車上狙い(しゃじょうねらい)とは、自動車等の積荷や車両内から現金や品物を盗むことである[1]。一般的には車上荒しとも呼ばれるが、これは古い犯罪手口の呼び方である。警察庁が現在示す手口分類では「車上ねらい」とひらがな表記をする。

窓ガラスが割られた自動車

日本国内の認知件数

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車上荒らしの認知件数推移(1973年以降)
1973年以降の車上荒らしの認知件数推移
認知件数
総計 部品ねらい 車上ねらい
1973 99,496 27,123 72,373
1974 105,670 32,745 72,925
1975 113,315 28,579 84,736
1976 119,507 25,305 94,202
1977 122,365 24,653 97,712
1978 136,911 25,823 111,088
1979 142,377 26,685 115,692
1980 157,841 31,973 125,868
1981 176,450 37,702 138,748
1982 194,567 41,013 153,554
1983 200,479 39,175 161,304
1984 209,483 38,215 171,268
1985 214,584 36,133 178,451
1986 224,240 35,781 188,459
1987 227,900 37,451 190,449
1988 226,726 39,766 186,960
1989 235,418 40,594 194,824
1990 228,457 38,782 189,675
1991 238,912 41,149 197,763
1992 257,983 45,028 212,955
1993 267,070 44,369 222,701
1994 271,649 43,121 228,528
1995 269,102 46,629 222,473
1996 257,428 47,348 210,080
1997 269,897 52,726 217,171
1998 313,284 61,192 252,092
1999 368,459 73,824 294,635
2000 464,100 101,338 362,762
2001 561,520 129,380 432,140
2002 571,837 128,539 443,298
2003 535,545 120,726 414,819
2004 441,082 112,161 328,921
2005 360,366 103,772 256,594
2006 294,483 88,739 205,744
2007 246,145 78,016 168,129
2008 231,780 76,109 155,671
2009 221,479 76,342 145,137
2010 192,983 68,375 124,608
2011 171,082 57,981 113,101
2012 155,865 51,828 104,037
2013 133,957 45,981 87,976
2014 113,086 37,797 75,289
2015 97,623 32,600 65,023
2016 88,377 28,403 59,974
2017 82,121 27,353 54,768
2018 65,935 20,966 44,969
2019 54,010 16,585 37,425
2020 41,431 13,453 27,978
2021 36,329 13,047 23,282
2022 36,390 13,301 23,289

法務省警察庁の統計によれば、統計データ(車上狙いと部品狙いを合算した件数)のある1973年昭和48年)以降最多であった2002年平成14年)(認知件数:57万1,837件)をピークに減少し、2021年令和3年)の認知件数は3万6,329件となっており、統計データのある1973年(昭和48年)以降最低の件数となったが、2022年(令和4年)は新型コロナウイルス対策の行動制限緩和により外出する人が増加し、人と出会う機会が増えたことから前年より微増して3万6,390件となった[2][3]

狙われる部品など

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車両部品では、ナンバープレートが盗まれることが多く、2021年(令和3年)に盗まれた車両部品の約4割を占める。何故なら、ナンバープレートを撮影するNシステムや、監視カメラによる警察の追跡や捜査の目をごまかし、犯罪の発覚を遅らせてるために窃盗団がナンバープレートを盗んでいるからである[4]。その他にも、カーナビゲーション(カーナビ)やカーオーディオ[5]、あるいはタイヤアルミホイールが狙われる[6]ハイブリッドカーなどではバッテリーが盗難される事件も少なからず報告されている[7]

警察庁の統計(車上狙いと部品狙いを合算した被害数)より、2012年(平成22年)~2021年(令和3年)の間で、一番多い被害品は、バッグ財布類であり、車上狙いによって盗まれた全被害品の約2割近くで推移している。
次いで、カード有価証券であり全被害品に占める割合が2021年で約16%であり、2015年以降は10%後半台で推移している。
そして3番目はナンバープレートで約1割を占めており、2011年以降にカーナビを抜いてからナンバープレートの占める割合も年々増加しており、2020年以降は10%を超えている。
4番目は運転免許証であり、全被害品の約3.8%であり、2012年~2021年の間で6%以上10%未満の割合で占めており、2019年までナンバープレート同様年々占める割合が増加していたが、2020年以降減少している[8]

また、2021年(令和3年)の被害品数は、5万4,872品(内、バッグ・財布類:1万641品、カード・有価証券:8,804品、ナンバープレート:5,869枚、運転免許証:4,207枚)であった。更に車内部品は1万4,223品(内、カーナビ:169台、ナンバープレート:5,869枚、タイヤ・ホイール:847品、その他:7,338品)であり、車上狙いによって盗まれた全被害品の約25.9%を占めているが、その内約41.3%をナンバープレートが占めている。

かつてカーナビは2012年(平成24年)時点で盗難品数が1万6,923台であり、2010年までは盗難品種の第3位に位置していたが、2021年(令和3年)は169台と約100分の1となった。そしてカーオーディオもかつて被害の多い品種として挙げられていたが、年々減少していき警察庁が発行する「令和元年の刑法犯に関する統計資料」の46~47ページの記載[9]を最後にその他へと計上されている[8][10]

そして、日本損害保険協会の調査より、2022年(令和4年)中に車上狙いの被害により保険から支払われた件数は971件であった[11]

社会的に影響があった車上狙い

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脚注

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  1. ^ 自動車盗・車上ねらいの発生状況 - 神奈川県警
  2. ^ 法務省『令和4年版犯罪白書 第1編 犯罪の動向 第1章 刑法犯 第2節 主な刑法犯 1 窃盗 1-1-2-3図 窃盗 認知件数の推移(様態別、手口別)』(Excel)(レポート)2022年12月https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/69/nfm/n69_2_1_1_2_1.html#h1-1-2-32023年7月2日閲覧 
  3. ^ 警察庁捜査支援分析管理官 (7 February 2023). 令和4年1月~令和4年12月犯罪統計【確定値】 第2表 窃盗 手口別 認知・検挙件数・検挙人員 対前年比較 (PDF,Excel) (Report). p. 10. 2023年7月2日閲覧
  4. ^ 国沢光宏 (2019年8月12日). “【盗んでどうする??】ナンバープレート盗難急増中!! 悪質窃盗団の真の狙いとは??”. ベストカーWeb編集部. 講談社ビーシー. 2020年2月9日閲覧。
  5. ^ “オーディオは狙われる(かなり安全)”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (2004年9月18日) 
  6. ^ “「車上荒らし」最新手口の防護マニュアル 5年で被害倍増”. 朝日新聞 週刊 (朝日新聞社). (2003年2月21日) 
  7. ^ “プリウスの「バッテリー盗難」が多発している!”. Wired (CONDE NAST JAPAN). (2015年5月23日). https://wired.jp/2015/05/23/prius-batteries-being-targeted/ 2017年9月30日閲覧。 
  8. ^ a b 統計>令和3年の刑法犯に関する統計資料”. 警察庁. pp. 47-48 (2022年8月). 2023年7月2日閲覧。
  9. ^ 2019年(平成31年/令和元年)のカーオーディオの被害品数:車上狙い19台、部品狙い18台
  10. ^ 警察庁『令和元年の刑法犯に関する統計資料 第2 罪種・手口別の認知・検挙状況 (3) 窃盗(重要窃盗犯に該当する手口を除く。)』(PDF)(レポート)2020年8月、46-47頁https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R01/r01keihouhantoukeisiryou.pdf#page=432023年7月2日閲覧 
  11. ^ 日本損害保険協会『第24回 自動車盗難事故実態調査結果』(PDF)(レポート)2023年3月13日、3頁https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jidoshatounan/pdf/news_22-21.pdf2023年7月2日閲覧 
  12. ^ 「ブ弁護士の書類返る」『朝日新聞』昭和22年8月3日,4面

関連項目

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