大樹町
大樹町(たいきちょう)は、北海道十勝総合振興局南部にある町。帯広市の南約60kmに位置する[1]。
たいきちょう 大樹町 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 | 北海道地方 | ||||
都道府県 | 北海道(十勝総合振興局) | ||||
郡 | 広尾郡 | ||||
市町村コード | 01641-1 | ||||
法人番号 | 3000020016411 | ||||
面積 |
815.67km2 | ||||
総人口 |
5,277人 [編集] (住民基本台帳人口、2024年11月30日) | ||||
人口密度 | 6.47人/km2 | ||||
隣接自治体 | 河西郡中札内村、更別村、中川郡幕別町、豊頃町、広尾郡広尾町、日高郡新ひだか町、浦河郡浦河町 | ||||
町の木 | かしわ | ||||
町の花 | コスモス | ||||
町の鳥 | ひばり | ||||
大樹町役場 | |||||
町長 | 黒川豊 | ||||
所在地 |
〒089-2195 北海道広尾郡大樹町東本通33番地 北緯42度29分51秒 東経143度16分44秒 / 北緯42.49753度 東経143.27889度座標: 北緯42度29分51秒 東経143度16分44秒 / 北緯42.49753度 東経143.27889度 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
「宇宙のまちづくり」を標榜し、航空や宇宙分野での実験や飛行試験を積極的に誘致し、主に大樹町多目的航空公園でJAXAや大学などの研究機関が実験を行う。カントリーサインも滑走路を背景とした宇宙往還機らしきものとなっている。ミニバレー発祥の地。
地理
編集西部は日高山脈に由来する山岳地帯で日高山脈襟裳十勝国立公園に属しており、東部は平地で太平洋に接する。町内を流れる歴舟川は日高山脈の源流から太平洋まで大樹町1町だけを流れる河川で、環境庁(当時)の公共用水域水質測定で1987年から2000年まで6回日本一の清流に指定され、国土庁(当時)の「水の郷百選」にも認定された[2]。沿岸部にはいくつかの沼が点在し、十勝海岸湖沼群が、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に選定されている[3] 。
- 山:ヤオロマップ岳 (1794m)、ペテガリ岳 (1736m)、ルベツネ山(1727m)、ピリカヌプリ (1631m)、ソエマツ岳 (1625m)、神威岳 (1600m)、中ノ岳 (1519m)、ポンヤオロマップ岳 (1406m)、留取岳 (1350m)
- 河川:歴舟川、紋別川、当縁川、アイボシマ川
- 湖沼:生花苗沼(生花湖・オイカマナイトー)、ホロカヤントウ沼(ホロカヤントー)、キモントウ沼(キモントー)、キモントウ小沼
気候
編集太平洋に面しているものの、冬季は非常に寒冷で1月の平均気温は氷点下9度前後、連日氷点下20℃以下の冷え込みが続く。歴舟川ではしばしばダイヤモンドダストが見られる。厳冬期には短時間での気温の変動差が非常に大きい。最高気温極値は35.8℃(2015年8月5日、2023年8月26日)、最低気温極値は-29.8℃(2019年2月8日)である。なお、10分値の計測では2001年2月12日6時40分に-30.4℃を観測している[4]。
大樹町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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雨温図(説明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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大樹(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 9.0 (48.2) |
15.5 (59.9) |
17.0 (62.6) |
29.1 (84.4) |
32.7 (90.9) |
35.2 (95.4) |
34.9 (94.8) |
35.8 (96.4) |
33.4 (92.1) |
28.6 (83.5) |
21.5 (70.7) |
16.3 (61.3) |
35.8 (96.4) |
平均最高気温 °C (°F) | −1.8 (28.8) |
−1.0 (30.2) |
3.3 (37.9) |
10.1 (50.2) |
15.8 (60.4) |
18.3 (64.9) |
21.7 (71.1) |
23.3 (73.9) |
20.8 (69.4) |
15.4 (59.7) |
8.5 (47.3) |
1.0 (33.8) |
11.3 (52.3) |
日平均気温 °C (°F) | −8.8 (16.2) |
−7.8 (18) |
−2.2 (28) |
4.5 (40.1) |
9.9 (49.8) |
13.4 (56.1) |
17.3 (63.1) |
18.8 (65.8) |
15.7 (60.3) |
9.4 (48.9) |
2.7 (36.9) |
−5.3 (22.5) |
5.6 (42.1) |
平均最低気温 °C (°F) | −16.8 (1.8) |
−16.8 (1.8) |
−9.4 (15.1) |
−1.8 (28.8) |
3.8 (38.8) |
8.8 (47.8) |
13.6 (56.5) |
15.0 (59) |
10.9 (51.6) |
3.4 (38.1) |
−3.4 (25.9) |
−12.3 (9.9) |
−0.4 (31.3) |
最低気温記録 °C (°F) | −29.1 (−20.4) |
−29.8 (−21.6) |
−26.2 (−15.2) |
−16.0 (3.2) |
−5.2 (22.6) |
−1.0 (30.2) |
4.5 (40.1) |
6.2 (43.2) |
−1.1 (30) |
−6.6 (20.1) |
−17.5 (0.5) |
−28.1 (−18.6) |
−29.8 (−21.6) |
降水量 mm (inch) | 33.7 (1.327) |
26.9 (1.059) |
49.2 (1.937) |
71.2 (2.803) |
107.1 (4.217) |
109.0 (4.291) |
132.9 (5.232) |
166.2 (6.543) |
202.2 (7.961) |
128.5 (5.059) |
72.9 (2.87) |
46.3 (1.823) |
1,146 (45.118) |
降雪量 cm (inch) | 162 (63.8) |
139 (54.7) |
130 (51.2) |
44 (17.3) |
3 (1.2) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
25 (9.8) |
123 (48.4) |
627 (246.9) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 5.7 | 5.0 | 7.2 | 8.6 | 9.4 | 8.6 | 10.6 | 11.5 | 11.1 | 9.6 | 8.6 | 6.5 | 102.4 |
平均月間日照時間 | 162.6 | 157.9 | 187.2 | 177.6 | 174.8 | 137.9 | 116.1 | 122.7 | 136.2 | 163.0 | 154.8 | 154.0 | 1,844.8 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[5] |
隣接している自治体
編集人口
編集大樹町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 大樹町の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 大樹町
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
大樹町(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
町名の由来
編集アイヌ語の「タイキウシイ(tayki-us-i)」(ノミ・多い・ところ)から[6]。由来について1973年(昭和48年)に国鉄北海道総局が発行した『北海道 駅名の起源』では次のように紹介している[7]。
この町を貫流している日方川(引用注:歴舟川の別名)の河原は、むかしよく野宿した所であるが、どうしたわけか川原の砂の中にノミが多くいたのでこう名づけたといわれている。
また、アイヌの間では次のような伝説が伝わっている。以下は葛野辰次郎(葛野エカシ)によるものである[6]。
昔、十勝アイヌの村に盗賊団がやってきたとき、ひとりのおばあさんが、ノミの神様に助けて下さいとお祈りしたところ、ノミたちが盗賊達にたかって、盗賊団はみんな逃げ出してしまった。それ以来その村にはノミという名が付いた。
このほか、「大木が群生するところを意味する『タイキウシ』が由来」とするものもあるが、文法上誤りであり疑わしい。
歴史
編集開拓史
編集1883年(明治16年)に「大樹農業の先駆者」と呼ばれる依田勉三らが入植し開拓がはじまった[1]。
一方で江戸時代にはアイボシマ地区で砂金が発見されており、1635年(寛永11年)頃から砂金堀が始まり、やがて砂金堀師たちによって集落が形成された[2]。1900年以降になると砂金堀師たちの数は200人を超えゴールドラッシュとなった[2]。
年表
編集- 縄文時代より栄える。装飾、石器などが発見されている。
- 1630年(寛永6年) - 十勝神社の戸賀知明神社の創建。
- 1636年(寛永12年) - アイボシマ付近の採金がはじまる。
- 1822年(文政4年)- 松前藩領へ
- 1859年(安政6年) - トカチ陣屋が作られる。
- 1928年(昭和3年)10月1日 - 広尾郡広尾村(現広尾町)から大樹村、歴舟村、当縁村の3大字が分村、広尾郡大樹村成立。
- 1930年(昭和5年)10月10日 - 国鉄広尾線延伸、大樹駅開業。
- 1936年(昭和11年)9月30日 - 昭和天皇が村内を巡幸。北海道拓殖実習場、拓北集落に行幸[8]。
- 1949年(昭和24年)8月20日 - 大字当縁村の一部(上当縁、下当縁各地区)を以って、広尾郡忠類村が分村
- 1951年(昭和26年)4月1日 - 町制施行、大樹町
- 1955年(昭和30年)4月1日 - 十勝郡大津村の一部(大字当縁村の一部)を編入
- 1956年(昭和31年)- 町内の3大字を以下の各町・字に再編。
- 大樹村 → 東本通、南通、新通、北通、仲通、柏木町、双葉町、1条~3条通、萌和、下大樹、大樹、尾田、拓進、日方、振別、光地園、大全、幸徳、相川
- 歴舟村 → 東本通、西本通、松山町、1条~3条通、高校通、寿通、栄通、緑町、幸町、鏡町、暁町、浜大樹、美成、萌和、下大樹、大樹、芽武、拓進、旭浜、中島、日方、石坂、振別、開進、光地園、大全、相川
- 当縁村 → 浜大樹、美成、芽武、萌和、大樹、尾田、晩成、生花苗(太字は旧大津村の区域)
- 1980年(昭和55年)晩成温泉開湯。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 広尾線廃止。
- 1991年(平成3年) - カムイコタン公園キャンプ場オープン。
- 2019年(令和元年)5月4日 - 町内の実験場から打ち上げられた小型観測ロケット「MOMO(モモ)」3号機が、日本国内の民間単独開発ロケットとしては初めて宇宙空間に到達した。
- 2022年(令和4年)5月6日 - 大樹町役場新庁舎供用開始[9]。
経済
編集雪印乳業(現・雪印メグミルク)大樹工場が置かれている。なお、2000年の雪印集団食中毒事件はこの大樹工場で発生した。
日本政策投資銀行の試算によれば、新たなロケットの発射場が大樹町に整備された場合、設備投資や観光客の増加などで道内全体に年間267億円の経済効果が及ぶと試算される[10]。
立地企業
編集協同組合組織
編集- 大樹町農業協同組合(JA大樹町)
- 大樹漁業協同組合
- 南十勝森林組合
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)十勝南部支所・十勝南部家畜診療所
- 十勝農業協同組合連合会湧洞牧場
- 生活協同組合コープさっぽろたいき店
金融機関
編集- 帯広信用金庫大樹支店
郵便局
編集官公署
編集自衛隊
編集北海道の機関
編集独立行政法人
編集公共機関
編集警察
編集- 広尾警察署大樹駐在所
消防
編集- とかち広域消防事務組合大樹消防署
姉妹都市・提携都市
編集教育
編集- 高等学校
- 北海道大樹高等学校(道立)
- 中学校
- 大樹町立大樹中学校
- 小学校
- 大樹町立大樹小学校
交通
編集空港
編集鉄道
編集かつては広尾線が通っていたが、1987年(昭和62年)2月2日に廃止されている。町内には十勝東和駅、大樹駅、石坂駅が設置されていた。
バス
編集道路
編集PR活動
編集名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
編集文化財
編集- 大樹遺跡出土の遺物(北海道指定有形文化財)(大樹町図書館蔵)
- 十勝ホロカヤントー竪穴群(北海道指定史跡)
- 大樹町トーチカ[15]
観光
編集祭り
編集- 歴舟川清流鯉のぼり(4月最終日曜から5月5日)
- 歴舟川清流まつり(8月第1日曜日)
- 柏林公園まつり(9月第3日曜日)
- カムイコタン公園まつり(10月第1日曜日)
人物
編集出身有名人
編集- 市川茂樹(日本弁護士連合会副会長、北海道電力取締役)
- 十勝岩豊(大相撲力士、親方(年寄・湊川、同・二所ノ関))
- 大龍志郎(大相撲力士)
- 杉森輝大(スピードスケート選手、トリノ・バンクーバーオリンピック代表)
- 堀川桃香(スピードスケート選手、北京オリンピック代表)
ゆかりのある人物
編集寒冷地研究
編集2011年に東京都江東区にあるLIXIL住生活財団(住宅・建材産業に関する調査・研究や人材育成等の事業に対し助成・支援する公益財団法人。理事長・潮田洋一郎)により、町内の芽武地区にあった競走馬の牧場(旧「大樹ファーム」跡地)を利用して、次世代住宅の研究を大学などの団体と共同で進める研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」が設立された。大樹町は-30度にもなる寒冷地であり、2016年現在、6棟の寒冷地用実験住宅が敷地内に建てられている[16]。
2018年11月、施設内の実験住宅や牧場を継承するリノベーション建築をホテルへとコンバージョンする「MEMU EARTH HOTEL(メム アースホテル)」が誕生した[17]。
脚注
編集- ^ a b “大樹町の事例 十勝南部の大規模酪農・農業の拠点の町”. 一般社団法人北海道地域農業研究所. 2024年11月30日閲覧。
- ^ a b c 前田 拓弥. “大樹町”. 北海道教育大学. 2024年11月30日閲覧。
- ^ https://www.env.go.jp/nature/important_wetland/wetland/w040.html
- ^ 大樹 2001年2月12日(10分ごとの値)気象庁
- ^ “大樹 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月28日閲覧。
- ^ a b “アイヌ語地名リスト セッ~ツキガ P71-80”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年6月9日閲覧。
- ^ 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日。ASIN B000J9RBUY。
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、78頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ “広報たいき 2022年5月号”. 大樹町. 2024年8月26日閲覧。
- ^ 民間宇宙ロケット エンジンを緊急停止 宇宙空間に到達せず, (7月30日 20時47分)
- ^ https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/detail/index.php?id=4906 開局:生花簡易郵便局 日本郵便2021年2月19日
- ^ “日本の自治体と台湾の姉妹(友好)都市交流等一覧”. 日本台湾交流協会 (2016年11月2日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ “各営業所、案内所”. 十勝バス. 2018年6月11日閲覧。
- ^ “大樹町ふれあいバス”. 大樹町. 2018年6月11日閲覧。
- ^ “大樹町の文化財 大樹町トーチカ”. 大樹町. 2020年10月19日閲覧。
- ^ 実験住宅公益財団法人LIXIL住生活財団
- ^ “MEMU EARTH HOTEL/メムアースホテル 先進的な建築と十勝の無垢なる自然を原体験できる一棟貸しホテル”. Discover Japan. 2024年11月30日閲覧。