愛知機関区
愛知機関区(あいちきかんく)は、愛知県稲沢市下津町にある日本貨物鉄道(JR貨物)の機関区である。東海道本線の清洲駅 - 稲沢駅間に隣接する。JR貨物の電気機関車、ディーゼル機関車、貨車、内燃機関の検査修繕業務を行う。
愛知機関区 | |
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手前の建物が仕業庫、奥の建物が検修庫 | |
基本情報 | |
鉄道事業者 | 日本貨物鉄道 |
帰属組織 | 東海支社 |
所属略号 | 愛 |
車両基地概要 | |
敷地面積 | 100,810 m2 |
配置両数 | |
電気機関車 | 23両 |
内燃機関車 | 35両 |
合計 | 58両 |
備考 |
2024年(令和6年)3月現在のデータ[1] 敷地面積は有価証券報告書の値[2] |
歴史
編集- 1994年(平成6年)5月2日 - 稲沢機関区と稲沢貨車区を改組の上、車両配置区として愛知機関区が分離発足[3]。
- 1995年(平成7年)9月 - 紀勢本線紀伊佐野駅からの紙輸送終了により、同線での運用を鵜殿駅以北に短縮[4][5]。高山本線飛騨一ノ宮駅・上枝駅発着の貨物列車運行終了により、同線での運用を岐阜駅 - 坂祝駅間に短縮[6][7][8]。
- 1996年(平成8年)3月 - EF65形電気機関車が、高崎機関区・岡山機関区へ全機転出[9]。浜松地区でのDE10形ディーゼル機関車の運用を開始し、JR東海から運用を移管[10]。
- 1997年(平成9年)7月 - 静岡地区でのDE10形ディーゼル機関車の運用を開始し、JR東海から運用を移管[9]。
- 2007年(平成19年)3月 - 高山本線坂祝駅へのセメント輸送終了により、同線での運用を終了[8]。
- 2010年(平成22年)3月 - 高崎機関区・岡山機関区からEF64形電気機関車が転入し、JR貨物における同形式の集中配置区となる[11]。伯備線方面については、当区配置機を岡山機関区に常駐させて運用する体制となる[11]。
- 2013年(平成25年)3月 - 紀勢本線鵜殿駅からの紙輸送終了[12][13]により、同線での定期運用を終了。
- 2015年(平成27年)
- 2016年(平成28年) - DF200形ディーゼル機関車200番台の転入が始まる。
- 2018年(平成30年)
- 2月 - DF200形200番台の運用を開始[16]。
- 4月 - DD200形ディーゼル機関車901号機が転入[17]。翌年から量産機も配置。
- 2021年(令和3年)3月 - DD51形ディーゼル機関車の運用を終了[18]。
構内設備
編集所在地は愛知県稲沢市下津町字南カマである[19]。
敷地の中ほどには、有効長4両の検修庫が6線あり[20]、交番検査・台車検査・重要部検査が施工される[21]。西側より、貨車用の1・2番線、電気機関車・ディーゼル機関車を在姿状態で検査する3・4番線、リフティングジャッキを備えた5・6番線となっている[21]。
敷地北側には、3線を備える仕業庫があり[20]、電気機関車やディーゼル機関車の仕業検査を行っている[22]。敷地南側には、転削庫を2線備えている[23]。
稲沢派出は、敷地中ほどの検修庫の北東、稲沢線上り線の外側の用地(稲沢駅貨物取扱所[24]跡)に設置されている。重要部検査・全般検査の際に機関車から取り外されたディーゼルエンジンが機関区・車両所から搬入され、整備を行う。
主な業務は、自区所属の電気機関車については仕業検査・交番検査・台車検査(重要部検査)および臨時修繕を担当するほか、各種貨車や内燃機関の検修を行っている[15][19]。
所属車両の車体に記される略号
編集「愛」・・・愛知を意味する「愛」から構成される。
所属車両
編集電気機関車
編集- EF64形
- 1000番台23両(1020 - 1028・1033 - 1039・1042 - 1047・1049号機)が所属している。
- 中央本線、篠ノ井線、山陽本線、伯備線にて運用されている。
- 2010年3月13日のダイヤ改正以降、高崎機関区や岡山機関区に配置されていたEF64形を全機当区へ転属させ、JR貨物に在籍する全てのEF64形が当区に配置となっている[26]。
ディーゼル機関車
編集- 2024年3月のダイヤ改正後は岡山機関区に貸し出されており、当区での運用はない[25]。
- 過去には、日本車輌からの甲種輸送も担当していた。また、2019年(平成31年)3月のダイヤ改正以前は西浜松駅に常駐していた車両が日本車輌の甲種輸送を行っていたが、同月のダイヤ改正で西浜松駅での入換作業は担当しなくなり、日本車輌からの甲種輸送の際は、甲種輸送がある前日に当機関区がある稲沢駅から単機回送されるようになっていた。
- DF200形
- 200番台8両(201・205 - 207・216・220・222・223号機)が所属している。
- DD200形
- 900番台1両、0番台25両の計26両(901・1 - 25号機)が所属している。
- 入換作業と貨物輸送の双方で運用可能な形式であり、DE10形及びDD51形の後継機にあたる。
- 愛知機関区所属であるが、東北地区から九州地区まで幅広い運用区間を保有している。運用区間は以下の通り。
- 甲種輸送の牽引にも充当しており、従来のDE10形による運用を順次置き換えている。運用区間は以下の通り。
過去の所属車両
編集- DD51形
- 運用終了時点では、1000番台1両、800番台5両の計6両(1028・825・857・1801・1802・1804号機)が所属していた。
支区・派出
編集機関車のエンジンの検修を行う前述の稲沢派出の他、貨車の検修基地として、四日市駅構内に四日市支区を、名古屋貨物ターミナル駅構内に名古屋貨物ターミナル派出を、東港駅構内に東港派出を、それぞれ設置している[9][28]。四日市支区・東港派出の検修業務は名古屋臨海鉄道に委託されており、四日市支区には同社の事業所も設置されている[9][29]。
脚注
編集- ^ a b 『貨物時刻表』2024年3月ダイヤ改正版、鉄道貨物協会、2024年、p.221
- ^ 第35期有価証券報告書 35頁 (PDF) - 日本貨物鉄道
- ^ 『JR気動車客車編成表』'02年版、ジェー・アールアール、2002年、p.230、ISBN 4-88283-123-6
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』1995年11月号(No.139)p.29
- ^ 『トワイライトゾーン・マニュアル9』 ネコ・パブリッシング、2000年、p.56
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』1995年11月号(No.139)、弘済出版社、p.30
- ^ 渡利正彦「高山本線(岐阜 - 高山間)の貨物列車」『鉄道ピクトリアル』1996年9月号(No.626)、電気車研究会、pp.94-95
- ^ a b 岩成政和「高山本線全通88年通史」『鉄道ピクトリアル』2023年2月号(No.1008)、電気車研究会、pp.25-26
- ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』2002年12月号(No.725)、電気車研究会、pp.60-61
- ^ 『鉄道ピクトリアル』2000年12月号(No.694)、電気車研究会、pp.53-54
- ^ a b 『鉄道車両年鑑2010年版』(『鉄道ピクトリアル』2010年10月臨時増刊号(No.840))、電気車研究会、p.65
- ^ 2013年2月20日付朝日新聞三重版記事「紀勢貨物よ、さらば 唯一の定期便、JR運行廃止へ 製紙会社 コスト削減、船輸送に」
- ^ 『鉄道車両年鑑2013年版』(『鉄道ピクトリアル』2013年10月臨時増刊号(No.881))、電気車研究会、p.71
- ^ 『鉄道車両年鑑2015年版』(『鉄道ピクトリアル』2015年10月臨時増刊号(No.909))、電気車研究会、p.114
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.22
- ^ 『鉄道ファン』2018年8月号(No.688)、交友社、pp.92-95
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』2018年6月号(No.410)、交通新聞社、p.6
- ^ 2021年3月16日付交通新聞記事「JR貨物 DD51が定期運用から退く」
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.23
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.21
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.24
- ^ 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.29
- ^ 『鉄道ジャーナル』通巻598号、p.30
- ^ 停車場配線研究会 『新 停車場線路配線ハンドブック』 吉井書店、1995年、p.347
- ^ a b c 『レイルマガジン』No.456、ネコ・パブリッシング、2024年、pp.35-38・77-81
- ^ 0番台はJR東日本高崎車両センター所属の37号機のみ在籍し(2020年時点)、JR貨物所属機は残存しない
- ^ 『貨物時刻表』2024年3月ダイヤ改正版、鉄道貨物協会、2024年、p.233
- ^ 『鉄道ピクトリアル』2008年1月号(No.798)、電気車研究会、pp.28-30
- ^ 名古屋臨海鉄道公式サイト掲載『事業案内 - 受託事業』(2024年1月11日閲覧)
参考文献
編集- 鶴通孝「愛知機関区に注目」『鉄道ジャーナル』第598号、鉄道ジャーナル社、2016年8月、18 - 31頁。