永山一夫
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永山 一夫(ながやま かずお、1935年1月28日[1][2] - 没年不詳)は、在日朝鮮人であった元俳優、元声優。朝鮮名は権 秉純(クォン・ビョンスン)[3]。劇団三十人会[2]、さむらいプロに所属していた[2]。
ながやま かずお 永山 一夫 | |
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本名 | 権秉純(クォン・ビョンスン) |
生年月日 | 1935年1月28日 |
没年月日 | 不詳年 |
出生地 |
日本統治下朝鮮 慶尚南道居昌郡 |
出身地 | 日本 |
死没地 | 朝鮮民主主義人民共和国 |
職業 | 俳優、声優 |
活動期間 | 1960年代 - 1971年 |
来歴・人物
編集慶尚南道居昌郡出身、父親は朝鮮総督府警察の刑事であった[4]。1940年に両親に連れられ日本に移住し[3]、子供の頃の日本名は大山昇だったが[5]、終戦後には東京朝鮮中等学校と東京朝鮮中高等学校(高等部)の一期生として通学[4]。1957年頃にNHKのテレビ俳優養成所のオーディションに合格する[4]、芸名は日本人である「永山一夫」から戸籍を借りて付けたものである[5]。
養成所時代の21歳の時に結婚したが、夫人は1966年頃に心臓病で死去している[6]。
声優としてNHKの子供向け番組『おかあさんといっしょ』内の着ぐるみによる人形劇『ブーフーウー』(1960年 - 1967年3月)で、おおかみの声を担当し有名になった。番組では「おれはいじわる おおかみだ」「おつきさまは あおいよ」などの挿入歌を独唱。他の出演者との合唱曲も含めて、それらの音源はCD化されている。1967年4月からの『ダットくん』ではおじいさん役を演じ、1971年4月から『とんでけブッチー』では再びおおかみの声を演じている。
1960年代後半からは映画『日本暗黒史』シリーズ、『昭和残侠伝』シリーズ、テレビドラマ『ザ・ガードマン』などに出演、主に悪役を演じた。
1971年の夏に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への移住を表明[4]、10年前に先に移住した父の病気が理由[7]。10月22日[4]、第161次の在日朝鮮人の帰還事業により二人の息子を連れて、新潟港から万景峰号で北朝鮮に渡る[8][9]。渡航の当日にNHK「スタジオ102」で特集が放送され、デビュー時から親交のあった黒柳徹子が出演した[10]。北朝鮮に移住直後のインタビュー[11]以降の消息は明らかになっていないが、2023年2月23日にライターの尾形敏朗のツイートによると、尾形が黒柳に10数年前に取材した際に永山は故人であり、息子が医者をしているとのこと[12]。
出演作品
編集映画
編集- わんわん忠臣蔵(1963年、東映動画)※声の出演
- 放浪のうた(1966年、日活)
- 日本暗黒街(1966年、東映)
- 阿片台地 地獄部隊突撃せよ(1966年、松竹)
- 日本侠客伝 白刃の盃(1967年、東映)
- 兄弟仁義 関東兄貴分(1967年、東映)
- 続・組織暴力(1967年、東映) - ナイフの秀
- 日本暗黒史 血の抗争(1967年、東映)
- 波止場の鷹(1967年、日活) - 三宅
- ギャングの帝王(1967年、東映)
- 東京市街戦(1967年、日活)
- 日本暗黒史 情無用(1968年、東映)
- 密告(たれこみ)(1968年、東映)
- 前科者(1968年、東映)
- 夜の歌謡シリーズ おんな(1969年、東映)
- 不良番長 練監ブルース(1969年、東映) - 石津
- めくらのお市 地獄肌(1969年、松竹) - 孫
- 日本暴力団 組長(1969年、東映) - 足立
- やくざ番外地(1969年、日活) - 沢地
- やくざ番外地 抹殺(1969年、日活) - 中山
- 反逆のメロディー(1970年、日活) - ドス健
- 昭和残侠伝 死んで貰います(1970年、東映) - 小島
- ずべ公番長 ざんげの値打もない(1971年、東映) - 青田
- 激動の昭和史 沖縄決戦(1971年、東宝) - 抜刀の将校[13]
テレビドラマ
編集- 燃え立つ流れ(1960年、NHK)
- 正塚の婆さん(1963年、TBS)
- 虹の設計(1964年 - 1966年、NHK)
- ゼロ戦黒雲隊(1964年 - 1965年、NET / 東映) - 中村甲太兵曹
- 空手三四郎(1965年 - 1966年、NET / 東映) - 細川半兵衛
- 特別機動捜査隊 (NET / 東映)
- 第124話「誤算」(1964年)
- 第184話「醜聞」(1965年)
- 若者たち 第18話「帰りなん・いざ」(1966年、フジテレビ / 俳優座) - 土久地
- 七人の刑事(TBS)
- 第234話「黙秘犯人」(前編)(1966年)
- 第235話「黙秘犯人」(後編)(1966年)
- 第295話「ひとはデカと呼ぶ」(1967年)
- 第376話「夜鳴る電話」(1969年)
- ザ・ガードマン(TBS / 大映テレビ室)
- 第105話「国際会議全滅作戦」(1967年)
- 第106話「太陽に向って大追跡」(1967年)
- 第112話「死闘一対一」(1967年) ※第112話にクレジットされているゲスト出演者は永山一夫のみである。
- 第173話「幽霊の招く館」(1968年)
- 第185話「命を張って賭場荒し」(1968年)
- 第191話「真夜中の客」(1968年)
- 東芝日曜劇場 第542回「夜の眼」(1967年、TBS)
- 銭形平次(フジテレビ / 東映) ※大川橋蔵版
- 第64話「花婿の死」(1967年) - 伍市
- 第182話「海猫の唄」(1969年) - 辰造
- 第258話「どくろ駕籠」(1971年) - 弥八
- 半七捕物帳 第8話「異人の首」(1967年、TBS)
- 風 第37話「若さま飛び出す」(1968年、TBS / 松竹) - 大田原十内
- ローンウルフ 一匹狼(日本テレビ / 東映)
- 第1話「復讐のメロディー」(1967年)
- 第33話「地獄への片道切符」(1968年) - 岩倉
- ジョン万次郎(1968年、日本テレビ)
- 日本剣客伝 第1話「宮本武蔵」(1968年)(NET / 東映)
- 昔三九郎(日本テレビ / 三船プロ)
- 第7話「イカサマと影法師」(1968年)
- 第8話「殺したヤツら」(1968年)
- 愛妻くんこんばんは 第33話「ある決闘」(1968年、TBS / 日活)
- 37階の男 第1話「甘い触手」(1968年、日本テレビ / 東宝)
- 戦え! マイティジャック(フジテレビ / 円谷プロ)
- 第5話「マリヤの像を追いかけろ!!」(1968年) - マリヤ像窃盗団のボス
- 第11話「甘い爆弾にくらいつけ!」(1968年) - 秘密組織ブラッドのチーフ
- キイハンター(TBS / 東映)
- 第22話「悪党ダービー」(1968年) - 辻川
- 第31話「フーテン族強奪作戦」(1968年) - 関
- 第45話「死体置場で今晩は」(1969年)
- 第67話「生きていた男」(1969年) - 木村
- 第68話「殺されに来た黄金の男」(1969年)
- 第88話 「スパイ忠臣蔵」(1969年)
- 第89話 「国際殺人銀行奇襲作戦」(1969年)
- 第99話「がい骨はスキーがお上手」(1970年)
- 第101話「裏切者の墓標」(1970年)
- 第125話「悪党、黄金の大雪渓を行く」(1970年)
- 第153話「走れ! 爆弾自動車大追跡」(1971年)
- 三匹の侍(フジテレビ)
- 第6シリーズ 第4話「さらば愛しき女よ」(1968年) - 里見伊十郎
- 第6シリーズ 第24話「白刃有情」(1969年) - 藤蔵
- 東京バイパス指令 第3話「目には目を」(1968年、日本テレビ / 東宝)- 高倉
- かみなり三代 第6話「つまずいたら起き上がれ」(1968年 日本テレビ / 日活)
- 素浪人 花山大吉 第37話「バカにかまってバカをみた」(1969年、NET / 東映) - 喧嘩常
- 日本任侠伝 第1話「国定忠治」(1969年、NET / 東映) - 浅次
- ブラックチェンバー 第6話「昼下がりの狙撃」(1969年、フジテレビ / 東映)
- プレイガール(東京12チャンネル / 東映)
- 第13話「女の魔性に火がつけば」(1969年) - フランク中村
- 第70話「撲り込み替え玉作戦」(1970年)
- 第108話「情事は殺しの後にしろ」(1971年)
- 第116話「怪談 水晶屋敷の怨霊」(1971年) - 竜作
- プロフェッショナル 第1話「大爆発!」(1969年、TBS / NMC)
- フラワーアクション009ノ1 第12話「バカンスは危険がいっぱい」(1969年、フジテレビ / 東映)
- 新・平四郎危機一発 第15話「殺し屋が帰って来た」(1970年、TBS / 東宝)
- ゴールドアイ(日本テレビ / 東映)
- 第13話「超光線レーザーCOZ」(1970年)
- 第24話「女スパイ島大爆発」(1970年) - 田口五郎
- 遠山の金さん捕物帳 第13話「白州で殺された男」(1970年、NET / 東映) - 安吉
- 大忠臣蔵(1971年、NET / 三船プロ) - 唖の三蔵
- 軍兵衛目安箱 第19話「密告」(1971年、NET / 東映) - 土井半蔵
- 大江戸捜査網 第47話「八百八町富狂い」(1971年、東京12チャンネル / 日活) - 赤井一家代貸
- 弥次喜多隠密道中 第1話「隠密大作戦(お江戸日本橋)」(1971年、日本テレビ / 歌舞伎座テレビ室) - 浅山伝蔵
- 天皇の世紀 第9話「急流」(1971年、朝日放送 / 国際放映) - 清河八郎
- ジキルとハイド 第3話「殺意の群れ」(1973年、フジテレビ / 東宝) ※制作は1969年。
アニメ
編集吹き替え
編集- ロデオ
- 赤い灯をつけるな(リノ・バンチュラ)
- ある戦慄(トニー・ムサンテ)
- 黒い狼(ダーク・ボガード)
- 象使いの少年 (狩人<D・J・ウィリアムス>)
- 逃亡者 #95(ジャック・バーマス<ポール・マンティ>)
- 弁護士ジャッド 「影の自白」(マール<ジョー・ドン・ベーカー>)
人形劇
編集参考文献
編集- 『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。
脚注
編集- ^ “永山一夫(ながやま かずお)のプロフィール・画像・出演スケジュール”. ザテレビジョン. 2020年5月31日閲覧。
- ^ a b c 『日本タレント年鑑70』日本タレント年鑑刊行会、1970年、109頁。
- ^ a b 松本昌次『朝鮮の旅』すずさわ書店、1975年11月25日、245 - 250頁。NDLJP:12172302/126。
- ^ a b c d e 金一勉「朝鮮人がなぜ「日本名」を名のるのか : 民族意識と差別」『三一書房』1978年5月、121 - 124頁。
- ^ a b 「人間ルポ ブーフーウーのオオカミさん北朝鮮に帰る」『週刊朝日』1971年10月29日。
- ^ 『婦人生活』第22巻第1号、婦人生活社、1968年1月1日、244 - 247頁、NDLJP:2324724/126。
- ^ 『インパクション』第148号。p.66
- ^ 「(2)北朝鮮に帰る"狼青年"の叫び / 飯沢匡」『週刊現代』第13巻第50号、講談社、1971年11月、60 - 64頁。
- ^ 「チュチェの国 北朝鮮:10」(朝日新聞夕刊 1971年12月2日 宮田前特派員)(日本財団図書館)
- ^ スタジオ102 - NHKクロニクル
- ^ 『新しい朝鮮から : ルポルタージュ』太平出版社、1972年4月15日、98頁。NDLJP:12173190/48。
- ^ OgataToshiroの2023年2月23日のツイート- X(旧Twitter)
- ^ 東宝特撮映画全史 1983, p. 537, 「主要特撮作品配役リスト」
関連項目
編集外部リンク
編集- 永山一夫 - 日本映画データベース
- 永山一夫 - allcinema
- 永山一夫 - KINENOTE
- Kazuo Nagayama - IMDb
- 永山一夫 - テレビドラマデータベース