金獅子賞
金獅子賞(きんじししょう、イタリア語: Leone d'Oro)は、ヴェネツィア国際映画祭の賞の一つであり[1]、同映画祭の最高賞である[1]。
金獅子賞 Leone d'Oro | |
---|---|
会場 | ヴェネツィア |
国 | イタリア |
主催 | ヴェネツィア国際映画祭 |
概要
編集1949年に創設された[1]。獅子がヴェネツィアの守護聖人である聖マルコの象徴であったことからこの名が付けられた[2]。ヴェネツィア・ビエンナーレにも同名の賞がある。
1934年から1942年ではムッソリーニ杯と冠した賞が最高賞として授与されていた[3]。そのうち、1940年から1942年に開催されたものは正式な映画祭として認められていない[4]。本項ではその受賞作品も記載する。また、1969年から1979年までの10年間は賞の審査が行われなかった[5]。
日本の作品では、『羅生門』(黒澤明監督)、『無法松の一生』(稲垣浩監督)、『HANA-BI』(北野武監督)の3作品が受賞している。
2022年時点で最多受賞記録は2回であり、それを達成した監督は以下の4名である[1]。
名前 | 国 | 受賞作 |
---|---|---|
アンドレ・カイヤット | フランス | 1950年『裁きは終りぬ』、1960年『ラインの仮橋』 |
ルイ・マル | フランス | 1980年『アトランティック・シティ』、1987年『さよなら子供たち』 |
チャン・イーモウ | 中国 | 1992年『秋菊の物語』、1999年『あの子を探して』 |
アン・リー | 台湾 | 2005年『ブロークバック・マウンテン』、2007年『ラスト、コーション』 |
歴代受賞作品
編集1930年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1932年 | 自由を我等に À nous la liberté |
ルネ・クレール | フランス |
1934年 | Teresa Confalonieri | グイド・ブリニョーネ | イタリア王国 |
アラン Man of Aran |
ロバート・J・フラハティ | イギリス | |
1935年 | おもかげ Casta Diva |
カルミネ・ガローネ | イタリア王国 |
アンナ・カレニナ Anna Karenina |
クラレンス・ブラウン | アメリカ合衆国 | |
1936年 | リビア白騎隊 Squadrone bianco |
アウグスト・ジェニーナ | イタリア王国 |
Der Kaiser von Kalifornien | ルイズ・トレンカー | ドイツ国 | |
1937年 | シピオネ Scipione l'Africano |
カルミネ・ガローネ | イタリア王国 |
舞踏会の手帖 Un carnet de bal |
ジュリアン・デュヴィヴィエ | フランス | |
1938年 | 空征かば Luciano Serra pilota |
ゴッフレード・アレッサンドリーニ | イタリア王国 |
オリンピア Olympia |
レニ・リーフェンシュタール | ドイツ国 | |
1939年 | Abuna Messias | ゴッフレード・アレッサンドリーニ | イタリア王国 |
1940年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1940年 | L'assedio dell'Alcazar | アウグスト・ジェニーナ | イタリア王国 |
白夜の果てに Der Postmeister |
グスタフ・ウィッキイ | ドイツ国 | |
1941年 | La corona di ferro | アレッサンドロ・ブラゼッティ | イタリア王国 |
世界に告ぐ Ohm Krüger |
ハンス・シュタインホフ | ドイツ国 | |
1942年 | Bengasi | アウグスト・ジェニーナ | イタリア王国 |
偉大なる王者 Der Grosse König |
ファイト・ハーラン | ドイツ国 | |
1946年 | 南部の人 The Southerner |
ジャン・ルノワール | アメリカ合衆国 |
1947年 | Sirena | カレル・シュテクリー | チェコスロバキア |
1948年 | ハムレット Hamlet |
ローレンス・オリヴィエ | イギリス |
1949年 | 情婦マノン Manon |
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー | フランス |
1950年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1950年 | 裁きは終りぬ Justice est faite |
アンドレ・カイヤット | フランス |
1951年 | 羅生門 | 黒澤明 | 日本 |
1952年 | 禁じられた遊び Jeux interdits |
ルネ・クレマン | フランス |
1953年 | - | - | - |
1954年 | ロミオとジュリエット Romeo and Juliet |
レナート・カステラーニ | イギリス |
1955年 | 奇跡 Ordet |
カール・テオドール・ドライヤー | デンマーク ベルギー |
1956年 | - | - | - |
1957年 | 大河のうた অপরাজিত |
サタジット・レイ | インド |
1958年 | 無法松の一生 | 稲垣浩 | 日本 |
1959年 | ロベレ将軍 Il generale della Rovere |
ロベルト・ロッセリーニ | イタリア |
戦争・はだかの兵隊 La grande guerra |
マリオ・モニチェリ | イタリア フランス |
1960年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1960年 | ラインの仮橋 Le Passage du Rhin |
アンドレ・カイヤット | フランス |
1961年 | 去年マリエンバートで L'Année dernière à Marienbad |
アラン・レネ | フランス イタリア |
1962年 | 僕の村は戦場だった Ива́ново де́тство |
アンドレイ・タルコフスキー | ソビエト連邦 |
家族日誌 Cronaca familiare |
ヴァレリオ・ズルリーニ | イタリア アメリカ合衆国 | |
1963年 | 都会を動かす手 Le mani sulla città |
フランチェスコ・ロージ | イタリア |
1964年 | 赤い砂漠 Il deserto rosso |
ミケランジェロ・アントニオーニ | イタリア フランス |
1965年 | 熊座の淡き星影 Vaghe stelle dell'Orsa |
ルキノ・ヴィスコンティ | イタリア |
1966年 | アルジェの戦い La battaglia di Algeri |
ジッロ・ポンテコルヴォ | イタリア アルジェリア |
1967年 | 昼顔 Belle de Jour |
ルイス・ブニュエル | フランス イタリア |
1968年 | サーカス小屋の芸人たち 処置なし Die Artisten in der Zirkuskuppel: Ratlos |
アレクサンダー・クルーゲ | 西ドイツ |
1969年 | - | - | - |
1980年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1980年 | グロリア Gloria |
ジョン・カサヴェテス | アメリカ合衆国 |
アトランティック・シティ Atlantic City |
ルイ・マル | カナダ フランス | |
1981年 | 鉛の時代 Die bleierne Zeit |
マルガレーテ・フォン・トロッタ | 西ドイツ |
1982年 | ことの次第 Der Stand der Dinge |
ヴィム・ヴェンダース | 西ドイツ ポルトガル アメリカ合衆国 |
1983年 | カルメンという名の女 Prénom Carmen |
ジャン=リュック・ゴダール | フランス スイス |
1984年 | 太陽の年 Rok spokojnego słońca |
クシシュトフ・ザヌーシ | ポーランド 西ドイツ アメリカ合衆国 |
1985年 | 冬の旅 Sans toit ni loi |
アニエス・ヴァルダ | フランス |
1986年 | 緑の光線 Le Rayon vert |
エリック・ロメール | フランス |
1987年 | さよなら子供たち Au revoir les enfants |
ルイ・マル | フランス 西ドイツ |
1988年 | 聖なる酔っぱらいの伝説 La leggenda del santo bevitore |
エルマンノ・オルミ | イタリア フランス |
1989年 | 悲情城市 悲情城市 |
ホウ・シャオシェン | 台湾 |
1990年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1990年 | ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ Rosencrantz & Guildenstern Are Dead |
トム・ストッパード | イギリス |
1991年 | ウルガ Урга — территория любви |
ニキータ・ミハルコフ | ソビエト連邦 フランス |
1992年 | 秋菊の物語 秋菊打官司 |
チャン・イーモウ | 中国 |
1993年 | トリコロール/青の愛 Trois Couleurs: Bleu |
クシシュトフ・キェシロフスキ | フランス ポーランド スイス |
ショート・カッツ Short Cuts |
ロバート・アルトマン | アメリカ合衆国 | |
1994年 | 愛情萬歳 愛情萬歲 |
ツァイ・ミンリャン | 台湾 |
ビフォア・ザ・レイン Before the Rain |
ミルチョ・マンチェフスキ | 北マケドニア イギリス フランス | |
1995年 | シクロ Xích Lô |
トラン・アン・ユン | ベトナム フランス イギリス領香港 |
1996年 | マイケル・コリンズ Michael Collins |
ニール・ジョーダン | アイルランド イギリス アメリカ合衆国 |
1997年 | HANA-BI | 北野武 | 日本 |
1998年 | いつか来た道 Così ridevano |
ジャンニ・アメリオ | イタリア |
1999年 | あの子を探して 一个都不能少 |
チャン・イーモウ | 中国 |
2000年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
2000年 | チャドルと生きる دایره |
ジャファル・パナヒ | イラン |
2001年 | モンスーン・ウェディング Monsoon Wedding |
ミーラー・ナーイル | インド アメリカ合衆国 フランス イタリア |
2002年 | マグダレンの祈り The Magdalene Sisters |
ピーター・マラン | アイルランド イギリス |
2003年 | 父、帰る Возвращение |
アンドレイ・ズビャギンツェフ | ロシア |
2004年 | ヴェラ・ドレイク Vera Drake |
マイク・リー | イギリス フランス ニュージーランド |
2005年 | ブロークバック・マウンテン Brokeback Mountain |
アン・リー | アメリカ合衆国 |
2006年 | 長江哀歌 三峡好人 |
ジャ・ジャンクー | 中国 |
2007年 | ラスト、コーション 色,戒 |
アン・リー | 台湾 アメリカ合衆国 香港 中国 |
2008年 | レスラー The Wrestler |
ダーレン・アロノフスキー | アメリカ合衆国 |
2009年 | レバノン לבנון |
サミュエル・マオス | イスラエル フランス ドイツ |
2010年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
2010年 | SOMEWHERE Somewhere |
ソフィア・コッポラ | アメリカ合衆国 |
2011年 | ファウスト Faust |
アレクサンドル・ソクーロフ | ロシア |
2012年 | 嘆きのピエタ 피에타 |
キム・ギドク | 韓国 |
2013年 | ローマ環状線、めぐりゆく人生たち Sacro GRA |
ジャンフランコ・ロージ | イタリア |
2014年 | さよなら、人類 En duva satt på en gren och funderade på tillvaron |
ロイ・アンダーソン | スウェーデン |
2015年 | 彼方から Desde Alla[6] |
ロレンソ・ビガス | ベネズエラ |
2016年 | 立ち去った女 Ang Babaeng Humayo |
ラヴ・ディアス | フィリピン |
2017年 | シェイプ・オブ・ウォーター The Shape of Water |
ギレルモ・デル・トロ | アメリカ合衆国 |
2018年 | ROMA/ローマ Roma |
アルフォンソ・キュアロン | メキシコ |
2019年 | ジョーカー Joker |
トッド・フィリップス | アメリカ合衆国 |
2020年代
編集開催年 | 受賞作 原題 |
監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
2020年 | ノマドランド Nomadland |
クロエ・ジャオ | アメリカ合衆国 |
2021年 | あのこと L’Événement |
オードレイ・ディヴァン | フランス |
2022年 | 美と殺戮のすべて All the Beauty and the Bloodshed |
ローラ・ポイトラス | アメリカ合衆国 |
2023年 | 哀れなるものたち Poor Things |
ヨルゴス・ランティモス | イギリス アメリカ合衆国 アイルランド |
脚注
編集- ^ a b c d “The awards of the Venice Film Festival”. 19 August 2014閲覧。
- ^ “Biennale Cinema History of the Venice Film Festival: The Forties and Fifties”. Biennale. La Biennale di Venezia (2008年). 2008年5月28日閲覧。
- ^ “Venice Film Festival”. IMDb. 19 August 2014閲覧。
- ^ “The 40s and the 50s”. Biennale. 19 August 2014閲覧。
- ^ “The 60s and the 70s”. Biennale. 19 August 2014閲覧。
- ^ “ベネチア映画祭結果発表!金獅子賞はベネズエラ人新進監督のデビュー作!【第72回ベネチア国際映画祭】(1/2)”. シネマトゥデイ (2015年9月13日). 2015年9月14日閲覧。