シンセサイザー
シンセサイザー(英語: synthesizer)は、一般的には主に電子工学的手法により楽音等を合成(英語: synthesize:シンセサイズ)する楽器「ミュージック・シンセサイザー」の総称。いろいろな音が作成・編集できる鍵盤楽器。電子楽器、音源と呼ばれることもある。
- 以降、記述の煩雑化を避けるため、正式名称「シンセサイザー」を適宜「シンセ」と略記する。
歴史
編集概歴
編集シンセサイザーの発明は、「ある時 誰かが 世界で初めて何かを発明し、その成果が後に世界中に広がった」という出来事ではない。100年以上にわたる電子楽器の歴史の中で、多くの人々が試行錯誤を繰り返し、時としてほぼ同じものがあちこちで再発明されながら、技術の蓄積と概念の洗練が進み、途中、戦争による停滞や技術者の世代交代を挟んで、1960年代以降マイクロ・エレクトロニクスと共に急速な発展を遂げて、現在の形になった。
最初に登場したのは19世紀半ばに登場したミュージック・テレグラフという発電機や電話を応用した機械で、次に有線音楽配信を狙ったテルハーモニウムが登場。20世紀初頭、真空管が発明されラジオやトーキーの実用化研究が本格化すると、ラジオ技術の一つであるヘテロダインを応用したテルミンや、トーキー技術 を応用したOptophonic pianoが登場した。遅くとも1920年代初頭には楽器用低周波オシレータが登場し、それをリボンコントローラや鍵盤で演奏するトラウトニウムやオンドマルトノが登場した。これらの楽器は後の改良の結果、現在ではシンセの祖先と見なされているが、登場当時は非常にシンプルでシンセと呼べる物ではなかった。
1930年代にはシンセサイザーの基本要素が出揃い、初期のシンセサイザー時代が開幕した。ただし当時のフィルターは、パッシブ回路が主流でその効果は緩やかなため (6dB/oct.)、1970年代アナログ・シンセのように強力な音作りの手段にはならず、むしろ他の補助的に使われる事が多かった。この時期に登場したミニモーグのような機能と外観を持つ楽器(コンサート・トラウトニウム、ミクスチュア・トラウトニウム)もその一例である。
ポリフォニック楽器の分野では、当初はトーンホイール方式や ピックアップ方式が有力で、特に倍音加算合成をトーンホイールで実現したハモンド・オルガン は一大勢力となり、この分野で40年以上勢力を維持した。電子楽器では「分周回路」と「フィルターによる減算合成」を組合せた新しい楽器が登場し、これ以降多くの電子オルガンが同方式をベースとした倍音加算合成を提供した。ただし当時のオルガンの多くが採用した全鍵発音方式は、当時の実装技術では規模が巨大化しがちなため、個々の音響合成回路はごくシンプルに抑えられ、音色表現能力は限定された。
そこで高度な表現力を要するリード演奏専用に、小型の電子鍵盤楽器が登場した。これは オルガンやピアノの鍵盤近くに設置して合奏する小型楽器で、その演奏スタイルは後に、電子オルガンのソロ鍵盤や、電子オルガン上に置くプリセット・シンセに発展した。
このほか同時期、1939年のニューヨーク万国博覧会でヴォコーダ(1928年通信用途で実験開始)や鍵盤演奏型のスピーチシンセサイザー(Voder)が一般公開された [1]。しかし同年勃発した第二次世界大戦により各国は戦時体制へ移行し、ヴォコーダは軍の暗号通信装置(SIGSALY)に利用され、アメリカの電子楽器開発者は爆撃誘導装置やレーダーの開発に駆り出され、ドイツの電子楽器研究拠点ハインリヒ・ヘルツ研究所では、職場のユダヤ人排斥に反対した教授が職を追われ、そうして世界の電子楽器開発は停止した。
1945年に戦争が終わると、ドイツの電子音楽スタジオが即座に活動を再開し、またドイツで実用化されたテープレコーダを使って音を切り貼りするミュージック・コンクレートがフランスに登場し、現代音楽という新しいキーワードの元、電子楽器が息吹を吹き返した。
1950年前後、軍事技術だったコンピュータが世界に広がると共に、コンピュータ音楽が登場した。当初は曲の自動演奏が試みられ、次に高い計算能力を生かして確率的作曲や音響合成に応用された。1957年マックス・マシューズのMUSIC-Nプログラムは、デジタル音源とソフトウェア音源の元祖と認識されており、後にその上でFM合成を含む多くの研究開発がなされた。同じ1957年には「シンセサイザー」という名を初めて使ったコンピュータ用音源「RCAマークIIサウンドシンセサイザー」も登場している。構成は現在のアナログ・シンセサイザーとほとんど同じで、出力される音は初期のアナログDTM音源のクオリティに到達していた。
1952-1958年、音楽家レイモンド・スコットが開発した「クラヴィヴォックス」は、鍵盤の他にR.A.Moog社のテルミンを流用したコントローラを装備し、後には電圧制御式シーケンサも追加された。後にモーグは、クラヴィヴォックスの回路や音が 60年代のモーグ・シンセサイザーとよく似ていたと語っている。
(以下要約中。詳細は各節参照)
黎明期 (1930年代以前)
編集テルミン | オンドマルトノ |
シンセサイザーを含む電子楽器の歴史は、およそ19世紀末まで遡る事ができる。 それ以前にも電磁気学的効果を応用した電気楽器がいくつか登場していたが、
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自由な音響合成を特徴とするシンセサイザーの祖先としては、19世紀末以降の下記を挙げるべきだろう。
1920年代には、エレクトロニクスの発達により、真空管式の電子楽器が登場した。
- 1917-20年頃 ロシア (ソ連) のレオン・テルミンが開発したテルミン
- 1928年 フランスのモーリス・マルトノが発表した鍵盤楽器オンド・マルトノ
- 1929年 ドイツのフリードリヒ・トラウトヴァインが開発したトラウトニウム
以上の3つは、しばしば一般向け解説書で「シンセサイザーの先祖」として言及され[2]、中でもテルミンは、アナログ・シンセサイザーのルーツにあたる最初期の電子楽器 とされる事が多い。[2]またトラウトニウムは、発明者の弟子オスカー・ザラが精力的な改良を行い、リボンコントローラ楽器としての本質を守りながら、後にモーグ・シンセサイザーと同様な機能や形に進化した。
一方日本では、1935年ヤマハの山下精一が「マグナオルガン」を発表している。これはドイツ留学経験のある山下がテルミン等の電子楽器にヒントを得て開発した、各種楽器音を再現可能な鍵盤楽器と伝えられているが、詳細は不明である。[3]
シンセサイザーの誕生と発展 (1930-1950年代)
編集減算合成と倍音加算合成
編集1930年代には、既に前述のシンプルな電子楽器が登場していたが、ピアノやオルガンに匹敵する本格的電子楽器の実用化は疑問視されていた。例えば1936年Miessnerは、フィルターを使う減算合成も、倍音を重ねる倍音加算合成も、電子回路では機構が複雑になり過ぎ実用化が難しいので、生楽器の発音機構を併用した電気楽器こそ実用的だとする説を発表した[4]。しかし減算合成は1936-1937年に相次いで実用化され、また倍音加算合成もパイプオルガンの再現目的で後に実用化された。
1936年、オスカー・ザラによる トラウトニウムの改良版 コンサート・トラウトニウム は、鐘の音を再現可能な(副倍音)加算合成と、フォルマント・フィルターによる音作りを併用した。この楽器は、[いつ?]パウル・ヒンデミットのトラウトニウムと弦楽の為の協奏曲 や、1940年リヒャルト・シュトラウスの日本の祝典に寄せる祝典曲 の1942年ドイツ・プレミア公演(鐘の音の再現)で使用された。
ポリフォニック化と電子オルガン
編集1937年、ドイツのハラルト・ボーデは、初期のキーアサイン方式による部分ポリフォニック・シンセサイザー「ワーボ・フォルマント・オーゲル」を開発、その後約50年間に渡って多数の発明と製品開発を継続して、モーグを始めとするアナログシンセサイザーの歴史に大きな影響を残した。[5]
1937年頃、アメリカの発明家でハモンド・オルガンの開発者として知られるローレンス・ハモンドは、全鍵発音式の減算合成ポリフォニック・シンセサイザー ノバコードを開発、1939年に発売開始した。「一台でオーケストラやバンド・サウンドに匹敵する音を出せる」という触れ込みの最も初期の電子楽器で、1960年代まで数多くの映画/ラジオ/テレビのサウンドトラック [6]に使用された。[7]
1940年代になると、他のメーカも同様な方式に基づく電子オルガンを開発し発売した(なお戦争のため発売が戦後にずれた機種も多い)。登場当時の電子オルガンは、電球のような形とサイズの真空管を数十〜百本単位で使った物量勝負の電子機器であり、真空管の特性上、その動作は必ずしも安定しているとはいえなかった。また各メーカが自社の電子オルガンのモデルにした楽器は、教会用パイプオルガン (アーレンオルガン)、シアターオルガン (Wurlitzer、エレクトーン)、ハーモニウム/リードオルガン等と、明らかに差異があったが、総称的にすべて 電子オルガン と呼ばれた。
単音電子鍵盤楽器
編集また電子オルガンとは別に、細かな音作りや表現が可能な小型の単音電子鍵盤楽器の系統も登場した。
- 1940年 Hammond Solovox
- 1941年 Georges Jenny の Ondioline
- 1947年 Constant Martin の Clavioline
- 1952年 Raymond Scott の Clavivox
1952年、アメリカの作曲家レイモンド・スコットが開発したシンセサイザーClavivoxは、鍵盤演奏式でオーディオ・エンベロープやビブラートを装備していた他、若きロバート・モーグが製造したテルミンをコントローラに採用し、3オクターヴにわたるポルタメントを実現していた。後期のモデルでは電圧制御式シーケンサ等が追加され、音程や音色の制御信号(CV)を映画フィルム上に光学的に記録・再生できた。後にロバート・モーグは、先行したClavivoxの回路や音が、60年代モーグ・シンセサイザーと類似していたと語った。[8]
これらの楽器は、人気オルガン奏者がソロフレーズに活用して一時代を築いたり、電子音楽スタジオで現代音楽の作品や映画のサウンドトラック作成に使用され、後に登場したトランジスタ式シンセサイザーを受け入れる音楽的土壌を育んだ。
日本では1960年前後、同様な単音楽器が電子オルガンのプロトタイプ として開発・発売された。
「電子オルガンに載せて使うソロ楽器」というコンセプトは、アープやモーグのプリセット・シンセを経て、日本の初期シンセ製品にも引き継がれた。
ヴォコーダーの誕生
編集1928年、ベル研究所のホーマー・ダッドリーは通信回線多重化のための音声符号化/同復調法の研究を行い、バンドパス・フィルター方式のヴォコーダーの実験を開始した。この技術は1935年特許出願され、1939年米国特許(US#2,151,091)[10]が成立、同年開催のニューヨーク・ワールドフェアで一般公開された。また同技術を応用した鍵盤操作式スピーチシンセサイザー VODER (1938年米国特許(US#2,121,142)) [11]も同時公開された。ただしこの時点では音楽的利用を図った形跡は見られない。そして戦争開始とともに軍事通信への利用が最優先になり、SIGSALY (1942)をはじめとする多くの軍事用音声暗号化システムが同技術を採用した。
なお同時期には軍事技術を民生転用して、音楽用ヴォコーダーとよく似た効果が得られる別の音楽用装置が誕生している。1939年アルヴィノ・レイが開発した Sonovox は、電子楽器というより1970年代のトーキング・モジュレーター (Talk box) を連想させる「任意の音を喋らせる」装置である。この装置は軍事用喉マイク を 喉スピーカに転用し、喉に当てて口を動かすと、あたかも効果音や楽器音が喋っているかのような効果が得られた。Sonovoxは1940年のケイ・カイザー楽団の映画や、アニメ映画の動物の声、ラジオ局のジングル等に使用されており、名称はともかくその効果と音は一般に広く認識されている。
コンピュータ音楽の誕生 (1950年代)
編集1950年、オーストラリア最初のコンピュータCSIR Mk1上で、世界最初のコンピュータ音楽が演奏された。
ソフトウェア音源とデジタル音源の誕生
編集1957年、ベル研究所のマックス・マシューズはMUSICと呼ばれる、デジタル信号の生成・処理プログラムを開発した。これはデジタルシンセサイザーやソフトウェア音源の元祖と言われており、そのほか潜在的にデジタル・サンプラーの元祖でもある可能性が高い。MUSICはその後進化を重ねてMUSIC Vで一旦完成し、マサチューセッツ工科大のバリー・ベゥコーに引き継がれて、現在オープンソースのCsound、CMusic、RTcmixの原型となった。1980年代IRCAMで開発された有名なグラフィカル音楽言語Max (1990年発売)は、マックス・マシューズの名前にちなんでいる。
シンセサイザーの命名
編集1956年頃 (1955年説もある[2])、RCAプリンストン研究所の ハリー・オルソンとハーバード・ベラーが「RCA マークII サウンド・シンセサイザー」(RCA Mark II Sound Synthesizer) という真空管製でパンチテープ制御式のコンピュータ用音源を開発し、1957年コロンビア大学に同機は設置された。歴史上「シンセサイザー」(合成)という単語が用いられた初めての音響合成機器とされており、構成図 によれば 現在のアナログシンセサイザーの基本要素をほぼ備え、録音 によれば 初期DTM音源と同程度の演奏が可能だった事を確認できる[12]。なお同機は、確率論に基づく音楽の数学的解析と音楽生成手法の研究のために開発された音源であり、音響合成の研究や楽器の確立は特に目的としていなかった。
このほか、コンピュータ連携の有無は不明だが、1955年頃ドイツの総合電機メーカー シーメンス が、英語で「Siemens synthesizer」と呼ばれる電子音響合成システム(ドイツ語名不詳) を開発して同社Siemens Studioに設置している。これは同社が当時制作中だったシーメンスグループの記録映画に、飛びぬけた音楽をつけようと若手作曲家Josef Anton Riedlに依頼をし、この作曲家に同社研究所が協力する形で開発された。システムの構成は、戦争中の通信用ヴォコーダを改造した音楽用ヴォコーダを中心に、その他の音源ソース(パルス波, ノイズ)、フィルター、テープレコーダ、ミキサー等からなり、RCAの装置と同様にパンチテープによる自動制御も装備していた。システムは同社Siemens Studioに設置されサウンドトラック制作に使用された後、1960-1963年には同機の有効活用を目的に多数の現代作曲家が招聘された。しかしこの文化活動は多額の費用がかかったため許容範囲を逸脱し、1963年同スタジオはUlm School of Design(独: Ulmer Hochschule fur Gestaltung)に譲渡され、そこで数年間の利用の後、閉鎖された[13][14]。
Buchla 100 series |
モーグ博士とモーグ・シンセ |
モジュラー・シンセ登場 (1960年代-)
編集1959-60年、ハラルト・ボーデはモジュラー・シンセサイザー と サウンド・プロセッサーを開発し、そのコンセプトをAES論文で発表した。また1961年には、トランジスター技術を使ったコンパクトで自己充足的なモジュラー・シンセサイザーを AES論文で提案し[15]、そのアイデアはブックラ、モーグといった初期のシンセビルダーにより相次いで実現された。
1963年、アメリカのドン・ブックラは、おそらく世界初となる現代的なモジュラー・シンセサイザー Buchla 100 series を開発した。
1964年、アメリカのロバート・モーグ博士は、テルミンのトランジスター化とRCA・マークIIの改良に関する研究を通じて、楽器としての使用に足るシンセサイザーの試作を行い、モーグシンセサイザーの仕様を確立した[2]。
1965年同博士による「モーグ・シンセサイザー」は、CM関係者のアルウィン・ニコラやレコード・エンジニアのウォルター・カルロスに納入され、1967年には製品版モジュラー・シンセサイザー(Moog modular synthersize I,II,III)を発売している。
なお同時期アメリカではアープの前身が電子楽器の特許出願を開始し、ロンドンでは後のエレクトロニック・ミュージック・スタジオ創設者が、電子音楽スタジオをコンピュータ制御する計画を開始した。
アナログ・シンセの普及と発達
編集1968年、ウォルター・カルロスによる「スウィッチト・オン・バッハ (Switched-On Bach)」は、アメリカ・コロムビア・レコードよりリリースされ、全世界で累計100万枚を売り上げるヒット・アルバムとなった。さらにエマーソン・レイク・アンド・パーマーのキース・エマーソンを初め、1970年代には多くのロック系ミュージシャンに使用され、さらに冨田勲の「月の光」「惑星」などの作品が世界的なヒットをすることによって、一般的にも認知される楽器となった。
1970年前後には、「EMS」、「アープ」、「イー・ミュー (E-mu Systems)」といった比較的新しいメーカーも参入した。
日本では 1973年3月 コルグがミニコルグ700を発売、同7月 ローランドがSH-1000 を発売、同時期にヒルウッドもBlue Commets '73を発売、翌1974年にはヤマハがSY-1を発売し、70年代を代表する日本のシンセサイザー・メーカが勢ぞろいした[16][17]。
シーケンシャル・サーキット Prophet-5 (1977) |
なお1970年代までのシンセサイザーは、モノフォニック・シンセと呼ばれる1音しか音の出ないタイプが主流だったが、70年代中期にヤマハやオーバーハイムがポリフォニックシンセサイザーを発売し、さらに70年代後期にはシーケンシャル・サーキットが音色メモリーを搭載したProphet-5を発売、市販製品の制御部にもデジタル技術が浸透し始めた。 デジタル音源の普及と共に一時期廃れていたが、2000年代に入ってアナログシンセが見直され、各社から往年の名機の復刻や雑誌の特集でも取り上げられるなど、一部で復活の機運が高まりつつある[18][19][要ページ番号]。
ヴォコーダの音楽利用
編集前述のようにヴォコーダは 1928年最初の実験が行われ、1939年一般公開された。同時公開で応用技術による鍵盤式スピーチ・シンセサイザーも登場したが、当時はどちらも音楽利用された形跡は見当たらず、その後ヴォコーダは軍事暗号通信に広く利用された。なお同時期にはSonovoxが安価な喉スピーカで「喋る楽器」を実現して人気を博し、1960年代のトーキング・モジュレータに繋がる系譜を切り開いた。
1955年シーメンスが作曲家Josef Anton Riedlと共に開発した シーメンス・シンセサイザーは、通信用ヴォコーダを改造した音楽用ヴォコーダーを中心に構成されたと伝えられており、実物も現存しているがその詳細は不明である。[13][14]
1969年、アメリカのブルース・ハークは最初の音楽用ヴォコーダ Farad を自作し、自身のアルバムthe Electronic Record for the Children (1969)で使用した。そしてFaradはたちまち追随者を生み出した。
1970年ウェンディ・カルロスとロバート・モーグはFaradにインスパイアされた10バンドのvocoder (元の名は spectrum encoder-decoder)を開発した。当初は発音を区切らないと声が不明瞭だったが、後にシビランス・コントローラ (Sibilance等の発音の高域ノイズをHPFで取り出し直接出力して、発音を明瞭化する機構) を追加し、通信用ヴォコーダとは別の「音楽用ヴォコーダ」が確立した。
以降各社からヴォコーダが相次いで登場し、70年代-80年代前半に最初のヴォコーダ・ブームが到来し、2000年代にはバーチャル・アナログ技術でコンパクト化されたヴォコーダが2度目のブームを巻き起こしている。
シンセサイザー・コントローラ
編集この節の加筆が望まれています。 |
ギター・シンセ |
エレクトロニック・ドラム |
ウィンド・シンセ |
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その他 |
デジタル楽器登場 (1970年代-)
編集前述のようにデジタル音源は1957年Max MathewsのMUSIC登場以降、主に高価な大型コンピュータ上で研究が進められた。一方、同時期に誕生したマイクロ・エレクトロニクス技術は、1960年代の宇宙開発/軍需ニーズを背景に急速な発展を遂げ、1970年前後にはLSI技術の民生利用が本格化し、その中からマイクロプロセッサが誕生した。こうして1970年代には、大型コンピュータを専用ハードに置き換えた初期のデジタルシンセサイザーが登場し、一足早くデジタル音源時代が開幕した。
- 1969年頃、EMSの 電子音楽スタジオ用コンピュータ制御システム EMS Musys III上で、世界初のサンプリング楽器が実現された。
- 人工知能の父マービン・ミンスキー教授がエドワード・フレドキンと開発した、デジタル技術でメロディと音響を自動生成するエレクトロニクス・ガジェット。
- 1973年、ダートマス大で「ダートマス・デジタル・シンセサイザ」開発。
- 当初は処理に大型コンピュータを必要としたが、1975年専用プロセッサ(ABLEコンピュータ)が開発され、それと本体を組み合わせたシンクラビアが遅くとも1977年には発売された。
- 最初のサンプリングシンセ製品(ミニコンDEC PDP-8使用)。発音は単音のみで、後にARP 2600と連携可能になった。1979年スティービー・ワンダーがサウンドトラックに使用
- 1976年頃、AT&Tベル研究所でデジタルシンセサイザー試作。
- 初期のソフトウェア実験に基づいて試作された「最初の真のデジタル・アディティブ・シンセサイザー」。[22]1980年Crumar GDS(General Development System)、1981年DKI Synergyとして商用化
- (合成方式: FM合成、倍音加算、サンプリング、分析/再合成。1985年Direct to Disk(DAW機能)を追加[23])
- (合成方式: ウェーブテーブル・シンセシス)
- 前者はThomas Dolbyの使用で有名、後者はWave 2.0 (1981年)の前身。
- 1979年、CASIOが世界初のVLSI化された電子楽器カシオ VL-1を発売。
- 1982年、E-muシステムズ社がイーミュレータを発売。(音源方式: サンプリング)
- 1984年、Kurzweil Music Systemが K-250 synthesizerを発売。
デジタル楽器の普及 (1980年代)
編集他方、国内楽器業界は 有名なデジタルオルガン特許係争 [26]の影響もあり、デジタル音源開発への取り組み全般が滞りがちだった。そのような中、ヤマハは早くからデジタル音源開発に取り組み、また積極的な訴訟対策を行って[27]、1977年同社初のデジタル系となるPASS音源を発売、更にスタンフォード大学からFM音源のライセンスを取得して万全を期していた。また電卓戦争の覇者カシオは、1979年VLSI技術を使った小型電子楽器やホーム・キーボードを発売し、デジタル楽器の低価格化競争の先鞭を付けた。
1980年、ヤマハはFMアルゴリズムを使った画期的なデジタルキーボード GS1を発売し、1983年には普及価格のDX7($1999)発売して、3年間に20万台と世界的ベストセラーとなり一大デジタル旋風を巻き起こした。FM音源は周波数変調を用い複雑な倍音を持った金属的な響きを特徴とし、多くのミュージシャンが積極活用した。更に1985年にDX21($795)、DX100($455)とDXシリーズを拡充した。
1980年代中盤には、それ以外のデジタルシンセサイザー や サンプラー も普及価格で登場し、オールインワンのワークステーション機種も登場して、一般ユーザ・レベルのデジタル音源時代が開始された。他方、1980年代初期に活躍したハイエンド・デジタル製品はその優位性を失い、徐々に事業を停止して独自技術の売却や技術移転をしたり、あるいは思い切った業態変更を余儀なくされた。
MIDI規格誕生 (1981-1983)
編集それまでのシンセサイザーは、メーカー毎に独自の制御方式を採用していたので、シンセサイザーの相互接続には大きな壁があった。MIDIは、異なるメーカー間であっても、複数の電子楽器を連動し演奏・操作可能にする事を目的として、1981年初春、Sequential Circuits/Oberheim/Rolandの3社で規格策定を開始した。1981年秋には他の日本メーカも参加して規格策定を進め、1982年MIDI基本仕様(ドラフト)が登場、初期製品で規格を実地検証した後、1983年「MIDI1.0詳細仕様」が正式に制定された。[28][29]
デジタル楽器の発達 (1990年代)
編集1990年代に入ると、デジタル技術の発達により実際の楽器の音色をサンプリングしたPCM音源が一般的となり、昔ながらの音を合成する楽器というニュアンスは薄れていった。それでもこの時期にもコルグやヤマハなどから物理モデル音源といった新たな音源方式を採用したシンセサイザーも発売されている。
1995年、Clavia DMIがDSPによるバーチャルアナログ・シンセNord Leadを発売すると、高価で不安定なヴィンテージ・シンセに代わる新しい楽器として注目を集め、各メーカも同様な製品を発売し始めた。
ソフトウェア音源の普及 (1990年代-)
編集ソフトウェア音源は前述のように1957年MUSICに始まり、その後継システム上で研究開発が続けられ、1970年代末デジタル音楽ワークステーションの形でポピュラー音楽製作現場に入り込んだ。1980年代末から1990年代初頭にはDSP搭載の研究用ワークステーション(IRCAMカードを搭載したNeXT,SGI Indigo等)やDAW系システム(digidesign製品等)で進化を続けた。そして1990年代前半、一般のパソコン上のソフトウェア音源利用が一般化し始めた。1990年代半ばにはDTM音源(Reality, VSC, Timidi)や各種シミュレーション音源(Rubberduck, ReBirth、Juno)が実用され、またDAW用プラグイン規格(VST規格, Direct Music(DXi)等)も登場した。
そして2000年代以降、高性能化したパーソナルコンピュータ上でDAW環境が安価に安定して利用可能になると、それまであまりコンピュータに手を出さなかった平均的な音楽製作現場でも、DAW上で動作するソフトウェア楽器を徐々に使用するようになった。なおソフトウェア・シンセサイザーとは、基本的にこれまでの各方式のシンセサイザーをコンピュータ上に再現したもので、新しい音源方式ではない。ソフトウェア・シンセサイザーではコンピュータの演算能力と記憶容量を利用し利便性の面が拡張されている事が多く、使い勝手の向上をもたらしている。
現在ではコンピュータ上に多くの音源方式がシミュレートされ、手軽に多くのタイプの音源方式にふれられる事から、一時下火となっていたアナログシンセのような、音を合成して音色を作成するような音作りにも目が向けられるようになっている。
実装方式の分類
編集名称 | 概要 |
---|---|
トーンホイール音源 | 各種の回転体 (発電機や金属円盤、光学ディスク等) で波形を生成する方式の音源。
音色調整には、オルガンの伝統に従って 倍音加算合成が使用される。電子楽器の黎明期〜電子オルガン実用化前後まで有力だった方式で、ハモンドオルガンは本方式の特徴を生かして大きな商業的成功を収めた。 |
アナログ音源 | アナログ信号処理技術で実装された音源。
音作りは減算合成や加算合成で代表される。アナログシンセの名機ではこの他、FM合成 / パルス幅変調(PWM) / リング変調(RM)といった各種の変調合成方式やオシレータ・シンクも音作りに活用されている。 |
ハイブリッド音源 | 合成方式や実装方式その他に複数を併用した音源。実装方式のハイブリッドとしては、デジタル生成波形を、アナログ信号処理するタイプのハイブリッド・シンセサイザーがよく知られている。なお合成方式のハイブリッドは、メーカー独自の方式として独自呼称で呼ばれる事が多い。 |
デジタル音源 | デジタル信号処理技術(DSP技術)で実装された音源。 DSP技術の実装方法には、ディスクリート回路/カスタムLSI/DSPチップ/CPU等があり、専用ハードにはそれらを併用する物も多く、明確な区別は難しい。またCPU全般およびDSPチップの大半では、処理を入れ替え可能なプログラムで制御しており、これらはソフトウェア音源にも分類される。 |
ソフトウェア音源 | 音作りをソフトウェアで行うデジタル音源。 ソフトウェアには、DSPチップ用とCPU用がある。実行プラットフォームには、専用ハード/DAW用拡張ハード/DAWソフトウェア/汎用PC 等がある。 |
チップ音源 | 初期のパソコン/アミューズメント機器/携帯電子機器 等に搭載された、1チップの簡易音源 [注 1]。 |
シンセサイズ方式の分類
編集加算合成、減算合成、・変調合成や、サンプリング音源、またはそれらの複合型など多数の方式が存在している。 アナログシンセサイザーの時代は減算合成が主流だったが、その後、デジタル技術の発展により、サンプリングしたデータを元に音を構築するPCM音源が主流となった。
名称
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概要 | |||
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減算合成 | 原波形の周波数スペクトルをフィルターで操作して音色合成する方式。 アナログシンセサイザーや、電子オルガンの多く、あるいはそれ以前の電子楽器の時代から多用されており、最新のデジタル音源/サンプリング音源/ソフトウェア音源でもこれを併用する事が多い。 | |||
減算型アナログ・シンセサイザー | 減算合成方式をアナログ音源技術で実現したシンセサイザーの事。しばしば「アナログ・シンセサイザー」と呼ばれ、下記の処理フローを暗黙の共通認識としている事が多い。
なおデジタルシンセサイザーでも、上記と同様な処理 (もしくは上記を連想させる操作インタフェース) を提供する製品がある。特にヴァーチャルアナログ音源では、回路特性や操作性も含めて上記処理のシミュレーションを提供している。 | |||
加算合成 | 複数の波形を重ねて音色を合成する方式。 | |||
倍音加算合成 | 倍音(整数次高調波)相当の正弦波を使った加算合成。 | |||
変調合成 | 各種の変調方式を応用した音響合成方式。 例えばFMシンセシスは周波数変調(FM)、PDシンセシスは位相変調(PM) の応用であり、両者を合わせ位相角変調と総称される。 | |||
FMシンセシス | 正弦波を別の正弦波で周波数変調し、倍音を制御する方式。 | |||
RCM音源 | PCM音源(AWM2) と フィルター付きFM音源(AFM) の 複合音源 (メーカ独自呼称)。 PCM側波形でFM側オペレータを変調できるのが特徴。 | |||
PDシンセシス | 任意波形の読出し速度を波形周期内で変化させ(位相変調)、倍音を変化させる方式 (メーカ独自呼称)。実装方式はFM合成と類似性があり、また得られる音はオシレータ・シンクと一部共通点を持つ。 | |||
サンプラー、 サンプリング音源/PCM音源 |
サンプリングした波形を基本音色として利用する方式。 | |||
ウェーブテーブル・シンセシス (Wavetable synthesis) |
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ヴェクター・シンセシス | ||||
グラニュラー・シンセシス (Granular synthesis) |
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LA音源 | LA音源の"LA"とは Linear Arithmetic(線形演算式)の略(メーカ独自呼称) [注 2]。ごく短いPCMサンプル音源と減算合成音源のデジタル・ハイブリッドで、後に登場したPCM音源の機能限定先行版に相当する。 | |||
モデリング合成 | ||||
物理モデル音源 (Physical modelling synthesis) |
楽器の発音機構や共鳴機構の物理モデルをDSP技術でシミュレートする方式。 | |||
Karplus-Strong algorithm | 短いノイズを高速でディレイさせて弦楽器のような音色を生成する。 | |||
Waveguide synthesis | ||||
Formant synthesis | ||||
バーチャルアナログ音源 | アナログシンセサイザーをDSP技術でシミュレートする方式。生楽器の再現を目的とした物理音源とは区別される。 | |||
クローンホイール | Hammond B3に代表されるトーンホイール式オルガンをシミュレートした音源。広義には倍音加算型音源のシミュレーションとも言える。 |
デジタル信号処理技術 (DSP)
編集フーリエ変換 | |
短時間フーリエ変換 | |
コンボリューション(畳み込み) | レスポンス特性のエミュレーション (サンプリング・リバーブ、エフェクター・エミュレーション等) に活用される。音源技術としては、RCM音源、TASCAM GigaStudio、Allen Quantum organ等がコンボリューション技術の利用を強調している。 |
演奏方式による分類
編集当初は特殊な電子装置やキーボード (楽器)の一種として分類されていたが、その後、ギター型や笛型、打楽器型のコントローラーを備えたシンセサイザーが登場した。さらに演奏用のインターフェイスを分離したシンセサイザーモジュールと呼ばれる機材も登場している。
演奏情報入力方式 | 概要 |
---|---|
鍵盤 | ピアノやオルガンと同様に鍵盤を使う方式。電子楽器の黎明期から採用されている。 例: テルハーモニウム(1897-1906)、オンド・マルトノ(第4世代,1932)、ハモンド・ノヴァコード(1937)、クラヴィヴォックス(1962)、モーグ・シンセサイザー(1964)等) |
ギター | ギター音で間接的にシンセサイザーをコントロールしたり(狭義)、ギター音を直接加工して通常のシンセサイザーや他の楽器の音をシミュレートする方式(広義)。
1970年、Innovex Condor GSM がギターシンセ製品として初めてリリースされた。 |
ドラムス (Electronic drum) |
シモンズ(Simmons)の製品などが有名。この他過去にはモーグもパーカッション・コントローラを発売していた。 |
ウインドシンセサイザー | 管楽器式のインターフェイス。 |
おもな機種、型番
編集日本のメーカー
編集メーカー | 代表的な機種 [30] |
---|---|
アカイ | AX80、AX60、AX73、VX90(アナログ/ポリフォニック)、VX600(アナログ/ウィンドシンセ接続可能)、MINIAK(ヴァーチャルアナログ/ヴォコーダ内蔵)[31] |
AMDEK [注 4] (Roland DG) |
AMDEK: COMPU MUSIC CMU-800(PC用アナログシンセI/F、簡易音源)、 Percussion Synthesizer PCK-100(シンセドラム、組立キット)、Hand Clapper HCK-100(ハンドクラップ、組立キット) |
WAVE KIT [注 5] | Micro Wave Synthesizer SA12、SA-13 [32](アナログ/モノフォニック、自作キット) Micro Wave Guitar Synthesizer(ギターシンセ)、Micro Wave Surf Synthesizer(環境音発生器)[注 6] |
東洋楽器 | ULT-SOUND DS-4(シンセドラム) |
ACE TONE (エース電子工業), |
ACE TONE: Multistrings SY-5 [注 9](アナログ/アンサンブル)、
SH-3 [注 10]、AP-100、SY 100 [注 11]、
PS-1000 [注 12](アナログ/モノフォニック)、 |
カシオ | CZ-101、CZ-1000、CZ-230s、CZ-3000、CZ-2000S、CZ-5000、CZ-1(PD音源)、XW-G1、XW-P1 FZ-1、FZ-10M(サンプリング)、HZ-600(SD音源)、VZ-1、VZ-10M、VZ-8M(iPD音源) |
学研[33] | テルミンmini [34]、テルミンPremium、SX-150 [35] |
コルグ[36] | miniKORG 700 [注 3]、miniKORG 700S、770(アナログ/モノフォニック)、MaxiKORG 800DV(アナログ/デュオ)、MS-10、MS-20、MS-50(アナログ/パッチ)、900PS、M-500(SP)、Σ(アナログ/プリセット)、 PS-3100、PS-3300、PS-3200、Δ、λ(アナログ/全音ポリフォニック)、MONO/POLY、PolySix、Poly-61、Poly-800、Trident、Trident mkII(アナログ/ポリフォニック)、DW-6000、DW-8000(DWGS音源)、DSS-1、DSM-1(サンプリング)、DS-8、707(FM)、 |
Seekers [注 15] | SMS1000 [注 16](開発停止) |
セイコー | DS-101、DS-202、DS-310 [注 17]、DS-250 [注 18](デジタル加算型/ポリフォニック) |
TAMA (星野楽器) [37] |
DS200 Snyper (シンセドラム) |
Technics (松下) |
SY-1010(アナログ/モノフォニック)[38]、SX-WSA1 (サンプル+物理モデル) [39] |
テスコ カワイ |
TEISCO: S60P、S100P(アナログ/プリセット)、S60F、S110F(アナログ/モノフォニック)、SX-400(アナログ/ポリフォニック) TEISCO/KAWAI: S100F(アナログ/モノフォニック)、SX-210、SX-240(アナログ/ポリフォニック) |
パール [40] | ポリセンサー PK-801、PK-701(DWS-II/ポリフォニック)[注 19] Syncussion SY-1、SC-2(アナログ/シンセドラム)、Syncussion-X SC-20、SC40(ハイブリッド/シンセドラム) |
PAX ELECTRONICA[注 20] | Micro PAX [41]、SYGNUS-1、SYGNUS-8 [注 21](アナログ/モノフォニック)、SYGNUS-4(デジタルシーケンサ) |
I.G.S. BIAS (石橋楽器) |
BS-1、BS-2(シンセドラム)、CLAPPY(ハンドクラップ) BS-1とBS-2はドラムのフープに取り付けてドラムの振動を拾って電気信号で変換して音を出すタイプのシンセドラムで、高橋幸宏がYMO時代に使用していた。BS-2は高橋のオーダーでBS-1の音色にホワイト・ノイズを追加したモデルである。 |
ヒルウッド, ファーストマン [注 22], |
Hillwood: Blue Comets 73 [注 3]、SY-1800(アナログMMSS方式/モノフォニック)、SY-2100(アナログ/デュオ)、SY-2500(アナログ/アンサンブル)、Basky、BaskyII(ベースシンセ) FIRSTMAN: SQ-01(音源付きシーケンサ)、SQ-10(シーケンサ)、FS-10C(プログラマブル音源/モノフォニック)、FS-4V、PS-86(アナログ/ポリフォニック)、BS-999 (ベースシンセ)、Synpuls SD-1(シンセドラム) |
ヤマハ[43] | SY-1、SY-2 [30]、CS01、CS-5、CS-10、CS-15、CS-20、CS-20M、CS-30、CS-30L(アナログ/モノフォニック)、CS-40M(アナログ/デュオ)、 GX-1、CS-80、CS-70M、CS-60、CS-50(アナログ/ポリフォニック)、AN1x(アナログ・フィジカル・モデリング)、 |
REON [注 24] | DRIFT BOX-S(アナログ/モノフォニック)、
リズムシンセサイザー、ヴォコーダー、シーケンサー、エフェクト(開発中)、 |
Lo-D(日立)[注 25] | Memory Synthesizer HMS-30[注 26](アナログ/モノフォニック、シーケンサ内蔵) |
ローランド | SH-1000 [注 3]、SH-2000、SH-3(A)、SH-5、SH-1、SH-09、SH-2、Promars(アナログ/モノフォニック)、SH-7(アナログ/デュオ)、System 100、System 100M、System 700(アナログ/モジュラ)、 Jupiter-4/8/6、JUNO-6/60/106(S)、JX-3P/8P/10、αJUNO、αJUNO2(アナログ/ポリフォニック)、 |
海外のメーカー
編集メーカー | 代表的な機種 |
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アクセス | Virus A、Virus B /Classic/Indigo、Virus C /Indigo II、Virus TI /Polar、Virus TI2/Polar/Snow |
Alesis | Quadra Synth、QS6/QS6.1、QS7/QS8、QS6.2/QS8.2、A6 Andromeda、ion、micron |
アープ | ARP 2500、ARP 2600、ARP Odyssey、Quadra、Omni、Axxe |
クラビア | Nord Lead |
DOEPFER | A-100BS/2、MS-404 |
DSI | Prophet'08、Evolver、Poly Evolver |
EDP | Wasp、Gnat、Spider |
EMS | VCS3、Synthi A、AKS |
Kurzweil | 250(K250)、K1000、K1200、K2000、K2000VP、K2VX、K2500/K2500X/K2500AES、K2600/K2600X、K2661 |
モーグ | MiniMoog、Polymoog、Moog IIIc、TheSource、PRODIGY、MemoryMoog、 |
Oberheim | 8VOICE、OB-X、OB-8、OB-1、Expander、Matrix12、Matrix6、Matrix1000、OB-MX |
シーケンシャル・サーキット | プロフェット5、Prophet-10、Prophet-T8、ProphetVS、Prophet600、sixtrack、MultiTrack |
Waldorf | Pulse、The Wave、Microwave、Microwave II、Microwave XT / XTk、Q、Q+、Micro Q、Rack Attack、Blofeld、 |
E-mu | Modular Systems、Audity |
CHROMA | RHODESクローマ、クローマPolaris、クローマPolarisII |
PPG | WAVE2.2、WAVE2.3 |
ensoniq | ESQ-1、ESQ-m、SQ-80、VFX、TS-10 |
Novation | Xio 25、Xio 49、X-Station |
teenage engineering | OP-1, OP-Z, PO-14, PO-16, PO-20, PO-28, PO-32 |
主なアーティスト
編集ここではシンセサイザーそのものに関する任意の業績があると評される者のみを、その業績も含めて列記している。
日本
編集名前 | シンセサイザーに関する主な業績(詳細は各アーティストの項目を参照) |
---|---|
冨田勲 | 1974年、アルバム「月の光」がビルボード(クラシカル・チャート)で2位を獲得し、グラミー賞にもノミネートされる。続く「展覧会の絵」はビルボードで1位を獲得。以降もクラシックの曲を次々とシンセサイザー音楽化した。 |
藤掛廣幸 (Hiro Fujikake) | ジェームス・ゴールウェイとのアルバム「The Enchanted Forest」(作曲・編曲・シンセサイザー演奏)が全米ビルボードで5ヶ月間ベストテン入り。エリザベート王妃国際音楽コンクールで日本人として初めてグランプリを受賞した作曲家である。 |
ミッキー吉野 | 1976年、ゴダイゴのメンバーとしてデビュー。「Monkey Magic」等、シンセサイザーを多用したヒット曲を発表している。ローランドのアドバイザーとしてシンセサイザーの開発にも参加している。 |
喜多郎 | 1980年、NHK特集 シルクロードの音楽を担当。以降、数多くのヒーリング音楽を手掛ける。2001年、アルバム「Thinking of You」でグラミー賞ベスト・ニューエイジ・アルバム賞を受賞。ほかノミネート13回。 |
坂本龍一(YMO) | 1978年にアルバムデビュー。日本における商業的な成功を収めた初のテクノポップバンドとされている。坂本龍一はキーボード・作曲・編曲を担当。 |
松武秀樹 | YMOのマニピュレーターとしてシンセサイザー・シーケンサーのプログラミングを担当。日本シンセサイザープログラマー協会代表理事。 |
井上鑑 | 1970年代後半からフュージョングループPARACHUTE(パラシュート)や大瀧詠一のユニットに参加。また、ピンクレディーのヒット曲にキーボード奏者として参加。1980年代、在籍していた東芝EMIの「ニューウェーブ4人衆」の一角として注目を浴び、1981年、寺尾聰の『ルビーの指環』、同アルバム『REFLECTIONS』で第23回日本レコード大賞編曲賞受賞。1982年、『GRAVITATIONS』(ヨコハマタイヤASPEC TV-CM)でソロアーティストとしてデビュー。アレンジャー、プロデューサーとして様々なアーティストを手がける。 |
向谷実 | 1979年にCASIOPEAのメンバーとしてデビュー。日本シンセサイザープログラマー協会の名誉会員であるほか、鉄道ファンとしても知られ、日本のフュージョンシーンを牽引したグループの一員として音楽と鉄道の融合(発車メロディの作曲など)を図るなど新たな試みを行っている。 |
平沢進 | 1979年にP-MODELの「美術館であった人だろ」でデビュー。「テクノ御三家」の一つとして知られる。元はギタリストだが、キーボード・編曲なども担当。同時にプログラミング・CGも駆使している。シンセサイザーを多用し、民族音楽とテクノポップを融合させた「アジアン・テクノ」を多数発表している。 |
安西史孝 | 10代の頃よりローランドにて電子楽器の制作に携わる傍ら、キティレコード系のセッションに参加。1983年に、自身が手がけたTVアニメ『うる星やつら』シリーズのレコードがキャニオンレコードで年間優秀ヒット賞と2本のヒット賞を受賞。同年、テクノユニットTPOの一員として『TPO1』でデビュー。1985年には科学万博のテーマ曲も手がける。作編曲家として多くの作品に関わる傍ら、複数の楽器メーカーにて楽器開発・ソフト開発のオブザーバーとして参加し、海外の電子楽器の日本デモンストレーターも務める。 |
小室哲哉(TM NETWORK) | 1984年にデビュー。「Get Wild」等、シンセサイザーを多用したヒット曲を発表。小室哲哉はキーボード・作詞・作曲・編曲を担当。1990年代にはプロデューサーとして、TRF、華原朋美、安室奈美恵、globeなどの「小室ファミリー」と称される一連のアーティストを手掛け、シンセサイザーを多用した数々のヒット曲を発表した。 |
蓜島邦明 | 1990年に長寿番組となっている世にも奇妙な物語のテーマ曲(ガラモン・ソング)をシンセサイザーで生み出した。数々のドラマや映画の劇伴や100社を超えるCMソングを手掛けている。第40回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀映画音楽賞を受賞。 |
浅倉大介(access) | 1991年にデビュー。自身のユニットaccessや、T.M.Revolution、藤井隆等のプロデューサーとして、シンセサイザーを多用したヒット曲を発表している。デビュー前にはヤマハでシンセサイザーの開発に携わっていた。日本シンセサイザープログラマー協会名誉会員。 |
五十嵐充 | 1996年、Every Little Thingのメンバーとしてデビュー。「Time goes by」等、シンセサイザーを多用したヒット曲を発表している。 |
八木沼悟志(fripSide) | 2001年、fripSideのメンバーとしてデビュー。以後、IKU、ELISA等のアーティストの楽曲提供やプロデュースを手掛けている。 |
中田ヤスタカ(CAPSULE) | 2001年、CAPSULEのメンバーとしてデビュー。以後、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ等のアーティストのプロデュースを手掛けている。 |
前山田健一 (ヒャダイン) | 2011年、「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」にて、ソロ歌手としてヒャダイン名義でもデビュー。以後、ももいろクローバーZ、でんぱ組.inc等のアーティストの楽曲提供やプロデュースを手掛けている。 |
日本以外
編集名前 | シンセサイザーに関する主な業績(詳細は各アーティストの項目を参照) |
---|---|
キース・エマーソン | ELPにおいて、ロックにおいてシンセサイザーをどう使うかという方法論を提示した最初の人物。ミニ・モーグの開発に参加したほか、ヤマハ・GX-1の代表的な使い手。 |
ヴァンゲリス | オリジナル作品及び「ブレードランナー」や「南極物語」等の映画音楽でシンセサイザーを多用した作品を発表。2002年にはFIFAワールドカップの公式アンセムを担当。 |
ジャン・ミッシェル・ジャール | 1976年(世界発売は翌年)に発表されたアルバム「幻想惑星」を初め数多くのシンセサイザー音楽を発表。実験性を排除した聞きやすいシンセサイザー音楽の確立に寄与したとされている。 |
クラフトワーク | アルバム「アウトバーン」や「人間解体」などで「テクノ・ポップ」の先駆的存在と評されている。 |
タンジェリン・ドリーム | アルバム「フェードラ」や「ルビコン」などでシーケンサーの反復演奏機能を活用した「ミニマル・ミュージック」をヒットさせた。 |
リック・ウェイクマン | イエスを初め数多くの活動を手がける。「マルチ・キーボード」の使い手の代表的な存在。 |
ジョー・ザヴィヌル | ジャズ・フュージョングループウェザー・リポート(1971-1986)においてその初期からシンセサイザーによるオーケストレーションを多用した作品を発表。また解散後はMIDIシステムを用いソロツアーも敢行。即興性が重視されるジャンルとしては珍しいシーケンサー多用派。ヤマハのGX-1ユーザー。 |
スティーヴィー・ワンダー | 「Superstition」など、モータウン系でシンセサイザーを多用した作品を発表。 |
ブライアン・トランソー | 高度なプログラミング技術と独特のスタッター技術で知られ、「Synth Wizard(シンセサイザーの魔法使い)」と呼ばれる。 |
ハワード・ジョーンズ | 初期のライブでは多数のシンセサイザーを並べ、それらを一人で操りながら歌うという「一人ライブ」を行っていた。 |
その他
編集- 日本においては、シンセサイザーに関わりを持つ人々の団体「日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(旧称日本シンセサイザープログラマー協会)」(代表理事松武秀樹)がある。
- NHKの「みんなのうた」で1980年10月 - 11月に放映された曲の中に『ミスターシンセサイザー』という作品がある。詳細は当該項目を参照。
- 超新星フラッシュマンには遺伝子シンセサイザーという架空の道具が登場する。これは名前通り対象者の遺伝子を改変することに用いる一方で楽器としての機能は持っていない。詳細はフラッシュマンの項目を参照。
脚注
編集注釈
編集- ^ チップ音源が提供するシンセサイズ方式は、矩形波のみ/基本波形のみ/波形メモリ方式/簡易アナログシンセ/FM音源/PCM音源 と実に様々だが、PCM音源を除きビット深度が低くローファイな傾向がある。なおチップ音源の特殊な利用法として、音響合成は主にアプリケーション側でソフトウェア的に行い、チップ音源は単なるD/Aコンバータの一種として扱うケースもあり(典型的には声の再生等)、その場合システム全体としてはソフトウェア音源の一種と見なせる場合もある。
- ^ LA音源とは、2系統トーンジェネレータの加算(内部的レイヤー)や乗算(リングモジュレーション)といった「線形演算」を標榜したデジタル音源だった。これらの演算はアナログ時代からよく使われていた処理だが、ローランドはフィルタを含む全処理をデジタル化し、短いサンプル波形の活用(アタック部やループ)、内蔵デジタルエフェクトによるトータルな音作り等を含めてこの音源の特徴として宣伝した。LA音源登場時、FM音源を除くデジタルシンセは、音色作成上の判断からアナログ・フィルタを追加した製品が多く(E-mu/Ensoniq/PPG/Waldorf等)、後発ながらデジタルフィルタを採用するローランドの試みは画期的だったとも言える。ただしLA音源が採用したデジタルフィルタは、従来のアナログフィルタ最大の魅力である歪みによる色づけを再現しておらず、また最上位2機種(D-50, D-70)以外ではレゾナンス・パラメータも省略されたため、平板な音色変化しか得られなかった。LA音源の後には、音楽制作機能を統合した音楽ワークステーション(KORG M1)や、長いサンプル時間とリアルな音を特徴とするPCM音源(ROMpler. E-mu Proteus等)が登場して市場を席巻しており、特に後者は完成度の高いデジタル・フィルタを搭載したので、LA音源はすぐに陳腐化し、ローランド自身もLA音源というマーケティング用語を二度と使わなくなった。
- ^ a b c d 国内各社のシンセサイザ製品第1号モデル:
- 1973/3: コルグ miniKORG 700 [1]
- 1973/7: ローランド SH-1000 †
- 1973: ヒルウッド Blue Comets 73
- 1974: ヤマハ SY-1
- 1974: エース電子工業/ACE TONE AP-100/SY 100
- 1974/5: ローランド SH-3 *†
- 1975: 日本ハモンド Model 102200
- 1976/10: エース電子工業/ACE TONE PS-1000 *†
- 1977: カワイ/テスコ S100F, 松下/Technics SY-1010
- 1978: 日立/Lo-D HMS-30, PAX ELECTRONICA Sygnus
- 1979: (パール SYS-950), (カシオ VL-Tone VL-1)
- 1982: パール Polysensor PK-801/701*
- 1983: セイコー DS-101/202/310/320
- 1984: アカイ AX80, カシオ CZ-101*
- 2008: 学研 SX-150
- 2009: REON DRAFT BOX-S
- †印の発売年月は リットーミュージックの雑誌「キーボードマガジン」記事に基づいた. ([2])
- ^ AMDEK (1983年ローランド ディー. ジー.に社名変更)はローランドの関連会社で、設立当初には 電子楽器組立キット や PC用アナログシンセ・インタフェース(CV/GATE規格) CMU-800、CMU-810 等を扱っていた。現在はコンピュータ周辺機器(大型カラープリンタ、カッティングマシン、3Dスキャナ/3Dプロッタ等)を扱っている。
- ^ WAVE KITとは、1975,6年頃秋葉原にあったシンセサイザー自作キット専門店の名前だと言われている。製品名に関し、基板に記された型番と名称を参照した例はほとんど見当たらず、店頭や通販広告等では “Micro Wave Synthesizer” の呼称が一般的だったので、ここではそれを採用した。後にドイツで登場したPPG WAVEや Waldorf MicroWaveを連想させる呼称だが、波形テーブルは搭載していない。ドイツの SYNRISEデータベース には「ネット上の情報は日本語サイトしかない」と書かれており、おそらく日本国内でのみ流通した製品だと推定される。当時は他にも下記の自作キットが日本国内で販売されていた。
- ^ Surf Synthesizer (環境音発生器)とは、海の波のようにゆったりとした周期的効果音を出す装置で、当時の怪し気な宣伝文句によれば「脳波を波の周期に引き込み、α波へと誘導して深い瞑想状態(リラックス)を得る」、という触れ込みのエレクトロニック・ガジェットだった。1970年代初頭に有名なエレクトロニクス・ホビー雑誌の記事(*)で好事家の知るところとなり、以降、各種ホビー雑誌や自作キット(WAVE KIT)、電子ブロック回路集等でバリエーションが繰り返し紹介された。
- * Popular Electronics誌 1972年2月号, John S. Simntonの記事
- Triadex Muse (1971年)
- つまみ操作で14兆パターンの音楽フレーズを生成する自動演奏装置。
- 人工知能の父マービン・ミンスキー教授とその弟子エドワード・フレドキンが開発、一般販売された。完全デジタル構成で音色とフレーズの自由度を備えたこの製品は、デジタルシンセサイザーとしてもデジタル・シーケンサとしても世界最初の製品と言われており [6][7]、歴史年表を作る上で非常に扱いに困る逸品である。
- IoniCamera (1970年代)
- 広告によると、音に反応して画像パターンが変化しつづける一種のヴィデオ・シンセサイザー。
- EMSの米国代理店Ionic Industriesの製品。同社はEMS VCS3互換のシンセ ionic performer も発売していた。
- EMS REHBERG VIDEOSIZER-L1 (1979年前後)
- EMSのドイツの関連会社 EMS REHBERG のミュージック・ビデオ・シンセサイザー。
1979年の 第1回ars electronicaのポスター は同製品の生成画像らしい。
- ^ 日本ハモンドは、1970年にハモンドと阪田商会(海外事業部門)の提携により設立された合弁会社で、ヨーロッパの多くの地域と極東地域へのアメリカ製ハモンド製品供給と、日本製ハモンドOEM製品の製造/販売/輸出を行った [8][9]。
また1972年の梯退社後、1970年代のある時期エース電子工業の再編に伴い製造販売部門を日本ハモンドが引き継いだと考えられており [10]、以降日本ハモンドはACE TONEブランドの製造・販売も行うようになった。[11][12]
1970年代末にはコンパクトエフェクター Big Jam シリーズを発売した。この製品は同時期に発売されたローランドのBOSSシリーズの対抗製品と考えられ、アメリカのMultivox(Sorkin Music)にもOEM供給されたが [13][14]、結局2〜3年で消えたという。[15]
その後1970年代末、ACE TONEブランドの後に新ブランドJugg Box(海外ではSAKATA)が登場し、真空管式ギター・アンプstuffシリーズ [16] や、日本最初期のPCMドラムマシンDPM-48 といった特徴ある製品を発売した。[17][18]
以上のように、日本ハモンドの主力はあくまでオルガン製品であり、ギターアンプ/エフェクタは70年代末期の追加、シンセ/ドラムマシンの発売はどちらかと言うと例外的だった事がわかる。なお1980年代にはイタリアCRUMAR社の高価なデジタルシンセ DK SYNERGYの輸入販売も行っていた。[19]
以降の経緯は、阪田商会の脚注を参照。 - ^ 阪田商会(現サカタインクス)は、1896年大阪で創業した印刷用インキ大手メーカ。
同社はエース電子工業と日本ハモンドの出資者であり、両社製品の輸出入業務は 同社海外事業部門が担当した。 輸出品の製造プレートには「SAKATA SHOKAI」の文字が記されたので、海外ユーザはその製造元をエース電子工業ではなく阪田商会だと理解している。[20] また後期製品の一部(例えばJugg Box DPM-48等)は、実際に海外でSAKATAブランドで販売された [21][22]。
(1980年代には外国ブランド・シンセ(Oberheim/Ensoniq/Kurzweil(以上鈴木ハモンド), Chroma Polaris II(FenderJapan&エルク電子), SCI(モリダイラ楽器), ...等)の国内生産が急速に開始され海外輸出も行われた。この時期、日本製のOberheim/Ensoniqの輸出版製造プレートにも「SAKATA SHOKAI」の文字が確認されている [23][24][25])
このように一見ミステリアスな「SAKATA SHOKAI」の目的と役割は、同社海外事業部門(現シークス)の 創業50年史 を参照。同資料に拠れば、年代を経るにつれ事業領域が下記のように変化・拡大していった事が確認できる。- 1958年 大手インク会社貿易部の輸出係として誕生
- 1960年代 電子部品貿易(エース電子工業への出資と輸出)
- 1960年代 電子部品貿易(エース電子工業への出資と輸出)
- 1970年代 OEM事業(日本ハモンド)、他社の海外工場設立等
- 1970年代 OEM事業(日本ハモンド)、他社の海外工場設立等
- 1980年代 自社ブランド試行(SAKATAブランド)→EMS(委託生産事業)の本格化
- 1980年代 自社ブランド試行(SAKATAブランド)→EMS(委託生産事業)の本格化
- 1985,6年頃 ハモンド・オルガン・カンパニーが経営終息 (詳細不明)
- 1991年 鈴木楽器が買収しHammond復活
- 1992年 サカタインクス(旧:阪田商会)海外事業部門がサカタインクスインターナショナル(現シークス)として分社独立
総じて日本ハモンド/阪田商会/エース電子工業/ローランドの活動は、ハモンドの命運と市場に大きな影響を及ぼした。- OEMビジネスによる 出荷数/モデル/価格レンジの拡大
- トーンホイール方式終了の追認(OEM生産拒絶)と後押し(電子オルガン開発)
- クローン・ホイール電子オルガン市場の立ち上げと、市場競争の激化
(ACE TONE GT-7/GT-5, Hammond X-5/X-2/B-200, Roland VK-9/VK-6, KORG BX-3/CX-3, etc)
- ^ Multistrings SY-5は、有名な Audio Play Ground Museum に展示があり、また国内でも運がよければヴィンテージショップ等の店頭で現物を確認できる (たとえば2000年前後、FiveG店頭に並んでいた)。しかしネット上では、例えば安西のシンセ年表にも、PSE免除のヴィンテージ・リストにも記載が無い。発売時期も詳細仕様もほとんど知られておらず、極めて謎の多い製品と言える。
製品名や写真から観察できる範囲では、おそらく2系統のアンサンブル音源(中央部、プリセット型ポリシンセ)を中心に、オルガンまたは簡単なソロシンセ(右側緑四角の下の多数のノブ)、モジュレーション系エフェクタ、幾つかのコントローラと入力(左端ジョイスティック) を備えた3系統複合キーボードと推定される。またデザイン的特徴として、筐体上面にARP製品と同様なブロックダイアグラムが印刷されている。
以上より、製品の機能や世代は Roland RS-505 Paraphonic Synth(1979年)[27][28] や、Roland VP-330(1979年,前期型)[29][30] に近いと推測される。しかし機能ブロックの複雑さやノブの多さ、そして何よりデザインは、ARP Quadra(1978年)[31] や Roland Jupiter-8(1981年) に通じるものがある。今後のACE TONE Multistrings SY-5の解明に期待したい。
(追記: Guy-Lianのシンセ紹介ページ に短い説明が存在) - ^ ACE TONE SH-3とは、1974年Roland SH-3 のロゴが ACE TONEに張り替えられたという説 [32] に基づく製品名である。なおRoland SH-3は、Moog特許のMoogフィルター回路を無断コピーして問題となり、すぐに回路変更後のRoland SH-3Aに入れ替わったため、Roland SH-3自体存在が稀である。ドイツの SYRISEデータベース には「ACE TONE SH-3 (1974年): ブランド・ロゴ以外完全にRoland SH-3と同一」という記述があるが、写真証拠や出典の記載は一切ない。またSound On Sound 2004年11月の記事"The History of Roland Part1: 1930-1978"に「Roland SH-3と類似したACE TONE SH-3」の記述がある。なお同誌記事は、ストーリー構築や取材源の都合に応じ時として未検証情報を交える傾向があり、デザインや仕様の若干異なるACE TONE PS-1000を取り違えたのではないかとする説 [33] もある。上記2件以外に ACE TONE SH-3の存在を示す出典は見つかっていない。
- ^ この他1974年にACE TONEがシンセを発売したとする別の2つの説がある。
一つ目のAP-100は、2006年前後PSE問題(2001年電気用品安全法(PSE法)の施行後2006年の猶予期限切れに伴い、国内のヴィンテージ機器流通に大きな支障が生じかけた問題)で、適用免除申請(特別承認)で提出され受理されたいわゆる 公認ヴィンテージ・リスト に記載のある型番である。有名なシンセシスト安西史孝の シンセ年表 には、1974年の発売リストに記載がある。しかしこの2件以外、ネット上に製品情報は見当たらない。なおPSEの免除申請に、業者によっては大量の対象外製品を申請してしまった経緯もあり、必ずしもPSEのリストが100%の信頼性を持っているとは限らない。一つの可能性として、存在確認されている製品"AP-1000"の型番を誤って"AP-100"として申請し、そのまま免除対象となった可能性も否めない。
二つ目のSY 100は、ドイツの SYNRISEデータベース に記載されている型番で、記述によれば登場時期と仕様は「1974年登場したステージ用モノフォニックシンセ(49鍵)。このアナログシンセは、シンセの全基本機能に加え、リングモジュレータとハイパスVCFを備えている。キーボードは上下1oct.のオクターブ・トランスポーズが可能」という事である。ただしこちらも、これ以外に製品情報がネット上に一切見当たらない。一つの可能性として、関連会社日本ハモンドのHammond Model 102200 (と同じ外観の製品)を、Hammond SY-100と誤表記している例 があり、何らかの関係があるかもしれない。 また別の可能性として、広く存在確認済みの製品"Multistrings SY-5"と関係のある製品なのかもしれない。ただしSY-5は名称や画面からポリフォニック複合キーボードと推定され、上記仕様とは異なる。またSY-5の発売時期は確認できていないが、他社の同様な複合キーボード(Roland RS-505(1978)、Multivox MX-3000(1978)、YAMAHA SKシリーズ(1979-1981)、KORG Trident(1980,8voice/メモリ付き)、)は70年代末〜80年代初頭に登場しており、仮に"SY 100"と"SY-5"に関係があるとしても、製品世代は大きく異なる可能性が高い。 - ^ Ace Tone PS-1000 [34] の発売は1976年だが、その4年前創立者梯が退社し設立したローランドの製品と、仕様やデザイン面で深いつながりを感じさせる不思議な製品である。PS-1000の仕様や機能は、1974年発売のRoland SH-3(A)とほぼ同一だった。操作パネルのデザイン「黒地に白印刷でロゴはオレンジ」は、1975年頃までMultivoxにOEM供給していた製品(Rhythm Ace FR-4, FR-6M, FR-8L)[35] と共通しており、1978年〜1981年にはローランドがその主力製品で同じデザインを多用している(CR-78 , CSQ-600, SPV-355, SVC-350, TR-808, Jupiter-8)。1980年Roland TR-808の発売当時、店頭にTR-808と同期可能なシーケンサCSQ-600/CSQ-100と共に、発売時期の古いPS-1000を並べて展示した楽器店もあり、創立者が同じなら製品が似ても当然だと当時は受け止められていた。
- ^ HAMMOND MODEL 102200 [36] は、1975年日本ハモンドが発売したシンセサイザー。[37] 生産台数は200台程度とされるが [38]、その根拠は不明である。
音色はプリセット6種類とユーザ音色を選択可能で、
音作りは「オートパッチ方式」を採用、7×7=49個のプッシュボタン [39] で行う。
この方式では、ボタン上に音色シート [40] をかぶせる事で、シンセに不慣れなオルガン奏者でも素早い音色変更が可能だった。
このような楽器デザインは、同時期の国産シンセやACE TONE PS-1000とは大きく異なっており [41]、むしろハモンド コードオルガンと同様な設計思想が感じられる [42][43]。
(実際Model 102200は、Hammond SY-100コードオルガンとよく混同されている [44]。実際のSY-100はHammond S6コードオルガンの1バリエーションであり、外観はModel 102200と全く異なる [45][46])
この他Hammond 102100 と呼ばれる、100番違いで外観がほぼ同じモデルが存在し [47]、動画が公開され [48][49][50]、また業者からサービスマニュアルや回路図の入手も可能である [51][52]。しかし現時点ではこのモデルの製造元や、モデル間の関係/相違点等は一切不明なままである。 - ^ KORG X-013とは、1997年頃マックワールドエクスポに展示されていたKORG のプロトタイプ機種(1997?)。Macと連携して使うDSP内蔵キーボードで、タッチパネル型液晶を装備しており、OASYSの祖先と推定される。
当時の配布資料によればこの他、[システム2]と呼ばれるMac用NuBus拡張ボードAudioMediaカードを併用するタイプも存在した。このカードの発音数は1枚あたり1音だったがMac内完結処理が可能であり、OASYS PCIの祖先にあたると推定される。
拡張性については、キーボード型ではDSP追加、カード型ではカード増設で、発音数や処理機能の拡張(複雑なアルゴリズム等)が可能だった。
Mac側ソフトは「音源/エフェクトアルゴリズムツール Synthkit Pro」と呼ばれ、MAX/MSPのように機能ブロックを配線してDSPアルゴリズムを開発できた。[システム1]はX-013+Mac用ソフトのモデルで、開発中の音色はMIDIもしくはFD経由でX-013へ転送して試奏するタイプ、[システム2]は前述のようにMac用NuBus拡張ボードを追加したモデルで、Mac内完結処理が可能な他、X-013本体では未対応の外部オーディオ入力が可能だった。
出典: "珍品、名品?" - ^ Seekers (シーカーズ)とは、1990年代後半に突如登場した日本の電子楽器メーカ。SysEX対応の高機能MIDIコントローラ UMC1688、アナログ12バンド・ヴォコーダ VoiceSpectraといった特徴ある製品を発売し、またReBirth用コントローラの試作や、アナログシンセサイザー SMS-1000の企画・開発を行っていたが、後に倒産した。
出典: Seekers元開発者Kirikaxの Seekers製品情報ページ
この他 2006年頃から海外で Seekers SMS2000のプロトタイプと称する写真やビデオが話題となっているが [53]、元開発者はその存在を知らないとしている。 - ^ Seekers SMS-1000は 当初予告された製品仕様 によれば、プログラムメモリー付きでパッチ可能なアナログシンセで、MIDIや外部信号入力に対応し、波形スコープを備えた製品となる予定だった。Seekers元開発者 [54] がMATRIXSYNTHに提供した資料によれば、正式名称は"ELEBUS-1" [55] で、構造的には 本体EB-1のバス上にボイスカードVB-1を追加する形 [56] を予定していたという。しかし諸般の事情で開発は停止してSeekersは倒産し、開発再開の目処は立っていないという。
- ^ SEIKO DS-101、DS-202は1983年発売の拡張可能なデジタル・キーボード。倍音加算型デジタル・シンセサイザ(プログラマ) DS-310 [57][58] や、デジタル・シーケンサ DS-320を合体させて機能拡張するデザインだった [59]。
- ^ SEIKO DS-250は1985年発売のデジタル・キーボード。前機種と比較して、音色のレイヤーやキー・スプリットの追加、カートリッジによる音色追加、ピッチベンド・ホイールの追加、という特徴があった。[60][61]
- ^ パール ポリセンサー (PEARL POLYSENSOR)は、ドラムセットで有名なパール楽器製造が1982年発売したタッチレスポンス付き8音ポリフォニック・シンセサイザー。DWS-II音源方式とは、2系統Dynamic Wave Shaper (もしくは 2系統Digital Wave Shaper)の略。従来のアナログシンセのフィルターとは異なり、波形を直接変形(wave shaping)して音色を変化させるので、よりリアルな音が得られるという。
- ^ PAX ELECTRONICA (パックス・エレクトロニカ)とは、1978年東京に設立されたハードウェア・メーカ Pax Electronica Japan (パックス・エレクトロニカ・ジャパン)の略称。シンセサイザー製品の開発/製造の他、Apple II互換製品/PC互換製品/PCクローン機を主に手がけ [62]、後の音楽関連製品として 2種類のNEC PC-8001用サウンドアダプタ(PSG音源)とその専用ソフト(ルンルンシンセ、テクノシンセ)の存在が確認されている [63][64]。
- ^ SYGNUSシリーズは、Roland System 100と同様、ユニット単位で機能拡張するシステム製品で、メインユニットSYGNUS-1、キーボードユニットSYGNUS-2、デジタルシーケンサSYGNUS-4、エキスパンダーSYGNUS-8 が基本セット構成だった。 出典: http://homepage1.nifty.com/ENTARO-KOYA/sygnus.htm
- ^ ヒルウッド (Hillwood) と ファーストマン (FIRSTMAN)は、楽器設計者で創業者の 森岡一夫の名前にちなんで名付けられた楽器メーカ。ブルーコメッツをはじめとするグループ・サウンズ時代の楽器や、モズライトギターの国内生産品(モズライト・アベンジャー)、80年代初頭の中学生テクノ・バンド コズミック・インベンション の使用機材でその名を知られている。海外ではアメリカのMultivox(ローランドの元米国代理店Sorkin Musicの関連会社)や、Pulser(SOLTON が流通)のOEM供給元として知られている。この他ドイツではTechnics関連の TAIYO がFIRSTMAN製品を扱っていた。
森岡はその後、アカイのスタジオ機器進出に協力し、AKAI professional最初のアナログシンセ AX80 や12トラックMTR MG1212 を開発した。また SOLTON のコンサルティングや、ホーナーのアレンジャー・キーボード Hohner PK250 の開発、ドラムメーカSONORのデジタルドラム開発にも携わった。
特にHohner PK250は、シンセと演奏支援を統合した簡易ワークステーションとして海外で人気を呼び、その後、他メーカも同種の製品を発売して、現在のアレンジャー市場が確立する一つのきっかけとなった。
出典: "Kazzy Firstman & Mosrite Story" - ^ GS-1音色作成用コンピュータ: 当時、ヤマハ本社のある浜松に音色作成用のコンピュータ(YIS系)があり、公演で来日したTOTOのメンバーは浜松で追加パッチを作成した。
出典: プレイヤー・コーポレーションの雑誌『Player』の1980年代前半の記事(掲載年月不詳) - ^ REON(レオン)は、2009年大阪に登場したシンセメーカー。現在、最初のシンセDRIFT BOX-Sを発売し、以降シーケンサ/リズムシンセ/エフェクト/ボコーダ等の製品を開発中との事。(2009年6月11日更新情報)。
- ^ Lo-D(ローディー)は、日立製作所が1960年代後半から使っていた高級オーディオブランドで、Technicsと同様にオーディオ関連製品としてアナログシンセを発売していた。この他、日立製小型電子オルガン「HMO-5 エレクトリックオルガン」が最近再発見されている。
- ^ Lo-D Memory Synthesizer HMS-30は1978年発売のアナログシンセサイザーで、内蔵デジタルシーケンサによる演奏データの記録と、テープIF経由のデータ保存が可能だった。
出典: MATRIXSYNTH: HITACHI Lo-D HMS-30 (国内Yahoo!オークション出品の引用記事)
出典
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ドイツの博物館Deutsches Museumに、Siemens Studioの機材一式が展示されており、その実態はSiemens synthesizerだと推測される。同博物館の紹介ページでは、Siemens Studioの沿革が解説されているものの、システム全体の名称やその開発年は今ひとつはっきりしない。 - ^ a b Logic Studio Instruments. Apple. (2009)
Apple Logic Studioのマニュアルに、音楽用ヴォコーダの歴史解説がある。個々の説明自体は短いものの、重要なイベントが網羅的にカバーされている。- Siemens synthesizer: 1960年開発でヴォコーダ機能を含むという記述があるが、開発年と外部利用開始の年を混同している可能性が高い。
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出典
編集- 相原耕治『シンセサイザーがわかる本』スタイルノート、2011年10月。ISBN 978-4799801000。
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- 「シンセサイザー・クロニクル」『大人の科学マガジン別冊 シンセサイザー・クロニクル』、学習研究社、2008年7月、ISBN 9784056051834。
- 「アナログシンセの復活」『DTM magazine』第230巻、寺島情報企画、2013年8月、ASIN B00DC69PDW。
関連項目
編集機能・仕様
編集- ADSR
- MIDI
- 音源モジュール
- エンベロープ
- ミュージックシーケンサー
- アナログシンセサイザー
- デジタルシンセサイザー
- OpenSound Control
- ソフトウェアシンセサイザー
- モノフォニックシンセサイザー
- ポリフォニックシンセサイザー