テレビ・アナリスト 吉田正和
■私感1【Paravi(パラビ)】
近年TBSの番組を観ていると、最後に動画配信サービス「TVer(ティーバー)」か「Paravi(パラビ)」でと告知される。今回(2021年11月11日〜)「ぽんぽこ物語」が「Paravi」で配信されたという。「Paravi」とはいったい何なのか?
1995年あたりからインターネットが爆発的に拡大していき、それまで新聞や雑誌などのメディアに比べて優位に立っていたテレビ放送の即時性が揺らぐようになった。当初はインターネットに対して反発の動きがあったが「IT」という言葉が一般的になったこともあり、送信するメディアの違い、インフォメーション・テクノロジーとして共存することになった。
共存の道を選んだことによってテレビ局はそれぞれの利点を生かした融合を進めることになる。
「Hulu(フールー)」「TELASA(テラサ)」「Paravi」「FOD(エフオーディー)」のテレビ局が運営している配信事業は基本的に自社の作品を有料で配信している。各局が独自に運営するこれらに対して「TVer」は在京局と在阪局、広告代理店が共同で運営する番組配信ポータルサイトで無料配信となっている。
そもそも「TVer」か「Paravi」と二つあるのは何故なのか?
ざっくりいうとそれぞれに利点があったからである。
家庭内録画によって視聴された番組は視聴率に反映されず、全体の視聴者数が曖昧になってしまうが、見逃し配信は視聴数をカウントできるため、リアルタイム視聴ではなく、番組人気を測ることができる利点がある。このシステムが構築されたことによりテレビ放送と配信は真の融合をしたと言っても過言ではない。民放放送がスポンサードで動いている以上、より詳細に視聴データが得られる配信は目的にかなっていた。
視聴者のニーズに応え、放送後、テレビ放送では観られない番組を有料で提供するのが「Paravi」、視聴データからどのような番組を作るべきか考えるのが無料の「TVer」。
つまり「Paravi」で配信されるということは視聴者に訴求する何かが必要なのである。
■私感2【修復】 につづく