/1028160.html
  25. ^ https://www.medias-ch.com/movie/117483/
  26. ^ “電気バスが運行開始 温室効果ガス削減を”. NHK NEWS WEB. (2022年11月1日). https://web.archive.org/web/20221101021320/https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20221101/4000020107.html 
  27. ^ [1]
  28. ^ “ゼロカーボンシティ」をPR!EVバスをラッピング”. 長野・小諸市: abn長野朝日放送. (2023年2月7日). https://news.yahoo.co.jp/articles/b251804d12c27a89530c8199a685dd2cd07e482d 
  29. ^ [2] (PDF)
  30. ^ “「EVバス」の運行開始について”. 奈良交通. (2023年3月20日). https://www.narakotsu.co.jp/news/news_1481.html 
  31. ^ “「EVバス」の運行開始日の延期について”. 奈良交通. (2023年2月24日). https://www.narakotsu.co.jp/news/news_1467.html 
  32. ^ “2050年カーボンニュートラルの達成に向けて 【小型電気バス】2台導入”. 京急バス. (2023年3月27日). https://www.keikyu.co.jp/company/news/2022/20230327HP_22156TE.html 
  33. ^ “電気バスに木曽の魅力添える 青峰高・矢澤さんデザイン、4月から運行”. 市民タイムス. (2023年2月21日). https://www.shimintimes.co.jp/news/2023/02/post-21033.php 
  34. ^ “三重交通に小型EVバス「J6」2台を納入”. PRTIMES (ビーワイディージャパン). (2023年4月26日). https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000043078.html 
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  61. ^ https://www.chunichi.co.jp/article/874518
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関連項目

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外部リンク

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  • BYD J6 - ビーワイディージャパン株式会社(BYD JAPAN)