「国友」の版間の差分

[[画像:Kunitomo01s3200.jpg|thumb|288px|現在（2006年9月）の國国友]]

'''國国友'''（くにとも）は、[[近江国]][[坂田郡]]の地名で、現在の[[滋賀県]][[長浜市]]国友町。[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]から[[江戸時代]]末期まで、[[堺]]、[[根来]]と並び称される[[鉄砲]]の生産地として栄えた。'''國友'''とも書く。

「國国友」の名は単なる地名に留まらず、國国友の工人「國国友鍛冶」や、國国友で生産される銃「國国友筒」をも指した。鍛冶銘は「國友」姓で統一されて「江州 國友藤兵衛重恭」などと切る。村がひとつの工業団地的性格をもち、[[銃砲身|銃身]]など主要部分を作る[[鍛冶屋|鍛冶]]のほかに、[[銃床]]を作る「台師」、「からくり」と呼ばれる[[銃#銃の各部|機関部]]や各種の金属部品それに、銃身や地板（機関部基板）に施す装飾の[[象嵌]]などにそれぞれの専門職人がおり、分業体制がとられていた。

國国友における鉄砲製造の起源は、[[天文 (元号)|天文]]13年（[[1544年]]）、将軍・[[足利義晴]]から見本の銃を示されて作ったのが始まりと『國友鉄砲記』{{sfn|有馬|1932}}に伝わる。これが正確な年かどうかは信頼性が問われるが{{sfn|奥村|1993|pp=34–35}}、ともあれ将軍の命を受けて[[管領]]の[[細川晴元]]が村を訪ね、國友善兵衛、藤九左衛門、兵衛四郎、助太夫ら名声ある4名ほかの[[鍛冶屋|鉄鍛冶]]と接触し、苦労して鍛え上げた六[[匁]][[弾丸|玉]]の鉄砲2[[ちょう|挺]]を同年8月12日将軍に献上した{{sfn|奥村|1993|p=34}}。

[[1549年]]には[[織田信長]]が、500挺もの國国友村鉄砲を発注したという記録がある{{sfn|奥村|1993|p=35}}。[[姉川の戦い]]（[[1570年]]）を機に村を所領とした信長は、[[豊臣秀吉|羽柴秀吉]]に命じ、この地の鉄砲業の発展をなし遂げさせた{{sfn|奥村|1993|p=35}}。[[江戸幕府]]の下では、村は[[徳川家康]]の掌中に入り、[[慶長]]12年（[[1607年]]）に前述の4名は鉄砲[[代官]]に任命されることとなる{{sfn|奥村|1993|p=35}}。このあたりから産業は隆盛を極め、[[大坂の陣#大坂夏の陣|大坂夏の陣]]の時点では國国友村は鉄砲鍛冶が73軒、鉄匠が500人だったと記録されるが、太平の世の中になると需要は激減した{{sfn|奥村|1993|p=35}}。

江戸時代には幕府と密接に連携して一定量を受注していたが、それだけで生計が成り立つ数量には満たなかったようである{{sfn|奥村|1993|p=35}}。工人らは交代で江戸に詰め、江戸城での銃器メンテナンスも行った。各地の領主の招聘に応じてその地に逗留・移住する銃工も多く、それら銃工の作品には「國友」銘のほか本名で鐫<small>（き）</small>られたものも多い。國国友出身でない銃工が国友で修行して「國友」を名乗る例や、商品価値を高めるための「國友」銘もあるといわれる。

並び称せられた堺の銃が豪華な装飾金具や象嵌を施した「見た目の付加価値」であるのに対し、國国友の製品は「'''機能美的'''」に洗練された秀作が多い。日本の古式銃の約4分の1は国友銘と云われ、堺と人気を二分していた。

台師の「大嶋吉兵衛」、象嵌師の「臨湖堂充胤」などは名工として知られる。また、[[国友一貫斎|國友一貫斎]]（藤兵衛重恭）は「[[空気銃#歴史|気砲]]」と呼ばれる蓄気ボンベ式の空気銃や高性能[[望遠鏡]]の開発で知られる。日本における[[ねじ|ネジ]]発祥<!--（銃身の[[ねじ#日本へのねじの伝来|尾栓]]に用いられた）-->の地でもある。

* 最後の将軍・[[徳川慶喜]]は、隠居後、鉄砲鍛冶・國 国友に「釘形の剣（棒状手裏剣）」を鍛えさせ、[[手裏剣]]の稽古を続けたとされ{{sfn|甲野|2002|p=206}}、[[明治]]期の間、手裏剣の加工もしていたことがわかる。

* 國国友村の鉄砲鍛冶は、その技能の高さから別の職人集団へと独立した一派も存在し、例として、[[伊勢国]]亀山に移った者達は、[[鍔]]職人「亀山鍔」として名をはせた<!-- 『広辞苑 第六版』 [[岩波書店]]より一部参考。 -->。

* [[国友鉄砲の里資料館|國友鉄砲の里資料館]]

* [[モリタ宮田工業]] - 創業者の初代[[宮田栄助]]は水戸藩鉄砲指南役を務めた國友家に師事していた。また二代目宮田栄助も徳川家お抱えの鉄砲師国 國友信之門下であった。

* [http://www.kunitomo-teppo.jp/index.html 國国友鉄砲の里資料館]