現示
計量学における現示(げんじ、realisation)とは、定義された測定単位の量の大きさを技術的に実現することである[1]。
計量関連ガイドに関する合同委員会による「国際計量計測用語」(VIM)では、現示という用語が指す行為として以下の3つが挙げられている[2][3]。
現示の方法
編集時間
編集歴史的に、時間の現示法には3つの段階がある。第1段階と第2段階は太陽時の観測によるものである。第1段階では、日時計やアストロラーベなどの道具を用いて地球の自転を観測していた。第2段階では、砂時計や機械式時計などの、時間を計るための機械が使われるようになった。第3段階では、原子時計などの精度の高い時計が使われるようになり、それまで基準としていた地球の自転が変動するものであることが判明したことから、そのような計時装置により置き換えられることになった。
長さ
編集長さは、人間が最も早く測定した量の一つである。当初は体の部分の長さや特定の種の種子の大きさによって現示されたが、後に、特定の人工物の長さによって現示されるようになり、その人工物はコミュニティのリーダーが所持していた。
現代では、光周波数標準によってメートルが現示されている[5]。
体積
編集当初は特定の容器の大きさによって現示されていたが、現在は長さの単位に基づいて定義されている。
質量
編集- 一定量の穀物の重さ
- 国際キログラム原器などの人工物
- ワット天秤
電荷
編集温度
編集脚注
編集- ^ 臼田孝. “国際単位系(SI)の体系紹介と最新動向(概論)” (PDF). 計測と制御 Vol.53 No.1 2014年1月号. 計測自動制御学会. 2022年12月14日閲覧。
- ^ VIM (3rd ed.) 5.1 NOTE 3
- ^ JIS Z 8103.
- ^ International Bureau of Weights and Measures (2012年). “Practical realization of the definitions of some important units”. p. 46. 23 April 2013閲覧。
- ^ Quinn, T. J. (2003). “Practical realisation of the definition of the metre, including recommended radiations of other optical frequency standards (2001)”. Metrologia 40: 103–133. Bibcode: 2003Metro..40..103Q. doi:10.1088/0026-1394/40/2/316 6 December 2013閲覧。.
外部リンク
編集- “JCGM 200:2012 International vocabulary of metrology - Basic and general concepts and associated terms (VIM) 3rd edition”. JCGM. 2022年12月18日閲覧。
- JIS Z 8103:2019「計測用語」(日本産業標準調査会、経済産業省)