超歌舞伎
超歌舞伎(ちょうかぶき)は、初音ミクを中心としたバーチャルシンガーと二代目中村獅童を中心とした歌舞伎役者が共演する最新テクノロジーを駆使した歌舞伎[1][2]。
制作は松竹とドワンゴ、特別協賛と技術協力は日本電信電話(NTT)、制作協力はクリプトン・フューチャー・メディア[3][4]。
概要
編集2016年の『ニコニコ超会議2016』内の企画としてスタート[1][5]。優れたデジタルコンテンツを表彰する2016年のデジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'16/第22回AMDアワードにおいて、大賞/総務大臣賞を受賞[6][7]。
2019年8月と2021年9月には京都南座での公演も行われ[8][9]、2022年には劇場での公演が全国4か所(福岡・博多座、名古屋・御園座、東京・新橋演舞場、京都・南座)に拡大された[10]。2022年に『ニコニコ超会議』内で行われた超歌舞伎で、期間中に配信された過去作品5本と本公演を合わせたネット総来場者数が100万人を突破した[11]。また、この時の本公演『永遠花誉功』には、中村獅童の長男・小川陽喜がサプライズで出演した[12]。
2023年に行われた『ニコニコ超会議2023』では、幕張メッセ公演では初となるリミテッドバージョン(配役が異なるバージョン)も実施され[13]、千秋楽では2023年12月に東京・歌舞伎座で公演されることが発表された[14]。そして、歌舞伎座『十二月大歌舞伎』第一部の演目のひとつとして『今昔饗宴千本桜』が上演された[15]。歌舞伎座での公演は初となる。また、この公演が中村獅童の次男・小川夏幹の初お目見得でもある[15]。歌舞伎座の公演では新たにNTTの最新技術である「APN IOWN1.0」が使われており、遠隔地にいる演者の動きをリアルタイムで初音ミクに反映することにより、今まで不可能であった舞台上の演者のアドリブなどへの対応が実現した[16]。
公演
編集公演年 | イベント・公演名 | 公演場所 | 公演日程 | 演目 | 備考・出典 |
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2016年 | ニコニコ超会議2016 | 幕張メッセイベントホール | 2016年4月29日 - 30日 | [1] | |
2017年 | ニコニコ超会議2017 | 2017年4月29日 - 30日 | [17] | ||
2018年 | ニコニコ超会議2018 | 2018年4月28日 - 29日 | [18] | ||
2019年 | ニコニコ超会議2019 | 2019年4月27日 - 28日 | 今昔饗宴千本桜 | [19] | |
八月南座超歌舞伎 | 京都南座 | 2019年8月2日 - 26日 |
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[8] | |
2020年 | ニコニコネット超会議2020夏 | ニコニコ生放送 | 2020年8月16日 | [20] | |
2021年 | ニコニコネット超会議2021 | 幕張メッセイベントホール | 2021年4月24 - 25日 | [21] | |
九月南座超歌舞伎 | 京都南座 | 2021年9月3日 - 26日 |
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[9] | |
2022年 | ニコニコ超会議2022 | 幕張メッセイベントホール | 2022年4月29 - 30日 | [22] | |
超歌舞伎2022 Powered by NTT | 福岡・博多座 | 2022年8月4日 - 7日 |
|
[23] | |
名古屋・御園座 | 2022年8月13日 - 16日 | [24] | |||
東京・新橋演舞場 | 2022年8月21日 - 9月3日 | [注 1][25] | |||
京都南座 | 2022年9月8日 - 25日 | [注 1][26] | |||
2023年 | ニコニコ超会議2023 | 幕張メッセイベントホール | 2023年4月29日 - 30日 |
|
[注 2][27][13] |
十二月大歌舞伎(第一部の二) | 東京・歌舞伎座 | 2023年12月3日 - 26日 | 今昔饗宴千本桜 | [15][注 3] |
特色
編集スクリーンに投影されたCGのキャラクターと、実際の役者が同じ舞台上で共演するのが大きな特徴である。キャラクターの投影は、会場によって、透過スクリーンが使用される場合と白いの生地のスクリーンが使用される場合がある[29]。
観客は、出演者毎に指定された色のペンライトを振って応援するスタイルが定着している[30]。もとは観客が自発的に始めたものであったが、会場での客席参加型の演出として取り入れられ、ペンライトの点灯を誘発する台詞が加えられることもある[31]。
大向こうの掛け声は、思い思いのタイミングで(本来禁止されている女性含め)誰でもかけることができる[32]。また、出演者の屋号に加えて、掛け声[何の?]も定着している[33]。
コロナ禍の中での開催となった2021年と2022年の公演は、感染症対策として観客が声を出さない形式で行われた[34]。そのため、「大向う付オリジナルペンライト」という、大向こうの音声を発する機能が付いたペンライトが劇場公演グッズとして販売された[34][35]。
ニコニコ超会議では、ニコニコ生放送の視聴者の入力したコメントが会場にも投影され、声援の代わりになる[36]。そのため、視聴者のコメントを誘発するための台詞も演出として取り入れられており[37]、初心者のために、歌舞伎の約束事などの解説的なコメントをするユーザーもいる[38]。
出演者
編集歌舞伎役者
編集- 中村獅童[1][17][18][21][22]
- 澤村國矢[1][17][18][21][22]
- 中村蝶紫[17][18][21][22]
- 中村獅一[22]
- 片岡千次郎[22]
- 中村いてう[22]
- 小川陽喜[12]
- 市川升三郎[39]
- 尾上菊伸[39]
- 中村種之助[15]
- 小川夏幹[15]
- 市川青虎[15]
- 中村七之助[15]
- 中村勘九郎[15]
バーチャル
編集スタッフ
編集演目のモチーフ
編集今昔饗宴千本桜
編集黒うさP作詞・作曲の楽曲「千本桜」および同曲をモチーフとした『小説 千本桜』と、歌舞伎の演目『義経千本桜』をもとにした作品[1]。
- 読み方
- はなくらべせんぼんざくら
- 劇中曲
- 「千本桜」 - 作詞・作曲 黒うさP
花街詞合鏡
編集歌舞伎の演目『御所五郎蔵』の要素を取り入れて創作された作品[41]。
積思花顔競
編集- 読み方
- つもるおもいはなのかおみせ
- 劇中曲
- 「天樂」 - 作詞・作曲 ゆうゆ
御伽草子戀姿絵
編集土蜘伝説を題材とした、近松門左衛門の『関八州繋馬』や、桜田治助の『我背子恋の合槌』、山東京伝の『善知安方忠義伝』などをふまえて創作された作品[21]。
- 読み方
- おとぎぞうしこいのすがたえ
- 劇中曲
- 「ロミオとシンデレラ」 - 作詞・作曲 doriko
永遠花誉功
編集近松半二の『妹背山婦女庭訓』をはじめとする乙巳の変を題材とした歌舞伎や人形浄瑠璃の作品と、cosMo@暴走P作詞・作曲の楽曲「初音ミクの消失」をもとにして書き下ろされた作品[22]。
- 読み方
- とわのはなほまれのいさおし
- 劇中曲
- 「初音ミクの消失」 - 作詞・作曲 cosMo@暴走P
映像ソフト
編集いくつかの公演は映像ソフト化されている[42]。
タイトル | 発売日 | JANコード | 販売元 |
---|---|---|---|
超歌舞伎 今昔饗宴千本桜 | 2017年6月28日 | Blu-ray (JAN 4541993030323) DVD (JAN 4541993030330) | KADOKAWA |
超歌舞伎 花街詞合鏡 | 2018年6月27日 | Blu-ray (JAN 4589686427890) | ドワンゴ |
メディア展開
編集- にっぽんの芸能
- 2017年6月、主に日本の古典芸能を取り上げるNHK Eテレの番組『にっぽんの芸能』で、『花街詞合鏡』の公演が紹介された[43]。それ以降も、同番組では超歌舞伎の公演がたびたび放送されている[44][45]。
- 超歌舞伎VR 花街詞合鏡
- 2018年4月、『花街詞合鏡』を題材にしたPlayStation VR専用のアプリケーションが配信された[46]。プレイヤーはバーチャル・リアリティの空間内を動き回り、初音ミク演じる初音太夫の舞を360度どの角度からでも見ることができる[47]。
- #コンパス 戦闘摂理解析システム
- 2020年4月、スマートフォン向けゲームアプリ『#コンパス 戦闘摂理解析システム』とのコラボ企画が行われた。『今昔饗宴千本桜』の登場人物、コラボカードやコラボ衣装コスチュームがゲームに登場[48]。
- S.RIDE
- 2023年12月の『十二月大歌舞伎』での『今昔饗宴千本桜』の上演を記念し、タクシー配車用アプリS.RIDEとのコラボが行われた。コラボでは、特別ラッピングが施された「超歌舞伎タクシー」の配車や、『十二月大歌舞伎』第一部の1等席チケットと「超歌舞伎タクシー」での送迎がセットになった「超歌舞伎超ライドパック」の販売が行われた[49]。
イヤホンガイド
編集2019年の「八月南座超歌舞伎」、2021年の「九月南座超歌舞伎」、2022年の「超歌舞伎2022 Powered by NTT」(博多座、御園座、新橋演舞場、南座)、2023年の「十二月大歌舞伎」公演では、実況解説スタイルのイヤホンガイドが用意された[50][51][52]。
- 実況 - 百花繚乱
- 解説 - 高木秀樹
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “今昔饗宴千本桜 超歌舞伎 - 超会議2016”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “超歌舞伎公式サイト 九月南座超歌舞伎”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “【4月29日・30日開催】中村獅童×初音ミクによる「超歌舞伎 Powered by NTT」2023年公演の全貌を公開”. 2024年8月30日閲覧。
- ^ “大阪・関西万博 NTTパビリオンデーの公演内容決定!~「超歌舞伎 〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』」を上演~”. 2024年8月30日閲覧。
- ^ “歌舞伎美人 2019/03/26”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “まんたんウェブ 2017年03月13日”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “歌舞伎美人 2017/03/16”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b “歌舞伎美人 南座新開場記念 八月南座超歌舞伎”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b “歌舞伎美人 九月南座超歌舞伎”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “超歌舞伎2022 Powered by NTT”. 2023年12月3日閲覧。
- ^ “中村獅童×初音ミク 超歌舞伎『永遠花誉功』を披露 超会議期間中のネット総来場数100万人越えを記録 イベントレポート到着”. SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス. イープラス (2022年4月30日). 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b “ステージナタリー 2022年5月1日”. 2023年1月2日閲覧。
- ^ a b “ステージナタリー 2023年2月9日”. 2023年2月10日閲覧。
- ^ “スポーツ報知 2023年5月6日 - 中村獅童、公演中の子どもたちとのオフショット公開!「獅童さんにそっくりすぎる」「毎回癒されます」の声”. 2023年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “歌舞伎美人 十二月大歌舞伎”. 2023年12月3日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2023年12月5日). “初音ミクも登場、NTTの最新技術てんこ盛り「超歌舞伎」が歌舞伎座で上演中”. ケータイ Watch. 2023年12月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “超歌舞伎公式サイト - ニコニコ超会議2017”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “超歌舞伎公式サイト - ニコニコ超会議2018”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “超歌舞伎公式サイト - ニコニコ超会議2019”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “歌舞伎美人 2020/08/08”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “超歌舞伎公式サイト - ニコニコネット超会議2021”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “超歌舞伎公式サイト - ニコニコ超会議2022”. 2022年4月21日閲覧。
- ^ “超歌舞伎2022 Powered by NTT”. 2022年4月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月7日閲覧。
- ^ “超歌舞伎2022 Powered by NTT”. 2022年4月21日閲覧。
- ^ “超歌舞伎2022”. 2022年4月21日閲覧。
- ^ “超歌舞伎2022”. 2022年4月21日閲覧。
- ^ “超歌舞伎公式サイト - ニコニコ超会議2023”. 2023年1月10日閲覧。
- ^ “「超歌舞伎」が通算上演200回を達成、中村獅童「伝統と革新、それが超歌舞伎」 - ステージナタリー”. 2023年12月19日閲覧。
- ^ “ニコニコニュース オリジナル 連載「超歌舞伎 その軌跡(キセキ)と、これから」第十二回”. 2022年6月25日閲覧。
- ^ “チケットぴあ 九月南座超歌舞伎のチケット情報”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “ニコニコニュース オリジナル 連載「超歌舞伎 その軌跡(キセキ)と、これから」第十一回”. 2022年5月4日閲覧。
- ^ “ITmedia NEWS 2016年05月28日”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “ねとらぼ 2017年04月29日”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b “ステージナタリー - “大向う付オリジナルペンライト”登場!中村獅童、「九月南座超歌舞伎」に意欲”. 2023年5月14日閲覧。
- ^ “YouTube 松竹チャンネル - 超歌舞伎2022 Powered by NTT 大向う付オリジナルペンライトの使い方”. 2023年5月14日閲覧。
- ^ “歌舞伎美人 2019/05/09”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “ニコニコニュースOROGINAL 連載「超歌舞伎 その軌跡(キセキ)と、これから」第三回”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ “ニコニコニュースOROGINAL 連載「超歌舞伎 その軌跡(キセキ)と、これから」第五回”. 2021年11月13日閲覧。
- ^ a b 『新橋演舞場・南座・博多座・御園座 令和4年8・9月公演「超歌舞伎2022 Powered by NTT」筋書』松竹、2022年8月4日、48-49頁。
- ^ “ニコニコニュース オリジナル 連載「超歌舞伎 その軌跡(キセキ)と、これから」第十回”. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “歌舞伎美人 2017/05/02”. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “グッズ:超歌舞伎 今昔饗宴千本桜 DVD - ニコニコ超会議2018”. 2022年4月30日閲覧。
- ^ “エキサイトニュース 2017年5月24日”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “CNET Japan 2018年07月25日”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “ステージナタリー 2020年2月11日”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “企画:超歌舞伎VRが登場 - ニコニコ超会議2018”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “超歌舞伎VR 花街詞合鏡 - プレイステーション”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “リリース 2020/04/27 - 4Gamer.net”. 2022年4月29日閲覧。
- ^ “歌舞伎座公演記念し“超歌舞伎タクシー”が登場、観劇セットの「超歌舞伎超ライドパック」も - ステージナタリー”. 2024年1月7日閲覧。
- ^ “南座「八月南座超歌舞伎」でイヤホンガイド放送のお知らせ”. 2022年9月14日閲覧。
- ^ “南座「九月南座超歌舞伎」イヤホンガイド特別放送のお知らせ”. 2022年9月14日閲覧。
- ^ “「超歌舞伎2022」イヤホンガイド出演者コメント特別放送のお知らせ”. 2022年9月14日閲覧。