すべては終わりぬ
「すべては終わりぬ[注釈 1]」(すべてはおわりぬ、原題: Hard Times Come Again No More)は、1854年にスティーブン・フォスターが作曲したパーラーソング[3]。1855年にニューヨークのファース・ポンド社から出版された[4]。本作は、アメリカ南北戦争に起因する経済的な貧しさから逃れようとする人々の苦闘を詞として表現した楽曲となっている[5]。楽曲のタイトルは「Hard Times」とされることもある。
「すべては終わりぬ」 | |
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「すべては終わりぬ」の楽譜の表紙 | |
楽曲 | |
英語名 | Hard Times Come Again No More |
出版 | 1855年 |
作詞者 | スティーブン・フォスター |
作曲者 | スティーブン・フォスター |
1905年にエジソン・マニュファクチャリング・カンパニーによって蝋管に録音され、これが本作のレコーディングが行なわれた初の例となった[6]。以来多数のアーティストによってカバーされている。
南北戦争時代には、本作のパロディソングとなる「Hard Tack Come Again No More」が生み出された[7]。
歌詞
編集Let us pause in life's pleasures and count its many tears,
While we all sup sorrow with the poor;
There's a song that will linger forever in our ears;
Oh! Hard times come again no more.
Chorus:
'Tis the song, the sigh of the weary,
Hard Times, hard times, come again no more.
Many days you have lingered around my cabin door;
Oh! Hard times come again no more.
While we seek mirth and beauty and music light and gay,
There are frail forms fainting at the door;
Though their voices are silent, their pleading looks will say
Oh! Hard times come again no more.
Chorus
There's a pale weeping maiden who toils her life away,
With a worn heart whose better days are o'er:
Though her voice would be merry, 'tis sighing all the day,
Oh! Hard times come again no more.
Chorus
'Tis a sigh that is wafted across the troubled wave,
'Tis a wail that is heard upon the shore
'Tis a dirge that is murmured around the lowly grave
Oh! Hard times come again no more.
Chorus
カバー・バージョン
編集ボブ・ディランによるカバー
編集「辛い時代」 | ||||||||||
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ボブ・ディランの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー』 | |||||||||
英語名 | Hard Times | |||||||||
リリース | 1992年11月3日 | |||||||||
録音 | 1992年7月 - 8月 | |||||||||
ジャンル | フォーク | |||||||||
時間 | 4分31秒 | |||||||||
レーベル | コロムビア・レコード | |||||||||
作詞者 | スティーブン・フォスター | |||||||||
作曲者 | スティーブン・フォスター | |||||||||
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1992年7月から8月にかけて、ボブ・ディランは1992年7月から8月にかけてカリフォルニア州マリブにある自宅のガレージスタジオで本作のカバー・バージョン「辛い時代」のレコーディングを行なった[6]。プロデュースは、デビー・ゴールドが手がけた[6]。1992年11月3日にアルバム『グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー』が発売され、「辛い時代」は「リトル・マギー」と「ステップ・イット・アップ・アンド・ゴー」の間の7曲目に収録された[8]。
フィリップ・マーゴティンとジーン・ミシェル・ゲドンは、ディランによるカバー・バージョンについて「ディランのボーカルには深みがあり、歌はもの悲しく感じる」と評した[6]。ディランのライブでは、1993年4月12日のルイスビル・センター・フォーザ・アーツ公演で初めて演奏されて以降、同年8月21日のメモリアル・スタジアム公演までの計30公演で演奏された[9]。
その他のアーティストによるカバー
編集1980年、ドリー・パートンはアルバム『9時から5時まで』に収録の「ハッシュ・バイ・ハード・タイムス」のイントロで本作を引用している(この部分の歌唱はボビー・オズボーンとソニー・オズボーンによるもの)[10]。
1989年に矢野顕子がアルバム『WELCOME BACK』でカバー。
1995年に公開された映画『ジョージア』のサウンドトラックとして、メアリー・J. ブライジによるカバー・バージョンが使用された[11]。
2004年にメイヴィス・ステイプルズがコンピレーション・アルバム『ザ・ソングス・オブ・フォスター〜ビューティフル・ドリーマー』でカバー[12]。
2006年に柳原陽一郎がWarehouseとのコラボレーション・アルバムとして発売した『LADIES AND GENTLEMEN!』(「Warehouseと柳原」名義)で、独自の日本語詞をつけた「辛い日々はごりごりだ」としてカバー[13]。
2009年にブルース・スプリングスティーンがハイド・パークで開催された「ハード・ロック・コーリング」で演奏。当時のライブ映像が翌年に発売されたライブDVD『ロンドン・コーリング:ライヴ・イン・ハイドパーク』に収録された[14][15]。
2017年に公開された映画『サバイバルファミリー』の主題歌として、SHANTIによるカバー・バージョンが使用された[16]。このカバー・バージョンは、同年に発売されたカバー・ベスト・アルバム『SHANTI sings BALLADS』に収録された[17]。
2020年にアーロ・ガスリーとジム・ウィルソンが本作のカバー・バージョンを録音。このカバー・バージョンには、ほかにヴァネッサ・ブライアン、スタンリー・クラーク、アンディ・マッキーが参加した[2]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 宮下和子. “スティーブン・フォスター再発見” (PDF). 立命館大学. p. 84. 2022年11月24日閲覧。
- ^ a b “アーロ・ガスリー&ジム・ウィルソン、フォスターの「Hard Times Come Again No More」をカヴァー”. MUSIC LIFE CLUB. シンコーミュージック・エンタテイメント (2020年8月7日). 2022年11月24日閲覧。
- ^ Whitt, David (2020). Popular Music in the Classroom: Essays for Instructors. McFarland, Incorporated, Publishers. p. 168. ISBN 978-1-476-67157-4
- ^ Foster, Stephen (1974). Stephen Foster Song Book (Revised ed.). New York: Dover Publications. p. vii. ISBN 978-0-486-23048-1
- ^ ルート, ディーン・L; 湊圭史(訳). “スティーブン・フォスターとアメリカ” (PDF). 立命館大学. p. 58. 2022年11月27日閲覧。
- ^ a b c d e Margotin & Guesdon 2015, p. 849.
- ^ Foster, Stephen; Hayes, Mark (2016). The Stephen Foster Collection: 10 Early American Songs for Solo Voice and Piano. Los Angeles, California: Alfred Music. p. 35. ISBN 978-1-470-63727-9
- ^ Bream, Jon (2015). Dylan: Disc by Disc. Minneapolis: Voyageur Press. p. 172. ISBN 978-1-611-64086-1
- ^ “Setlists that contain Hard Times”. The Official Bob Dylan Site. 2022年11月27日閲覧。
- ^ Cardwell, Nancy (2011). The Words and Music of Dolly Parton. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. p. 111. ISBN 978-0-313-37804-1
- ^ Karger, Dave (2010年1月22日). “'Hope For Haiti Now': The telethon's 10 best performances”. EW.com. Meredith Corporation. 2022年11月27日閲覧。
- ^ Sullivan, Steve (2017) [2012]. Encyclopedia of Great Popular Song Recordings. 3. Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield. p. 664. ISBN 978-1-442-25449-7
- ^ LADIES AND GENTLEMEN! (歌詞カード). Warehouseと柳原. GLAMOROUS RECORDS. 2006. EWGL-0009。
- ^ “ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド「ロンドン・コーリング:ライヴ・イン・ハイドパーク」”. Sony Music Japan International. 2022年11月27日閲覧。
- ^ Skinner, Tom (2020年3月18日). “Bruce Springsteen shares 'Live In Hyde Park' show in full for first time”. NME. NME Networks. 2022年11月27日閲覧。
- ^ “SHANTI、映画『サバイバルファミリー』イベントで主題歌熱唱 「みんなで作り上げていった実感がある」”. Real Sound. blueprint (2017年1月30日). 2022年11月27日閲覧。
- ^ “SHANTI、矢口史靖監督最新作「サバイバルファミリー」主題歌を中心としたカヴァー・ベスト・アルバムをリリース”. CDJournal ニュース. CDジャーナル (2016年11月18日). 2022年11月27日閲覧。
参考文献
編集- Margotin, Philippe; Guesdon, Jean-Michel (2015). Bob Dylan All the Songs: The Story Behind Every Track. Philadelphia, Pennsylvania: Running Press. ISBN 978-0-762-47572-8