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'''経世論'''('''經世論''' / けいせいろん)は、[[近世]]([[江戸時代]])の[[日本]]で「[[経世済民]]」のために立案された諸論策、もしくはその背景にある[[思想]]。「経世思想」「経世済民論」とも称する。
 
他の[[東アジア]]諸国における同種の思想については、[[経世致用の学]]などを参照のこと。
 
== 概要 ==
「経世」とは、'''[[経世済民]]'''(世を経(おさ)め民を済(すく)う / 「[[経済]]」の由来)、すなわち広義の「[[政治]]」を意味しており、したがって経世論の内容は、[[現代]]でいうところの「[[政治学]]」「[[政治思想哲学|政治・政策思想]]」「[[経済学]]」「[[経済思想]]」「[[社会学]]」「[[社会思想]]」など広範な領域を含んでいる。
 
このような思想が成立した背景にあるのは、[[幕藩体制]]の下で進行した領主財政の窮乏、統治機構の形骸化・腐敗、[[農民]]の疲弊、商人高利貸資本への富の集中など、さまざまな社会矛盾の顕在化である。経世論は、これらの問題にいかに対応するかという権力者への献言・献策として執筆・刊行され、多くの場合、その著者は当時の支配層たる[[武士]]身分に属する者、もしくはその出身者(なかんずく[[儒学者]]が大半)である。
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近世日本の経世論はほぼ[[18世紀]]の半ば頃を境として、「前期」「後期」に大きく区分することができる。
=== 前期経世論 ===
経世論は[[17世紀]]の後半に一応のまとまりを持った著作([[熊沢蕃山]]『[[大学或問]]』など)が登場し、一つの思想領域として成立した。この時期の思想は、[[士農工商]]の頂点に位置し、社会秩序の安寧を維持する責任を有するという武士身分の自意識を軸としており、[[儒教]]的な徳治論に基づき、'''封建的な小農体制の維持'''」「'''勤倹節約による領主財政の安定化'''が中心的主張となっていた。蕃山に続き、18世紀前半には[[荻生徂徠]]、およびその門弟である[[太宰春台]]が現れたが、春台の著作においては単純な[[貴穀賤金|貴穀賤金論]]や尚農抑商策ではもはや状況に対応できないことが認識され、藩営専売策など幕藩体制の側から積極的に[[市場経済]]に対応すべきことが述べられている(なお春台の主著『[[経済録]]』は日本で初めて「経済」の語を書名とした著作として知られる)。
 
=== 後期経世論 ===
後期経世論は先述の春台の論を継承発展させるかたちで18世紀後半の[[海保青陵]]にみられるように、'''[[江戸幕府|幕府]]や諸[[藩]]による産業の育成'''」「'''[[商品]][[流通]]への参与を通じた[[利潤]]獲得'''をより積極的に主張した。また[[林子平]]らの[[海防論]]で語られた国際情勢認識、および[[国学]]思想における[[国粋主義|国粋]]的主張にも影響され、[[西欧]]の[[重商主義|重商主義思想]]にも類似した'''[[開国]]による海外[[貿易]]の推進'''」「'''海外[[植民地]]の獲得と開発'''など、従来の一国的議論の枠組みを大きく踏み越え、幕藩体制の克服へと向かう主張([[本多利明]]・[[佐藤信淵]]ら)まで登場し、[[幕末]]期に至る。
 
== 主要著作 ==
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== 参考文献 ==
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=== 事典類 ===
* 『[[国史大辞典 (昭和時代)|国史大辞典]]』([[吉川弘文館]])「経世論」([[安丸良夫]]執筆)
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== 外部リンク ==
* [https://archive.ph/20110101000000/http://100.yahoo.co.jp/detail/%E7%B5%8C%E4%B8%96%E8%AB%96/ 経世論]([[Yahoo!百科事典]])島崎隆夫執筆
* {{Kotobank}}
 
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[[Category:経世論|*]]
[[Category:江戸時代の文化思想]]
[[Category:江戸時代の経済]]
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[[Category:日本の経済思想の歴史]]
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[[Category:政治思想]]
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