「赤信号での右左折」の版間の差分

[[File:Right turn on red Belgrade, Serbia.JPG|thumb|[[ベオグラード]]の"赤信号での右折"信号]]

 

 

もっとも単純なものは、[[:en:Left- and right-hand traffic|右側通行]]の国もしくは地域での"赤信号での右折"<ref group="注釈">英語では省略して "right on red" とも言う。</ref>、[[:en:Left- and right-hand traffic|左側通行]]の国もしくは地域での"赤信号での左折"である。以降は、特に記載がない場合には右側通行の事例を記述する。

 

一方、左折もしくは直進する場合には、2箇所の横断歩道と、複数の方向に移動する車両の流れを確認する必要がある。

 

 

赤信号での右折を許可する多くの地域では、右折車線が複数ある場合にはすべての右折車線からの赤信号での右折を許可している。

交差点によっては、赤信号での右折が安全ではないことがある。たとえば、道路の右側に鉄道が並走しており、右折後すぐ踏切がある時には、交差点信号は踏切の信号と同期している場合がある。赤信号での右折が一般的に許可されている地域では、赤信号での右折が許可されない場所にはその旨を示す標識が掲示されている。

 

 

しかし、赤信号での右折が、赤信号での一方通行道路への左折と同等ではあるものの、北米以外の国・地域では通常は赤信号での左折は許可されていない。北米でさえ、双方向通行道路から一方通行道路への赤信号での左折を許可する地域はほとんどない。

非常に稀な事例として、双方向通行道路から双方向通行道路への赤信号での左折が許可されていることがある。しかし、これは交通量が著しく少ないことが理由であり、道路構造上右左折を同等に扱っているわけではない<ref>{{ Cite web | url=https://www.politico.com/states/new-york/albany/story/2013/05/the-place-in-new-york-city-where-you-can-turn-left-on-red-007869 | title=The place in New York City where you can turn left on red | accessdate=June 21, 2022}}</ref><ref group="注釈">双方向通行道路から双方向通行道路への赤信号での左折が許可されている場所の例 {{ウィキ座標度分秒|40|36|18.09|N|73|49|10.79|W}} この例の場所は、丁字路で左折先の道路は200m先で行き止まりという通過交通のない道路であるため、危険度が低いと判断されている。</ref>。

 

一方通行道路から一方通行道路への左折は道路構造上右折と同等といえる。

 

北米のほとんどの場所では、この種の左折は通常許可されている。北米以外のほとんどの場所では、この種の左折は許可されていない。

 

理由付けは明らかではないが、双方向通行道路から一方通行道路への赤信号での左折は、赤信号での右折と同等の難しさであると言われている。

 

 

北米の多くの地域では、赤信号での右折が許可されている。[[アメリカ合衆国]]においては、西部の[[アメリカ合衆国の州|州]]では50年以上にわたり許可されており、東部の州では1973年のガソリン不足への対応策として1970年代に交通規則を修正している。1975年の[[:en:Energy Policy and Conservation Act|エネルギー政策および保全法]]の第362条(c)(5)項には、州が義務付けられた保全プログラムの開発において連邦政府の支援を受けるためには、州は赤信号での右折を許可しなければならないと記載されている<ref>{{Cite web | url=https://www.govtrack.us/congress/bills/94/s622/text | title=S. 622 (94th): Energy Policy and Conservation Act | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。1980年以降は、全50州、[[ワシントンD.C.]]、[[グアム]]、[[プエルトリコ]]では、標識で禁止されている場所もしくは右折専用信号で制御されている場所以外は赤信号での右折が許可されている。最後まで赤信号での右折を禁止していた[[マサチューセッツ州]]は、1980年1月1日にこの禁止を終了した<ref>{{Cite web | url=http://www.thecrimson.com/article/1979/12/4/right-on-red-comes-to-boston-pwhen-it/ | title=Right-On-Red Comes to Boston | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。[[ニューヨーク|ニューヨーク市]]のように、標識で許可されていないときには赤信号での右折を禁止している事例は非常に稀である<ref>{{Cite web | url=http://www.nyc.gov/html/dot/downloads/pdf/ssi09_rightonred.pdf | title=Right Turn on Red | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。

 

[[メキシコ]]では、赤信号での右折の許可・不許可は国として統一されておらず、地域ごとで決められている。メキシコシティは、赤信号での右折を禁止する新たな交通法規を導入した<ref>{{Cite web | url=http://www.animalpolitico.com/2015/08/adios-a-la-vuelta-continua-y-multas-por-uso-del-telefono-al-conducir-asi-el-nuevo-reglamento-de-transito-del-df/ | title=Adiós a la vuelta continua y multas por usar el teléfono, así el nuevo Reglamento de Tránsito del DF – Animal Político | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。

 

米国では、2018年12月時点において、38州で、一方通行道路から一方通行道路への赤信号での左折を許可している<ref>{{Cite web | url=https://www.missourinet.com/2018/12/26/bill-in-missouri-legislature-would-let-drivers-turn-left-during-red-light/ | title=BILL IN MISSOURI LEGISLATURE WOULD LET DRIVERS TURN LEFT DURING RED LIGHT | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。

 

[[アラスカ州]]<ref>{{Cite web | url=https://www.drivinglaws.org/resources/running-red-lights-and-stop-alaska.html#:~:text=Left%2Don%2DRed%20Rule,sign%20prohibiting%20such%20a%20turn | title=Red Light and Stop Sign Tickets in Alaska | accessdate=June 22, 2022}}</ref>、<!--[[アイダホ州]]、-->[[ミシガン州]]<ref>{{Cite web | url=https://www.millertischler.com/2021/08/11/is-it-ever-legal-to-turn-left-on-a-red-light-in-michigan/#:~:text=You%20can%20turn%20left%20on,direction%20as%20your%20left%20turn | title=Is It Ever Legal to Turn Left on a Red Light in Michigan? | accessdate=June 23, 2022}}</ref>、[[オレゴン州]]<ref>{{Cite web | url=https://www.oregonlive.com/commuting/2015/10/turn_left_on_red_the_devils_in.html | title=Turn left on red? The devil's in the details (Commuting Q&A) | accessdate=June 23, 2022}}</ref>、[[ワシントン州]]<ref>{{Cite web | url=https://apps.leg.wa.gov/RCW/default.aspx?cite=46.61.055 | title=Traffic control signal legend. | accessdate=June 23, 2022}}</ref>の<!--5-->4州では、双方向通行道路から一方通行道路への赤信号での左折を許可している。

 

 

カナダでは、[[ニューブランズウィック州]]、[[プリンスエドワードアイランド州]]、[[ケベック州]]の一部を除き、一方通行道路から一方通行道路への赤信号での左折は許可されている。[[ブリティッシュコロンビア州]]では、双方向通行道路から一方通行道路への赤信号での左折も許可されている<ref>{{Cite web | url=https://www.theglobeandmail.com/globe-drive/culture/commuting/will-i-be-ticketed-for-turning-left-on-a-red-light-onto-a-two-way-street/article35088218/#:~:text=In%20British%20Columbia%2C%20you%20can,a%20red%20can%20cause%20confusion. | title=Will I be ticketed for turning left on a red light onto a two-way street? | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。

[[ブリティッシュコロンビア州]]<ref>{{Cite web | url=https://www2.gov.bc.ca/assets/gov/driving-and-transportation/transportation-infrastructure/engineering-standards-and-guidelines/traffic-engineering-and-safety/traffic-engineering/traffic-signs-and-pavement-markings/standard-traffic-signs/standard-traffic-signs/regulatory_signs.pdf | title=REGULATORY SIGNS | accessdate=June 22, 2022}}</ref>、[[アルバータ州]]<ref>{{Cite web | url=https://www.alberta.ca/prohibitive-signs.aspx | title=Prohibitive signs | accessdate=June 22, 2022}}</ref>、[[サスカチュワン州]]<ref>{{Cite web|url=https://www.sgi.sk.ca/handbook/-/knowledge_base/drivers/www.sgi.sk.ca | title=Saskatchewan Driver's Handbook | accessdate=May 10, 2022}}</ref>、[[マニトバ州]]<ref>{{Cite web | url=https://apps.mpi.mb.ca/comms/drivershandbook/regulatory-signs.html | title=Regulatory Signs | accessdate=June 22, 2022}}</ref>、[[オンタリオ州]]<ref>{{Cite web | url=https://www.ontario.ca/document/official-mto-drivers-handbook/signs | title=Signs | accessdate=June 22, 2022}}</ref>では、左折禁止の標識は、右折禁止の標識を反転させた標識として定義している。しかし、[[ケベック州]]では、赤の斜線は右折禁止と同じ、すなわち左上から右下の直線、である<ref>{{Cite web | url=http://www2.publicationsduquebec.gouv.qc.ca/dynamicSearch/telecharge.php?type=1&file=2905.PDF | title=GAZETTE OFFICIELLE DU QUÉBEC, June 23, 1999, Vol. 131, No. 25 | accessdate=June 22, 2022}}</ref>。

 

 

[[チリ]]と[[ブラジル]]では、標識により許可されている場所のみ、赤信号での右折が許可されている。ブラジルでは、2021年4月14日からこの規制が有効になっている。

 

[[パラグアイ]]では、都市により赤信号での右折が許可されていることがある。

 

 

[[File:Zeichen 720 - Grünpfeil, StVO 1994.svg|thumb|left|[[ドイツ]]の"赤信号での右折"を許可する標識]]

 

[[File:Turning on red signal for cyclists road sign, Switzerland (cropped).png|left|thumb|[[スイス]] [[バーゼル]]の自転車に赤信号での右折を許可する信号]]

 

 

 

[[ベルギー]]では、2012年に、自転車に対して赤信号での右折を許可する標識を交通規則に加えた<ref>{{Cite web | url=http://www.ejustice.just.fgov.be/cgi_loi/loi_a1.pl?language=nl&la=N&cn=2012081512&table_name=wet&&caller=list&N&fromtab=wet&tri=dd+AS+RANK&rech=1&numero=1&sql=(text+contains+(%27%27)) | title=ELI - Navigatie systeem via een Europese identificatiecode voor wetgeving | accessdate=June 23, 2022}}</ref>。この標識は、[[ブリュッセル]]首都圏地域の交差点に設置された。

 

 

[[File:Panneau tourne à droite.jpg|thumbnail|right|フランスとベルギーの自転車に対して赤信号での右折を許可する標識]]

 

 

[[アイルランド]]は左側通行であり、赤信号での左折は禁止されている。

[[ラトビア]]では、追加の矢印信号が存在しており、その信号が点灯していれば、赤信号での右左折が許可される。主信号が赤で矢印信号が点灯している場合は、矢印信号の方向に進むことができるが、他の車および人の流れに道を譲る必要がある。主信号が緑で矢印信号も点灯している場合には、通常の交差点での交通規則に従って、どの方向にも進むことができる。主信号が緑で矢印信号が点灯していない場合には、点灯していない矢印の方向には進めない。主信号が赤で矢印信号も点灯していない場合には、進行できない。

 

 

[[ルーマニア]]では、緑の矢印と小さい緑の点滅信号がある場合にのみ、赤信号での右折が許可されている。赤信号での右折車は、他の車・人の流れを優先させなければならない。一方通行の交差点では、同じ形式で赤信号での左折が適用されていることがある。

[[スペイン]]では、黄橙色の点滅信号があるか、もしくは緑の矢印信号が点灯している場合には、赤信号での右折が許可される。黄橙色の点滅信号の場合には、他の車や人の流れを優先させなければならないが、緑の矢印信号の場合には、赤信号での右折車両が優先される。通常の信号しかない場合には、赤信号での右折は許可されない。

 

 

[[香港]]は左側通行であり、赤信号での左折は禁止されている。ただし、一部の交差点で、左折用の個別信号がある場合や、交通島によって直進車線と分離された左折専用車線があり、前方優先道路標識が設置されている場合がある。このような事例としては"Queen's Road East"と"Morrison Hill Road"の交差点がある<ref group="注釈">{{ウィキ座標度分秒|22|16|29.68|N|114|10|45.46|E}}</ref>。

 

[[インド]]は左側通行であり、赤信号での左折は一般的に禁止されている<ref>{{Cite web | url=http://www.indiastudychannel.com/resources/83838-Common-Traffic-Rules.aspx | title=Common Traffic Rules | accessdate=June 23, 2022}}</ref>。しかし、赤信号での左折を許可している都市もある<ref>{{Cite web | url=https://www.thehindu.com/news/cities/Hyderabad/for-a-change-its-a-hasslefree-ride/article8030897.ece | title=For a change, it’s a hassle-free ride | accessdate=June 23, 2022}}</ref>。明示的な緑または橙色の左折点滅信号の場合には、赤信号での左折が許可される。これは通常は、他の交通流の進入が許可されていないことを意味している。

 

 

[[韓国]]では、赤信号での右折は一般的に許可されている。しかし、特定の規制標識がある交差点では、青信号の場合もしくは青の矢印信号の時のみに右折が許可される。

[[レバノン]]では、禁止標識もしくは禁止を示す赤色の矢印がなければ、赤信号での右折は許可されている。運転者は一時停止し、他の車および歩行者を優先させなければならない。

 

[[モーリシャス]]は左側通行であり、許可する標識がなければ赤信号での右折は禁止されている。

 

[[南アフリカ共和国]]、[[ボツワナ]]、[[ジンバブエ]]、[[ザンビア]]、[[モザンビーク]]、[[アンゴラ]]、[[ナミビア]]、は左側通行であり、赤信号での右折は禁止されている。

 

 

オーストラリアでは、赤信号での右折を、車両の排気ガス低減および時間節約の観点で支持する人々と、交通安全の観点で反対する人々の、双方の意見がある<ref>{{Cite web | url=https://au.news.yahoo.com/turn-left-on-red-possible-solution-23004026.html#page1 | title=Turn left on red possible solution | accessdate=June 27, 2022}}</ref>。

 

 

[[サモア]]は左側通行であり、赤信号での左折は許可されている<ref>{{Cite web | url=https://www.samoa.travel/pagepreview/road-rules | title=ROAD RULES | accessdate=June 27, 2022}}</ref>。サモアはかつて右側通行であり、基本的には米領サモア時代の米国の規則に従っていた。この規則は、2009年9月7日に左側通行に切り替えられた後も維持されている。

 

 

{| class="wikitable sortable"

|}

 

1981年の米国運輸省の調査によると、"Western RTOR"<ref group="注釈">Western Right turn on Red とは、標識がなければ赤信号での右折可を通常の状態としていることを指している。西部の州が古くから採用していた規則のため、このように呼ばれている。</ref>の採用後、車両が右折しているときに自動車が自転車や歩行者と衝突する頻度が大幅に増加した。この調査によると、推定事故率は、歩行者の事故では43％から107％へ、自転車の事故では72％から123％に増加した<ref>{{Cite web | url=https://rosap.ntl.bts.gov/view/dot/1322/dot_1322_DS1.pdf? | title=The Effect of Right-Turn-On-Red on Pedestrian and Bicyclist Accidents | accessdate=June 27, 2022}}</ref>。1984年の調査によると、赤信号での右折が許可された場合、交差点での右折に関して、対車両事故は約23％、対歩行者事故は約60％、対自転車事故は約100％、それぞれ増加する、ということである<ref>{{cite journal |last1=Zador |first1=Paul |date=August 1984 |title=Right-turn-on-red laws and motor vehicle crashes: A review of the literature |journal=Accident Analysis & Prevention |volume= 16|issue=4 |pages=241–245 |doi= 10.1016/0001-4575(84)90019-8}}</ref>。1993年の研究でも、赤信号での右折は歩行者および自転車との衝突事故をそれぞれ44％と59％増加させたと結論付けている<ref>{{cite conference|title=Safety Effects of Right Turn on Red: A Meta Analysis |last1=Dussault |first1=Claude |date=14–16 June 1993 |location=Saskatoon, Saskatchewan |conference=Proceedings of the Canadian Multidisciplinary Road Safety Conference VIIII}}</ref>。

 

{{脚注ヘルプ}}

{{Notelist|2}}

{{Reflist|2}}

 

* [[道路標識及び信号に関するウィーン条約]]

* [[交通信号機]]

* [[道路交通法]]

 

https://web.archive.org/web/20091024221040/http://geocities.com/jusjih/trafficlightsignals.html